烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

2011 正月仕度 #01;我流,鯨汁を仕立てる

2010-12-29 23:36:22 | 烏合庵の食卓
学校給食の食材に鯨が当り前に使われ,自身のカラダの多分一割強は鯨で培われたと自負する世代.駿河湾奥の出自,鯨は愚か,湾東の伊豆の在からフレッシュな海豚の赤身やら,果ては皮付きの皮下脂肪がアタリマエに魚屋の店先に並べられ,結構日常的に食してはいたのだが…
塩をした鯨の脂で仕立てた“鯨汁”なるものを頂いたのは渡道後の事なれど,確か出先の定宿で出された初見のそれが,何だか妙に“懐かしい”味わいの一皿だったことを思い出す.
独身時代何度か試し,それなりに再現は出来たと思ったのだが,つれあいは鯨の脂がからきし駄目(鯨ベーコンにも箸を着けない;そのくせ鯨カツや竜田揚は美味いウマイと喰う)のようで,一度作って喰わせて以来,拒否権を発動し続けていた.
今回の鯨脂は近所のつれあい友人からの頂き物(夫君が札幌中央卸売市場で塩干品を扱っていらっしゃる;期限落ち前のロット払いとは思うが有難く).長男坊も帰札する年越しは丁度良い機会,とゆーワケで…


本来は黒皮付きの塩鯨で仕立てるらしいが,今回のものは皮を削いだ刺身用の柵(ミンククジラと思う).豆腐に突き蒟蒻,根菜(牛蒡・人参)・山菜などを取合せ.仕立ては一寸,変則的.


そのまま煮ると脂でエライ事になるので脂抜き.粗塩を焦した中華鍋で乾煎り(塩鯨の場合は塩を入れない).


染み出た脂は他の具材を炒める分だけ残してお玉で掬い取る(後で味が弱い場合に加減するため,ボウルなどに取っておく).






突き蒟蒻・崩した豆腐・出汁を取った後の昆布の順で加えて確り炒りつけ,




野菜類にも軽く脂を回したら昆布出汁をひたひた.酒・味醂・醤油で塩梅,くつくつと1時間ほど煮込めば好い具合に煮汁の脂が乳化してくる.


この乳化した脂のテクスチャは,個人的には,故“富公@狸小路七丁目”のラーメンスープ(三味,見た目も味もほぼ同じ)を髣髴する.同所で名跡の技を継がんと志す“味道 一徹”さんの出汁に,寸胴(φ≒30cm)一鍋あたりマッチ箱ほどの塩鯨を放り込めば,“私の・想う・富公”に,より近付きそうな予感は有るのだが… 閑話休題.

粗方煮込んだら琺瑯の鍋に移し,粗熱を取って出来るだけ涼しい(寒い?)ところに休め,一日一度,軽く火を通す.


長男坊の気に召すか? 年取り膳が楽しみだ.


p.s.;駿河の戦後世代:鯨や,或は海豚の喰い様:
SSの皆様には白い目で見られるかも知れませんが…
赤身は,所謂“生姜焼き”で食べることが多かった.共働きの両親に代って時折家族の夕餉を仕立る(小学生の)私にも無難に作れたので.鯨カツは,親父が上手だった.
海豚の赤肉も生姜焼きが殆ど.こっちはカツには向きません(特有の‘乳臭さ’が篭ってしまうので).脂身(皮付き)は五分角に賽の目.乾煎りして脂を確り落し,揚げ際に強めに塩してカリカリの熱々を頬張る(コレも親父の得意技;御袋は苦手).矢張り乳臭く,今日ビにウケる味じャぁ無ェが… も一回,喰いてーナぁ!
コメント (2)
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