本気(マジ)工場です。お休みです。世間的には大型連休初日・・・ってことですかね。
今日は、わけあって近所の工具屋さんに来ました。
日常的にクルマの整備をちょこっとやって、古いバイクなんかを直して乗るのが趣味なものですから、まぁ普通の人よりは持っている工具も随分と多いのです。
先週、家の健康器具が壊れました。あのちょっと前に盛んにTVで通販をしていた、乗って左右に脚でグイグイと踏みつける、アレです。安いものなので大して期待もしていなかったのですけど、使ってみると結構楽しいし実際痩せるのね(笑)で、愛用していたら壊れた、と。
壊れたといっても動くたびに「キーキー」と音がするようになったしまっただけのことで、こういうときはグリスアップです。カバーを外して、疑わしい所を見てみると・・・ なんかリングで止まってるじゃん。スナップリング、というのですかね?シャフトの周囲に溝が切ってあって、そこを薄いワッシャ状のリング(開口しているので実際はリングじゃない)が止めている・・・というよくあるアレ。ホンダは確か溝の中にリングの端部が埋没するようなカタチにするのが好きだった記憶がありますね。でも、大抵はリングには開口部に小さな穴があり、まぁそこを拡げて外すのだろう、ということが分かる構造です。・・・ってことは、その小さな穴に入れて左右にリングを押し広げるニッパー状の工具が必要になるわけですな。握ると開く、というのが正しい構造でしょう。
今日は、それを買いに行ってきた。
昔とは違って、工具にも安くてそこそこ良い品物が増えてきました。
昔はねー・・・ホント、安物(品質がダメダメ)なものか、ちゃんとした高級品か、しかなかった記憶があります。しょうがないから、割と高級品を買わなきゃならなかったんですね。でも最近は違ってきています。
本気(マジ)工場は、工具を買うときはこんな風に考えるタイプです。
・良く使う工具は、国産の良いものを
・使用頻度の低い工具は、お安いものを
バイクの場合、8・10・12mmのメガネレンチやプラスドライバー、ヘキサゴンレンチなどがこれに相当しますね。そのサイズのソケットなんかも同じ。
今回のスナップリングプライヤーは、後者です。全く後者。だから迷わず安物を買いました。ドライバーとかもブランドで揃えたがる人が多いのですが、ワタシそんなことしないもん。今の機械にはあまりマイナスねじは使われないこともあって、マイナスドライバーって、ねじを回す以外のことに使うケースが多いんですよね。ちょっとした所を引っ掛けたり、ツメ状のものを持ち上げたり。で、あれば安物で十分だ。逆にプラスはねじを回す以外にはまず使わないし、精度も大事な形をしてる。だから、マイナスドライバーは安物、プラスはちゃんとしたもの、を買うんです。
どんなに安物でも、あると無いとじゃ大違い。これが工具。
安物でもこと足りるけど、高価なものは使い心地が本当に素晴らしいし長持ちもする。これも工具。
それと、工具を見ていてすごく楽しいのは、
「目的は同じなのに、そこに到達するための理論がメーカーによってちょっとずつ違う」
しかもそれが、
「目で見て分かる」
ということですね。本当に楽しい。
本気(マジ)工場の実家はクルマ屋さんなので、子供の頃からこういうハンド・ツールやらエア・ツールは半分遊び道具でした。遠い記憶を思い返せば、プロのクルマ屋さんでは、国産のちゃんとした工具で全てそろっているわけではなく、やっぱり使用頻度が低いものは安物も置いてあった気がします。ヨーロッパやアメリカの高級工具なんて、一本も無かったよ(笑)
ちょっと悲しいことを聞いたことがあります。
ヨーロッパのスポーツカーなどを専門に扱うクルマ屋さんでは、工具もヨーロッパの一流品を揃えておくのだ、と。その理由は、お客さんが工場を見るときに、工具を見ただけで、このクルマ屋はダメだの、良いだの、と言って行くことがあるからなのだそうです・・・そもそもそういうクルマのオーナーさんは趣味の人が多いわけですから、そのような反応も分からないではありません。
でもね・・・趣味なら、もっと深~く探求しろよ・・・ とも思うのですね。
自分でロクにねじも回したこともないような人は、工具を見てそう思うかも知れませんけどね。ねじを締める時に、ついねじ切ってしまったことのある人しか、ねじというものの本質は理解できないと思いますよ。そして折れたねじをどうやって引き抜くか、普通に締めたり緩めたりする何十倍も知恵をしぼって努力も痛い思いも後悔も情けない思いも、した人にしか本質は分からない。ひいては機械の本質も。ねじは、機械の、工業の基本です。そこが分からなくて何のクルマ趣味か?と、思うのですけどね・・・ ぁーこういうのは古い考え方なのかも。でも、ゆずれないなぁ。
弘法大師は、実際には筆にはすごくこだわったそうです。(あ、トリビアで見たのね)でも、必要条件と十分条件を取り違えたりはしていなかったと、思うのですよね。
ただし、「オレってフェティッシュだよなぁー」と思いながら、ロクに使わない工具を買っては眺める趣味を、ワタシはすごくよく理解するんですね(笑)オトコの子っていうのは、重くて、硬くて、鈍く光る金属が、大好きですから。わけもなくスキ(笑)女性のジュエリーと同じ。そこに余計な理屈をくっつけると見苦しいから、「オレってフェティッシュだよなぁー」という自覚が必要だとは思いますけどね(笑)