昭和35年、東芝は真空管ラジオに使っていた「マツダ」ブランドを外し、「東芝」ブランドの かなりやシリーズ6機種(FS, HS, KS, LS, NS, RS)を発売した。東芝としては従来の個性的なデザインから、スマートなデザインへの変化を目指した1台が今回ご紹介する かなりやNSである。
写真のように、かなりやFS、KS、LS、NSの4機種を並べてみると洗練されたデザインである反面、かってご紹介したマツダ・ブランド時代の かなりやシリーズに見られたアクの強さは消え、発売以来、かなりやシリーズで試みられてきた『新たな意匠への挑戦』というインダストリアル・デザインとしての魅力は、ここへ来て円熟期を迎え、ある意味半減したとも言える。
【写真左上から かなりやFS、KS、左下 LS、NS】
その裏を返せば、マーケットの関心は卓上型小型真空管ラジオからトランジスタ・ラジオへと加速度的に移行しつつあり、数年内に真空管ラジオのアドバンテージは“安い価格”だけになると判断したメーカー側も、生産効率の向上とコストダウンにシフトしたことが読取れる。
かなりやNSは、オフホワイトに近いライトベージュのボクシーなフォルムのフロントグリルを上下に分割し、上2/3に透明パネルと白いバックパネル、下1/3は縦スリットを入れてやや絞り込んだキャビネットを基調としつつ、金モール付の黒いツマミ3つを配置、視覚的にも“上品な雰囲気”を強調したデザインを採用している。しかし、かって「マツダ」と書かれた七宝焼エンブレムに代わり、左上に貼られた「Toshiba」ロゴの安っぽいアルミ製エンブレムに、マーケットにおける真空管ラジオのポジション低下を垣間見てしまい寂しい気分になってくる。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA) かなりやNS 5UL-499
サイズ : 高さ(約14cm)×幅(約32cm)×奥行き(約12cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1605KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
かなりやシリーズの中でも その存在が希薄でキャビネットの天板に焼け焦げた傷跡のあるせいなのか、オークションでの入札価格は上がらず、居酒屋1回分の予算内で落札できた。
宅急便で届いた かなりやNSは、何十年も放置されていたのだろう・・・キャビネット全体の汚れは酷く、フロントの透明パネルとキャビネットの間にはたくさんの埃が堆積し、残念ながらツマミも2個破損している。幸いエンブレム等の欠損や酷いダメージは見られない。
裏蓋を取外すと、清掃された様子はなく、キャビネット底部やシャーシ上の真空管、IFT、バリコンには多くの埃が堆積しているが、こんなラジオの方が、意外と簡単に修理できたりする。
この50年近く放置されていた かなりやNSのやつれた姿に「かなわぬ恋に傷ついた旧家のお嬢様」の姿が重なり、つい感情移入してしまう。麻の白いワンピースが似合うお嬢様に、再び明るい笑顔をとり戻してもらうことを願い、このラジオを修復することを決意した。(←店長、また自分の思い出&妄想モードになってるし・・・)
破損したツマミを抜き、イヤホン端子の止めネジ、シャーシ、スピーカーを順次取り外し、シャーシ内の点検を行なう準備に取りかかった。イヤホン端子の止めネジにはCRCを吹きつけ、専用ドライバを溝に差込み、押さえつけながらギュッと回さないと外れない。この作業にはコツを要すのだが、案の定、「ペキッ」という音とともにキャビネットのイヤホン端子部分のみが割れて取れてしまった・・・(´Д`)トホホ
毎度のことながら、この誇りの山と汚れは閉口してしまう。今回は、友人の職場にあるエアコンプレッサーとエアガンをお借りし、シュシューっと埃を吹き飛ばした。使ってみるとOAクリーナーと違いエア噴出圧も大きく、また噴出量をエアガンの引き金で調整できる大変便利な機械だ。
しかしまだまだ汚いなぁ~ ( ̄д ̄;)
真空管を抜いてシャーシー上と内部の埃を平筆やアルコールを使って丹念に清掃しながら、目視点検を行なったところ、スピーカーへの配線を切り、再度繋ぎ合わせている。真空管も12BA6以外はナショナル製に交換されている。
清掃後のシャーシは錆もほとんどなく、ピカピカになって気持ちいい (^▽^)
ん?ブロック型ケミコン底部に何かの固着物が・・・!これがケミコンの液漏れ跡?
