昭和28年(1952年)NHK第1・第2や民放ラジオ2局の電波を使った立体(ステレオ)放送の番組が開始されと。それにともない受信回路と出力回路を2組内蔵し、各々のラジオ局から送られた番組音源を同時に受信し、左右のスピーカーで再生する立体放送対応Hi-Fiラジオが注目を集めた。
当時の立体放送をNHKの例でいえば、第1放送が左側の音声、第2放送は右側の音声をそれぞれ放送し、2つのラジオを並べて置き、番組を聞けばステレオ音声が楽しめるという試みである。
しかしこの方法には、モノラル放送との互換性がとれない(受信機を二台用意しないと、片チャネルしか聞くことができない)ため、実際の立体放送番組はNHK「土曜コンサート」や民放ラジオ2局の協力による実験番組などに限られていた。
また複数の放送局から電波を送出するため、位相特性、周波数特性、信号レベル等の特性差が生じると、正しいステレオイメージが得られにくい等の問題もあり、広く一般には普及しなかったが、1つの筐体(キャビネット)に同調回路と低周波増幅回路(アンプ)を2組実装した専用ラジオも発売され、都市圏の富裕層の音楽愛好家から一定の支持は集めていたようである。
その一方、mt管を使い、トランスを省略したトランスレス式真空管ラジオが普及するにつれ、従来の小型・標準タイプに加え、高級指向のラジオを求める消費者ニーズも生まれ始め、受信回路、出力回路は1組で実際はステレオ受信対応しないものの、スピーカを左右対象位置に2個搭載した『2スピーカーラジオ』が各社から発売された。
卓上小形のプラスティック・キャビネットに同じ口径のスピーカを2組積むと同じ出力でも2倍大きな音を出せるメリットがあり、「ステレオもどき」の2スピーカ・ラジオが瞬く間に流行したのである。
東芝は、まず昭和34年(1959年)、かなりやシリーズに左右対称位置に2スピーカーを配置した かなりやCSと、キャビネット左側にスピーカーを2個配置した かなりやESの高級機2機種を発売した。
翌年、昭和35年には左右対称位置にデザインされた かなりやHS かなりやRSを、続いて昭和36年に発売された2スピーカータイプかなりやシリーズ5番目の機種が、今回ご紹介するかなりやYSである。
さらに昭和37年、かなりやS、かなりやX、マジックアイ付の かなりやJの2スピーカータイプ3機種を発売。4年間で累計8機種の2スピーカタイプのかなりやシリーズを世に送り出したことになる。
この年以降、かなりやシリーズは昭和39年に1スピーカ・モデルのかなりやKと かなりやLの2機種を出すにとどまり、真空管ラジオの生産を終えている。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやYS 5ZL-541 』
サイズ : 高さ(約15cm)×幅(約43cm)×奥行き(約12cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1605KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
横幅43cmの かなりやYSは、通常の1スピーカータイプのトランスレス式真空管ラジオより10cm長く、感覚的にはかなり横幅が広がったように感じる。ラウンドを効かせたキャビネット、さらには緩やかな曲面処理を施されたフロントパネルとアルミメッシュ製スピーカーグリルが相まったフラッシュ・サーフェイスのデザインにより、大きさの割には全体的に引き締まった印象だ。清掃・研磨後、新品の輝きをとり戻したときの かなりやYSを想像すると、気分も自ずと高まってくる。
宅配便で届いた かなりやYSのプラスチック製キャビネットは、汚れ・黄ばみ、天板の裏蓋の止め部分に2ヶ所3センチほどのひび割れと、天板正面に若干の傷があるものの、パーツの欠品も無く、外観は程々である。
オークションの出品者の方から、「修理済でMW,SWともよく受信ができています」とコメントされていた通り、裏蓋を取外すと、キャビネット内部は修理が行なわれた際に軽く清掃されているようだ。しかし完全に清掃されていないキャビネットとフロントパネルの隙間に堆積している大量の埃が、40年という長い時を経てきたことを物語っている。真空管のうち、30A5(電力増幅)、35W4(整流)の2本は東芝以外のメーカーの球に交換されている。
いつものように内部抵抗値、ブロックコンデンサーの状態、ヒューズの規定値を確認し、電源を入れてみた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
平成4年(1992年)3月、「AMラジオのFM化」と期待され、東京のキー局、北海道・名古屋・大阪・福岡の大都市圏の各AMラジオ放送局およびWBS和歌山放送、RSK山陽放送、RCC中国放送、RKK熊本放送からモトローラ方式によるAMステレオ放送が実施されている。しかしAMステレオ対応ラジオが少ないことに加え、NHKが導入を見送ったことも影響し、幅広い普及には至っていない。
ソニーSRF-A300、SRF-AX51V、パイオニアFD-3
ただカーオーディオには、AMステレオ対応のCDチューナーが多く存在するので、いつものお気に入りCDやFM番組を聞いてばかりのアナタ! 一度、AMバンドに切替えてみてください。臨場感溢れるプロ野球中継が聞けるかも知れませんよ!!・・・・ん?、音楽好きには、プロ野球中継なんてウルサイだけだって??
結局、AMステレオ放送って意味ないってことじゃん?!
