旧知が今年,ディァハンターとしてデビューした.ライフルはまだ持てない(散弾銃=ショットガンの経験10年以上が必要)が,スラッグ弾で目出度く初の一頭を仕留め,肉も掃けたと言う話を聞き及んではいたが…
予期せぬ着電,“先輩の猟師さんの手伝いで急に出たンすけど,肉,要ります? 俺は外しちゃったんだけど (^^;)ゞ”
要る々々,是非とも下さいな (^^)! ソッコー届けてくれた1kg強.フレッシュミートは初めてだ(冷凍のものは何度か扱ったことが有る).二日前に猟った若牝とのこと.鹿肉の美味さは熟成次第とも聞くのだが,そりゃ経験しなけりゃ解るモンじゃない.取敢えず幾分かを若いまま頂いてみる事にする.
“殆ど腿肉です”とは言うものの,幾つかのパウチに収められたそれらを検めれば,きっちり筋肉毎に採られているのが解る.
“これは外腿・これは内,こいつはシンタマじゃないかな? おー,少しだけど内ロース(所謂‘ヒレ’)と,あと,レバーも入れてくれてる!有難や…”
偶さか少し手に入ると気負って手を掛けすぎて仕舞がちになるのだが,実は前週釧路出張の帰りに“道の駅 白糠恋問”で仕入れた冷凍ストックも有るので鷹揚なもの.スーシェフ(つれあい)と相談.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/1e/3d30f5ef5cd0642ae6f175b5f51a8121.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/80/a106a3469c2378dd32ad83cf42d11935.jpg)
ヒレ(画像上)と外腿(同下),レバーは頂いた翌日にカツで,
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/d5/4ae5d8db4ad191c6b90374385cad8b55.jpg)
内腿は中一日置いてカレーで頂く事にする.
一品目;先ずは鹿カツ.
精肉はスーシェフ任せで不安なし.私の仕事は彼女が苦手な内臓系,レバーの下拵えだけはその日のうちに.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/78/ff3e0065966d7720a2da95050f333610.jpg)
見たところ,捕獲後の放血はとても綺麗に出来ている様だが,レバーは少し血の気を抜いてやったほうが食べ易いだろう.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/3e/7e512df24f84591049ceb20bf6c2acf8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/45/4c9829920dbb73e3a573c2cc2d3a6168.jpg)
先ず,ブロックごと1%程度の点塩に1時間ほど沈めて太い血管に凝固した血液を緩め,
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/33/cf669cf4e72ec6d9cd69424205c0bfda.jpg)
シンクの上で断面を下に向け,両手の掌で挟みやんわりと押して緩んだ血液を絞り出す.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/e0/0564d546e2fc5706f4c0f55612d58f68.jpg)
ここから本番.揚げる厚さにスライスしてボウルに取ったら,
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/96/1168e22de6c863bea4ff9f0c6720e1c8.jpg)
“魔法の粉”;粗製糖(所謂三温糖)をパラリと振掛け,組織を壊さないように優しく掻き混ぜれば,暗赤色だったレバーがたちまち綺麗な紅に変る.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/26/066f566128f4d60c72fd68397aee5c60.jpg)
後はドリップ(結構生々しい鮮紅色です)を切って水切りの付いた保存容器に移し,冷蔵庫に一晩休ませてスーシェフに託す.
翌日帰庵すれば,夕餉の仕度は既に整う.蝦夷鹿のカツ,ヒレ・外腿とレバーの盛合せ.精肉は1cm程にスライスして包丁の背で厚さ半分ほどに叩き,下味は塩・胡椒.あとは普通の一口カツと同じ手順で揚げたそうだ.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/b1/668063fae2d50c8968b1fb1d1e776189.jpg)
何も付けずに先ず外腿を一齧り.
若い雌鹿の肉は柔らかく,食感は子牛に近いが,筋肉の繊維は更にしなやかで緻密.捕獲時の処理が良いのだろう,仄かに鉄の酸味を感じるが,クセで無くむしろ好ましい風味(本鮪の赤身の味と言えば良いかな).味はヒレの方がやや濃いかな.
