ゆるせない話 特集⑩
通勤電車、
毎日同じような時間帯で動いていると毎朝似た顔に出会うことがありますよね。
あ、この人今日もいるな、みたいなね。
毎朝同じ車両に乗って来られる、見た目30代後半くらいの男性がいらっしゃるのですが、
毎朝例外なく、片手にスマホ、マイク付イヤフォンを耳に指し、
乗り込んたときから名古屋に着くまでの約20分間、ずっと電話で話し続けている方がおられます。
話しっぷりからすると、仕事の電話ではなさそうで、かなり親しい人とプライベートの会話をされていると推測されます。
通勤時間のため常に電車は満員状態なのですが、
東海道線の利用者はやさしく穏やかな?せいか、
触らぬ神にたたりなし、なのか、
誰も気にせず(気にしてない振りをして)各自スマホを見たり本を読んだり、して、何食わぬ表情です。
何せ静かな車内、いくらぼそぼそ静かに話したとしても、いや、ときにぼそぼそ声だからこそ話し声というものは気になるものです。
極力別の車両に乗るようにはしているのですが、うっかりその車両に乗ってしまったときはIpodに助けを求め、
でも、途中で充電が切れてしまったときは、かなりきつい20分になることもあります。
なので、ある日からこう思うことにしました。
あの人は新婚。愛する奥さまは重い病気のため病院で療養中、そんな最愛のワイフのことが心配で一時も頭から離れない。
日中は仕事もあるし彼女も治療のためゆっくり落ち着いて話すこともままならない。
というわけで、朝の限られた時間、つまり通勤時間のみが病気と戦う奥さんを励まし、お互いの愛を確かめることができる限られた時間、だと。
そう思えば、
傍若無人にひたすらおしゃべりを続けるあの男性に「お気の毒」と少しながら思いやりを持てたりする。
いくら彼が半笑いで会話していたとしても。
松任谷由実 (荒井 由実) やさしさに包まれたなら 74