当時の立体放送をNHKの例でいえば、第1放送が左側の音声、第2放送は右側の音声をそれぞれ放送し、2つのラジオを並べて置き、番組を聞けばステレオ音声が楽しめるという試みである。
しかしこの方法には、モノラル放送との互換性がとれない(受信機を二台用意しないと、片チャネルしか聞くことができない)ため、実際の立体放送番組はNHK「土曜コンサート」や民放ラジオ2局の協力による実験番組などに限られていた。
また複数の放送局から電波を送出するため、位相特性、周波数特性、信号レベル等の特性差が生じると、正しいステレオイメージが得られにくい等の問題もあり、広く一般には普及しなかったが、1つの筐体(キャビネット)に同調回路と低周波増幅回路(アンプ)を2組実装した専用ラジオも発売され、都市圏の富裕層の音楽愛好家から一定の支持は集めていたようである。
その一方、mt管を使い、トランスを省略したトランスレス式真空管ラジオが普及するにつれ、従来の小型・標準タイプに加え、高級指向のラジオを求める消費者ニーズも生まれ始め、受信回路、出力回路は1組で実際はステレオ受信対応しないものの、スピーカを左右対象位置に2個搭載した『2スピーカーラジオ』が各社から発売された。
卓上小形のプラスティック・キャビネットに同じ口径のスピーカを2組積むと同じ出力でも2倍大きな音を出せるメリットがあり、「ステレオもどき」の2スピーカ・ラジオが瞬く間に流行したのである。
東芝は、まず昭和34年(1959年)、かなりやシリーズに左右対称位置に2スピーカーを配置した かなりやCSと、キャビネット左側にスピーカーを2個配置した かなりやESの高級機2機種を発売した。
翌年、昭和35年には左右対称位置にデザインされた かなりやHS かなりやRSを、続いて昭和36年に発売された2スピーカータイプかなりやシリーズ5番目の機種が、今回ご紹介するかなりやYSである。
さらに昭和37年、かなりやS、かなりやX、マジックアイ付の かなりやJの2スピーカータイプ3機種を発売。4年間で累計8機種の2スピーカタイプのかなりやシリーズを世に送り出したことになる。
この年以降、かなりやシリーズは昭和39年に1スピーカ・モデルのかなりやKと かなりやLの2機種を出すにとどまり、真空管ラジオの生産を終えている。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやYS 5ZL-541 』
サイズ : 高さ(約15cm)×幅(約43cm)×奥行き(約12cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1605KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
横幅43cmの かなりやYSは、通常の1スピーカータイプのトランスレス式真空管ラジオより10cm長く、感覚的にはかなり横幅が広がったように感じる。ラウンドを効かせたキャビネット、さらには緩やかな曲面処理を施されたフロントパネルとアルミメッシュ製スピーカーグリルが相まったフラッシュ・サーフェイスのデザインにより、大きさの割には全体的に引き締まった印象だ。清掃・研磨後、新品の輝きをとり戻したときの かなりやYSを想像すると、気分も自ずと高まってくる。
宅配便で届いた かなりやYSのプラスチック製キャビネットは、汚れ・黄ばみ、天板の裏蓋の止め部分に2ヶ所3センチほどのひび割れと、天板正面に若干の傷があるものの、パーツの欠品も無く、外観は程々である。
オークションの出品者の方から、「修理済でMW,SWともよく受信ができています」とコメントされていた通り、裏蓋を取外すと、キャビネット内部は修理が行なわれた際に軽く清掃されているようだ。しかし完全に清掃されていないキャビネットとフロントパネルの隙間に堆積している大量の埃が、40年という長い時を経てきたことを物語っている。真空管のうち、30A5(電力増幅)、35W4(整流)の2本は東芝以外のメーカーの球に交換されている。
いつものように内部抵抗値、ブロックコンデンサーの状態、ヒューズの規定値を確認し、電源を入れてみた。
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平成4年(1992年)3月、「AMラジオのFM化」と期待され、東京のキー局、北海道・名古屋・大阪・福岡の大都市圏の各AMラジオ放送局およびWBS和歌山放送、RSK山陽放送、RCC中国放送、RKK熊本放送からモトローラ方式によるAMステレオ放送が実施されている。しかしAMステレオ対応ラジオが少ないことに加え、NHKが導入を見送ったことも影響し、幅広い普及には至っていない。
ソニーSRF-A300、SRF-AX51V、パイオニアFD-3
ただカーオーディオには、AMステレオ対応のCDチューナーが多く存在するので、いつものお気に入りCDやFM番組を聞いてばかりのアナタ! 一度、AMバンドに切替えてみてください。臨場感溢れるプロ野球中継が聞けるかも知れませんよ!!・・・・ん?、音楽好きには、プロ野球中継なんてウルサイだけだって??
結局、AMステレオ放送って意味ないってことじゃん?!
お久しぶりです。型式表示の消えた真空管の見分け方ですね。真空管をキレイにしようとついゴシゴシしちゃったりして、消えてしまうことってありますよね。
そんな時は・・・型式表示の分かる真空管の現物同士を比較してみましょう!これが一番だと思います。
なお一般的なトランスレス機の場合なんですが、まず30A5と35W4は大きいので解りますよね。内部の構造が複雑な方が30A5です。
12AV6については、内部に2本の万歳グリッドが外にあります。
問題は12BA6と12BE6ですが、内部を詳しく見ればグリッドが3個と5個の違いがあります。
以上、友人である「真空管の達人さん」からご教示いただいた見分け方です。
ちゃぼたさんからご質問をいただくと、冷や汗をかいてしまう、ラジオビギナーの店長です。(汗)
真空管メーカー(OEM含む)はいろいろありますが、型式が同じならメーカーは選びませんよね。
例えばナショナルでもNECでも35W4なら同じですから。現物合わせが一番です。あと回路図との照合もお忘れなく。