ソースは普通にとんかつ用や中濃,好みでトマトケチャップを足したり,白胡麻を当って加えても好いと思う.
今回は,丁度使いかけのマンゴージャムがあったので,下味のアタリを補う程度にウスターソースで延ばして合せてみたが大当り! フルーツの甘味と,ジューシーな鹿肉が抜群に合う!
鹿レバーは(食すのも)初めてで,実は一寸構えてしまったのだが,こちらも呆気ないほどにクセを感じず,牛・豚のレバーがお好きな方には逆に物足りないのではないかと思わせる味わいだ.タルタルソース(チューブ入り市販品)との相性もなかなか.
いやァ,良い肉だ! どれも美味しく,いただきました!
ひとつだけ一寸失敗は,ヒレのスライスが(腿と比べ)少し薄かったこと.ジューシーさをやや損ねた感じ.こっちは叩かないほうが良かったかも (^^;)ゞ …ってか,カツよりブロックのままポットローストしたほうが引き立つかな?… 今後の課題ではあります.
補追;“レバーの血抜きには三温糖!”は,“近江屋 WEB”さんから手法を拝借いたしました.多謝!
(以上記述:2010/12/21;to be continued…)
さて二品目;ざっくり鹿カレー
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/bc/047b4c3e99be1d00c204d6d617848f37.jpg)
一晩魚の献立を挟み,この夕帰庵すればカレーの鍋がくつくつと.
“辛いのがイイなぁ,ジャワカレーとか…”,私の希望を唐辛子系の辛さに弱いスーシェフはあっさり却下.拙庵定番,中辛混合(こくまろ+熟カレー).
内腿は,だいたい2cm角の賽の目.塩・胡椒で下味,薄力粉を叩いてバターで炒付け表面を固定.何時ものビーフ(大概,オージーの腿)と同じ仕立てだ.煮込みは短め,1時間程度とか.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/2e/4ffa9e9e9dafbf2a193b6edbc52932fb.jpg)
炊立てご飯にたっぷり掛けてもらい,さて,いただきます!
おー! 何時もの,ウチのカレーですね.全く違和感,ありません.肉はオージーの腿より寧ろ柔らかく,仄かな鉄味の主張とカレーソースの相性も好ましい.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/14/26d0ce17b7bd826eee1d8cfb6d87558e.jpg)
自作の凝ったカレーソースも面白いだろうが,市販のルーでも十二分に美味い.同じように,市販のビーフシチューの素で煮込んでも,きっと美味しいだろうな.何しろ今日ビ,市販のルーは旨すぎる.
Fクン,ありがとう! 美味しかった !!
こーゆー肉なら,何時でもウェルカム (o^ ')b
機会があったらまた声かけてくださいな.決して無駄にはいたしません.弾代くらいは出すからネ(サボットスラッグ1発≒¥500-;エライカイタタキヨウダナ;爆).
二品とも,たいへん美味しく,いただきました!
(以上記述:2010/12/24)
補追(2011/11/27);
野生シカ肉喫食によるE型肝炎ウィルス感染リスクについて
正直言えば,私は鹿の刺身が大好きです.出張の定宿だった民宿の親父さんがハンターだった事もあり随分頂きました.今でも,新鮮な肉が手に入れば料理の下拵えの時に一片を生で味見したりもします.レバーにしても本心,胡麻油と塩でバクバク喰いたいです.
ただ,少ないとは言えリスクが知られる以上,生肉は(良い物は出したいのだけれど)家人にも供していません.
野生ニホンジカ(亜種エゾシカ含む)のウィルス感染履歴について解り易い資料を見付けたのでリンクしておきます.地域毎の検体内訳も示されており,判断基準になるかと思います.御参考となれば幸いです.