シャーシ内部にも若干の綿埃が堆積しているので、エア吹きと平筆で掃除をする。修理された形跡は見当たらないが、ケミコン底部の固着物が気になる。選局ツマミを引き抜くときに力を入れすぎたのか、シャフトが変形している。
まずキャビネットの清掃に取りかかる。読者のかぼすIさんからご教授いただいた方法(裏から大きめのマイナスドライバーを当て 木槌で軽く順番に叩く)を用い、今回も見事にフロント透明パネルを取外すことができた。希釈したマジックリンで汚れを落とし、焼焦げ跡は#600のサンドペーパーで削り、固着した他の汚れもコンパウンドを3種類使い研磨して、キャビネットは新品のように蘇った。店長、「カリオストロの城」のクラリス嬢の笑顔を取り戻せるか?!
いよいよシャーシー内の修復開始である。電源を入れる前に、テスターで各種導通をチェックしたところ、とりあえずOKだが、液漏れをおこしているブロックコンデンサーは交換が必要であろう。ラグ板と電解コンデンサーを組合わせてチューブラ型を作るか、貴重品のブロックコンデンサを使うか悩みどころだ。
回路図では47μ+22μを使われているが、47μ+47μでも構わないとのこと・・・。
爆発したりしないのだろうか・・・・ (;^_^A
今回は他の部品状態も良好なため、ブロックコンデンサを使用することにした。
オリジナルの配線を確認後、いったん配線を外し、ブロックコンデンサを交換。ペーパーコンデンサもすべてフィルムコンデンサに交換した。
ところが作業中に何かの拍子でハンダ付けされている100Ωの抵抗が外れてしまい、再度取付けするアクシデントも発生・・・ラジオの修理をしていると、時々こうした40数年の経時変化によるオリジナルのハンダ付けが外れる現象に遭遇し、配線の再確認の重要性を実感する。
写真のように、かなりやFS、KS、LS、NSの4機種を並べてみると洗練されたデザインである反面、かってご紹介したマツダ・ブランド時代の かなりやシリーズに見られたアクの強さは消え、発売以来、かなりやシリーズで試みられてきた『新たな意匠への挑戦』というインダストリアル・デザインとしての魅力は、ここへ来て円熟期を迎え、ある意味半減したとも言える。
【写真左上から かなりやFS、KS、左下 LS、NS】
その裏を返せば、マーケットの関心は卓上型小型真空管ラジオからトランジスタ・ラジオへと加速度的に移行しつつあり、数年内に真空管ラジオのアドバンテージは“安い価格”だけになると判断したメーカー側も、生産効率の向上とコストダウンにシフトしたことが読取れる。
かなりやNSは、オフホワイトに近いライトベージュのボクシーなフォルムのフロントグリルを上下に分割し、上2/3に透明パネルと白いバックパネル、下1/3は縦スリットを入れてやや絞り込んだキャビネットを基調としつつ、金モール付の黒いツマミ3つを配置、視覚的にも“上品な雰囲気”を強調したデザインを採用している。しかし、かって「マツダ」と書かれた七宝焼エンブレムに代わり、左上に貼られた「Toshiba」ロゴの安っぽいアルミ製エンブレムに、マーケットにおける真空管ラジオのポジション低下を垣間見てしまい寂しい気分になってくる。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA) かなりやNS 5UL-499
サイズ : 高さ(約14cm)×幅(約32cm)×奥行き(約12cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1605KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
かなりやシリーズの中でも その存在が希薄でキャビネットの天板に焼け焦げた傷跡のあるせいなのか、オークションでの入札価格は上がらず、居酒屋1回分の予算内で落札できた。
宅急便で届いた かなりやNSは、何十年も放置されていたのだろう・・・キャビネット全体の汚れは酷く、フロントの透明パネルとキャビネットの間にはたくさんの埃が堆積し、残念ながらツマミも2個破損している。幸いエンブレム等の欠損や酷いダメージは見られない。
裏蓋を取外すと、清掃された様子はなく、キャビネット底部やシャーシ上の真空管、IFT、バリコンには多くの埃が堆積しているが、こんなラジオの方が、意外と簡単に修理できたりする。
この50年近く放置されていた かなりやNSのやつれた姿に「かなわぬ恋に傷ついた旧家のお嬢様」の姿が重なり、つい感情移入してしまう。麻の白いワンピースが似合うお嬢様に、再び明るい笑顔をとり戻してもらうことを願い、このラジオを修復することを決意した。(←店長、また自分の思い出&妄想モードになってるし・・・)