⇒シカのE型肝炎ウイルス抗体保有調査(兵庫県森林動物研究センター)
個人的には,食用に供されないマングースより,レアに近い状態で食される事も多い牛肉などについてのデータを示して頂ければ大いに有難いと思うのですが…
予期せぬ着電,“先輩の猟師さんの手伝いで急に出たンすけど,肉,要ります? 俺は外しちゃったんだけど (^^;)ゞ”
要る々々,是非とも下さいな (^^)! ソッコー届けてくれた1kg強.フレッシュミートは初めてだ(冷凍のものは何度か扱ったことが有る).二日前に猟った若牝とのこと.鹿肉の美味さは熟成次第とも聞くのだが,そりゃ経験しなけりゃ解るモンじゃない.取敢えず幾分かを若いまま頂いてみる事にする.
“殆ど腿肉です”とは言うものの,幾つかのパウチに収められたそれらを検めれば,きっちり筋肉毎に採られているのが解る.
“これは外腿・これは内,こいつはシンタマじゃないかな? おー,少しだけど内ロース(所謂‘ヒレ’)と,あと,レバーも入れてくれてる!有難や…”
偶さか少し手に入ると気負って手を掛けすぎて仕舞がちになるのだが,実は前週釧路出張の帰りに“道の駅 白糠恋問”で仕入れた冷凍ストックも有るので鷹揚なもの.スーシェフ(つれあい)と相談.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/1e/3d30f5ef5cd0642ae6f175b5f51a8121.jpg)
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ヒレ(画像上)と外腿(同下),レバーは頂いた翌日にカツで,
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/d5/4ae5d8db4ad191c6b90374385cad8b55.jpg)
内腿は中一日置いてカレーで頂く事にする.
一品目;先ずは鹿カツ.
精肉はスーシェフ任せで不安なし.私の仕事は彼女が苦手な内臓系,レバーの下拵えだけはその日のうちに.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/78/ff3e0065966d7720a2da95050f333610.jpg)
見たところ,捕獲後の放血はとても綺麗に出来ている様だが,レバーは少し血の気を抜いてやったほうが食べ易いだろう.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/3e/7e512df24f84591049ceb20bf6c2acf8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/45/4c9829920dbb73e3a573c2cc2d3a6168.jpg)
先ず,ブロックごと1%程度の点塩に1時間ほど沈めて太い血管に凝固した血液を緩め,
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/33/cf669cf4e72ec6d9cd69424205c0bfda.jpg)
シンクの上で断面を下に向け,両手の掌で挟みやんわりと押して緩んだ血液を絞り出す.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/e0/0564d546e2fc5706f4c0f55612d58f68.jpg)
ここから本番.揚げる厚さにスライスしてボウルに取ったら,
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/96/1168e22de6c863bea4ff9f0c6720e1c8.jpg)
“魔法の粉”;粗製糖(所謂三温糖)をパラリと振掛け,組織を壊さないように優しく掻き混ぜれば,暗赤色だったレバーがたちまち綺麗な紅に変る.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/26/066f566128f4d60c72fd68397aee5c60.jpg)
後はドリップ(結構生々しい鮮紅色です)を切って水切りの付いた保存容器に移し,冷蔵庫に一晩休ませてスーシェフに託す.
翌日帰庵すれば,夕餉の仕度は既に整う.蝦夷鹿のカツ,ヒレ・外腿とレバーの盛合せ.精肉は1cm程にスライスして包丁の背で厚さ半分ほどに叩き,下味は塩・胡椒.あとは普通の一口カツと同じ手順で揚げたそうだ.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/b1/668063fae2d50c8968b1fb1d1e776189.jpg)
何も付けずに先ず外腿を一齧り.
若い雌鹿の肉は柔らかく,食感は子牛に近いが,筋肉の繊維は更にしなやかで緻密.捕獲時の処理が良いのだろう,仄かに鉄の酸味を感じるが,クセで無くむしろ好ましい風味(本鮪の赤身の味と言えば良いかな).味はヒレの方がやや濃いかな.
ソースは普通にとんかつ用や中濃,好みでトマトケチャップを足したり,白胡麻を当って加えても好いと思う.
今回は,丁度使いかけのマンゴージャムがあったので,下味のアタリを補う程度にウスターソースで延ばして合せてみたが大当り! フルーツの甘味と,ジューシーな鹿肉が抜群に合う!
鹿レバーは(食すのも)初めてで,実は一寸構えてしまったのだが,こちらも呆気ないほどにクセを感じず,牛・豚のレバーがお好きな方には逆に物足りないのではないかと思わせる味わいだ.タルタルソース(チューブ入り市販品)との相性もなかなか.
いやァ,良い肉だ! どれも美味しく,いただきました!
ひとつだけ一寸失敗は,ヒレのスライスが(腿と比べ)少し薄かったこと.ジューシーさをやや損ねた感じ.こっちは叩かないほうが良かったかも (^^;)ゞ …ってか,カツよりブロックのままポットローストしたほうが引き立つかな?… 今後の課題ではあります.
補追;“レバーの血抜きには三温糖!”は,“近江屋 WEB”さんから手法を拝借いたしました.多謝!
(以上記述:2010/12/21;to be continued…)
さて二品目;ざっくり鹿カレー
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/bc/047b4c3e99be1d00c204d6d617848f37.jpg)
一晩魚の献立を挟み,この夕帰庵すればカレーの鍋がくつくつと.
“辛いのがイイなぁ,ジャワカレーとか…”,私の希望を唐辛子系の辛さに弱いスーシェフはあっさり却下.拙庵定番,中辛混合(こくまろ+熟カレー).
内腿は,だいたい2cm角の賽の目.塩・胡椒で下味,薄力粉を叩いてバターで炒付け表面を固定.何時ものビーフ(大概,オージーの腿)と同じ仕立てだ.煮込みは短め,1時間程度とか.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/2e/4ffa9e9e9dafbf2a193b6edbc52932fb.jpg)
炊立てご飯にたっぷり掛けてもらい,さて,いただきます!
おー! 何時もの,ウチのカレーですね.全く違和感,ありません.肉はオージーの腿より寧ろ柔らかく,仄かな鉄味の主張とカレーソースの相性も好ましい.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/14/26d0ce17b7bd826eee1d8cfb6d87558e.jpg)
自作の凝ったカレーソースも面白いだろうが,市販のルーでも十二分に美味い.同じように,市販のビーフシチューの素で煮込んでも,きっと美味しいだろうな.何しろ今日ビ,市販のルーは旨すぎる.
Fクン,ありがとう! 美味しかった !!
こーゆー肉なら,何時でもウェルカム (o^ ')b
機会があったらまた声かけてくださいな.決して無駄にはいたしません.弾代くらいは出すからネ(サボットスラッグ1発≒¥500-;エライカイタタキヨウダナ;爆).
二品とも,たいへん美味しく,いただきました!
(以上記述:2010/12/24)
補追(2011/11/27);
野生シカ肉喫食によるE型肝炎ウィルス感染リスクについて
正直言えば,私は鹿の刺身が大好きです.出張の定宿だった民宿の親父さんがハンターだった事もあり随分頂きました.今でも,新鮮な肉が手に入れば料理の下拵えの時に一片を生で味見したりもします.レバーにしても本心,胡麻油と塩でバクバク喰いたいです.
ただ,少ないとは言えリスクが知られる以上,生肉は(良い物は出したいのだけれど)家人にも供していません.
野生ニホンジカ(亜種エゾシカ含む)のウィルス感染履歴について解り易い資料を見付けたのでリンクしておきます.地域毎の検体内訳も示されており,判断基準になるかと思います.御参考となれば幸いです.
⇒シカのE型肝炎ウイルス抗体保有調査(兵庫県森林動物研究センター)
個人的には,食用に供されないマングースより,レアに近い状態で食される事も多い牛肉などについてのデータを示して頂ければ大いに有難いと思うのですが…