破損したツマミを抜き、イヤホン端子の止めネジ、シャーシ、スピーカーを順次取り外し、シャーシ内の点検を行なう準備に取りかかった。イヤホン端子の止めネジにはCRCを吹きつけ、専用ドライバを溝に差込み、押さえつけながらギュッと回さないと外れない。この作業にはコツを要すのだが、案の定、「ペキッ」という音とともにキャビネットのイヤホン端子部分のみが割れて取れてしまった・・・(´Д`)トホホ
毎度のことながら、この誇りの山と汚れは閉口してしまう。今回は、友人の職場にあるエアコンプレッサーとエアガンをお借りし、シュシューっと埃を吹き飛ばした。使ってみるとOAクリーナーと違いエア噴出圧も大きく、また噴出量をエアガンの引き金で調整できる大変便利な機械だ。
しかしまだまだ汚いなぁ~ ( ̄д ̄;)
真空管を抜いてシャーシー上と内部の埃を平筆やアルコールを使って丹念に清掃しながら、目視点検を行なったところ、スピーカーへの配線を切り、再度繋ぎ合わせている。真空管も12BA6以外はナショナル製に交換されている。
清掃後のシャーシは錆もほとんどなく、ピカピカになって気持ちいい (^▽^)
ん?ブロック型ケミコン底部に何かの固着物が・・・!これがケミコンの液漏れ跡?
シャーシ内部にも若干の綿埃が堆積しているので、エア吹きと平筆で掃除をする。修理された形跡は見当たらないが、ケミコン底部の固着物が気になる。選局ツマミを引き抜くときに力を入れすぎたのか、シャフトが変形している。
まずキャビネットの清掃に取りかかる。読者のかぼすIさんからご教授いただいた方法(裏から大きめのマイナスドライバーを当て 木槌で軽く順番に叩く)を用い、今回も見事にフロント透明パネルを取外すことができた。希釈したマジックリンで汚れを落とし、焼焦げ跡は#600のサンドペーパーで削り、固着した他の汚れもコンパウンドを3種類使い研磨して、キャビネットは新品のように蘇った。店長、「カリオストロの城」のクラリス嬢の笑顔を取り戻せるか?!
いよいよシャーシー内の修復開始である。電源を入れる前に、テスターで各種導通をチェックしたところ、とりあえずOKだが、液漏れをおこしているブロックコンデンサーは交換が必要であろう。ラグ板と電解コンデンサーを組合わせてチューブラ型を作るか、貴重品のブロックコンデンサを使うか悩みどころだ。
回路図では47μ+22μを使われているが、47μ+47μでも構わないとのこと・・・。
爆発したりしないのだろうか・・・・ (;^_^A
今回は他の部品状態も良好なため、ブロックコンデンサを使用することにした。
オリジナルの配線を確認後、いったん配線を外し、ブロックコンデンサを交換。ペーパーコンデンサもすべてフィルムコンデンサに交換した。
ところが作業中に何かの拍子でハンダ付けされている100Ωの抵抗が外れてしまい、再度取付けするアクシデントも発生・・・ラジオの修理をしていると、時々こうした40数年の経時変化によるオリジナルのハンダ付けが外れる現象に遭遇し、配線の再確認の重要性を実感する。
電源コードが根元から切られた真空管ラジオは危ない!と言われますが、mt管ラヂオだと、トランジスタラジオの普及を促進するため、単に電気屋さんが修理が面倒とかの理由でコードを切ってお客に返したという話を聞いたこともあります。まずは電源をオンにした状態で、ACプラグの導通の値を確認してみてください。本当ならスライダックスで徐々に電圧を上げて様子を見るのでしょうが、ボクはコンセントをすぐ抜ける状態にして、エイ!と電源を入れちゃいます。
涼しくなったし、仕事も少し落ち着いたので秋の夜長をラジオ修理にあてようかと考え始めたこの頃です。
オークションで落としたカナリアKを、昨日少し清掃のため分解して、キャビネット類は台所潜在で水荒いし増した。シャーシー部分は外したままです。見た目に焼け焦げ等は無いのですが、電源コードがシャーシーを出た部分で切断されているので怪しいです。案外新しいコードに交換すると音が出るのではないかと期待しています。
ではまた
かめ
鋭いツッコミありがとうございます(笑)
なんちゃってレストア店長としては、焦ってしまいました・・・(自爆)
雲野月さん
ナイスな横レス・フォロー&アドバイスをいただき、ありがとうございます。
先ほどブロックコンデンサーを取り外し、シャーシ上にラグ板を配置しましたが、結線コードが短く、明日の作業といたします。
しかし配線間違わないようにしないと・・・
ありがとうございました。爆発は怖いですね!
店長様、交換してくださいね。では。
はいー、ラグの接地金具をアース電極に利用するのは、OKです!配線が省略出来て合理的ですよね。但し、この様なトランスレス機の場合、シャーシをアースとして使わない配線がなされているセットもあるかも知れませんので(太いメッキ銅線をアースにして、シャーシとは絶縁している)、念の為確認して下さいね。他の部品も直接アースに落ちているならOKです。
弟子様へ(横レスすみません)
ケミコンの爆発の原因は、耐圧がギリギリだったり、温度が高かったり、電源ON時にケミコンだけにフルに電流が流れる状態だったり、ショート放電を繰り返したり・・と色々ありますが、一番危ないのは「古い」ケミコンでしょう。現代より品質が劣っていた様ですから。
私はそれ程場数を踏んで居る訳でありませんし、ネット上にはもっと詳しい方が大勢いらっしゃいますので、はっきりは申せませんが、昭和30年代以前のは換えた方が安全だと思います。
但し、現代の製造後5年そこそこの脱毛機のケミコンが破裂したのを、何回か見た事がありますので、新しくてもダメな時はダメな様です(苦笑)
直してください!お願いします!
今日からお盆明けの仕事モードでしたが、この猛暑、当地でも気温36度、職場ではお盆休みの熱がこもり、朝6時過ぎの時点で37度の室温にびっくり!
写真のようにパーツだけは揃えていますが、部品配置(取り合い)に頭を悩ませています。シャーシ上にラグ板を立てるとケースやSPに接触してしまうし・・・
ラグ板の取付け足位置にアースを持ってくればいいとは思うのですが?イマイチ自信がありません。
そんな訳でお盆休みもずっと悩んでました。
(;^_^A トホホ
ケミコンは47μFでも22μFでもほとんど変らないと思いますよー。理屈上は容量が減ると多少ハムが増える事になりますが、たぶんほとんど変化は無いと思います。元々5球スーパーに47μFはオーバースペック気味ですから・・・
耐圧と極性さえ大丈夫なら、容量が変ったからと言って爆発する事はありません。(でも破裂する時は何でもしますが・・・(苦笑) 容量の変更は破裂の要因にはならないと言う意味です)
お久しぶりですね。
とうとう買っちゃいましたか!
新品パソコンの使い心地はいかがですか?
ボクも7月下旬からとうとうXP機に入れ替えました。
いまさらXPというののなんなんですが・・・
これからもどんどんお立ち寄りくださいね!!
新しいPC買っちゃいました!おかげでボーナスが吹っ飛びました
確か 押入れの奥深く。。。 A^-^;
ここだけの話ですが。
って みんな 見てるし(笑)。
いやぁ~自分でもキレイになったシャーシとケースにウットリしています♪
ところであの名作「洗濯屋ケンちゃん」の時代が懐かしい・・・っす。
綺麗に なりましたねー! (^。^)y-.。o○
おひさしぶりですね~
博多のラーメン、水炊き、もつ鍋、長崎トルコライス、卓袱料理、宮崎地鶏に冷汁など順次ご紹介しますね。PC安いものに買い換えられたら・・・?
だれかプレゼントしてあげてください♪
いやぁ~回路の解説なんて百年早いです。
例えば僕の尊敬するレストア師匠のドクターKが、そのあたりの解説を公開していただけないかと期待しています。
「とりあえず鳴れば結果オーライ」的なところを自省しているこのごろです。
ぜひ当ブログでも山椒のようにピリリときいたコメントを期待しています。
PC直ったらまた遊びに来ます(^▽^)
どんな画か、すっごく気になるよ~゜。(p>∧<q)。゜゜
家のPCはモデムの調子が悪く接続できず、このPCだとセキュリティの関係でメールができず、この場を借りてご連絡です。
貴重なTubeをありがとうございます。米国製ラジオも弄っていますので、活用させていただきます。取り急ぎ、お礼まで。
16時間労働の日々が続いています。家のPCはモデムの調子が悪く接続できず、このPCだとセキュリティの関係でメールができません。
新ユニットyuuko & UZのブログも盛り上がってますね~ 明日から9日間の夏休みの予定が、出張だぁー(泣)
(人´∀`)♪ ぽゎぁ~ん