ヤフオクで昭和10年代('35年~)に製造されたと思われるレストア済みのST管並四受信機を発見。木箱キャビネットのST管ラジオはスペースをとるため敬遠していたが、アンティークラジオファンを魅了する戦前のラジオを一度体験したいと思い入手した。
一般的に “真空管ラジオ” といえば、木製キャビネットの古めかしいラジオを連想する人が多いのではなかろうか。
米国Philcoが1930年(昭和5年)に頭が丸い縦型木製キャビネット“カセドラル(教会堂)” 型を発表し、好評だったため他社も追従して縦型の小型ラジオを売り出した。日本でも’36年(昭和6年)頃から米国の流行を受けて同型のラジオが販売されたようだが、カセドラルやトムストーン(墓石)よりも“ミゼット”の方が呼びやすいことから縦型ラジオをミゼットと総称して言うようになったそうです。1934年(昭和9年)頃になると、金属シャーシの登場と真空管もST管の登場により、キャビネットはさらに小型化され、コンパクトになる。
▲コンパクトでシンメトリックな並四 WONDER受信機のデザイン
そして縦型だけでなく、このWONDER受信機のように背の低い正方形に近い小型ラジオやさらに長方形の小型ラジオが登場します。これらのキャビネットは、戦後スーパ時代の横長の箱とは違い、ゴチック様式のデザインが施され、昭和10年(1935年)前後から大東亜戦争前までに、多くのメーカから再生式受信機(ラジオ)が発売されていた。
この頃の並三・並四・高一(4ペン)などと呼ばれるラジオは、周波数変換をしない、ストレート方式と呼ばれる再生検波回路のラジオであり、現代のラジオと比べると感度も分離も悪いものでした。
オリジナルでは、マグネチックスピーカーが使用されており、写真のように、向かって左側に同調ツマミ(選局チューニング)と、右側に再生調整ツマミが付いています。再生調整ツマミを回して、ピューと音をさせながら、発振直前に合わせる独特の調整が必要です。使用方法を知らないと、どの様に調整してよいのか戸惑います。
またAVC回路が無いため、電波の強さが、そのまま音量の大きさになります。
▲この再生調整ツマミで発振を確認し、同調ツマミで選局する
再生検波の仕組み (新)真空管ラジオ修復記より抜粋
再生検波とは、同調回路で選択した高周波電流を、人間の耳に聞くことができる低周波電流に検波する時に、真空管で増幅した電流を、そのまま再度同調コイルの方に正帰還をかけて戻し、再度増幅する方法です。正帰還ですので、あまり戻し過ぎると回路が発振してしまいます。そこで帰還量を調整して、発振直前のポイントにすると、最も効率よく大きな音が取り出せる訳です。この正帰還量の調整を、再生調整といいます。
この方式は少ない真空管で、最大限の増幅率を得ようとする場合に有効ですが、調整が面倒なのと、回路が発振直前なんで不安定になる欠点があります。また再生調整時に、不要電波を輻射するという弊害もあります。この弊害によって、通信に妨害が出たとして、戦後直後にアメリカ占領軍(GHQ)は、日本での再生検波方式のラジオの製造を禁止し、すべてスーパーヘテロダイン方式(俗に言う5球スーパーなど)に移行させたという話もあります。
▲前オーナーの手で、キャビネットはキレイに再塗装されている♪
さて今回入手した並四ラジオ受信機は、前オーナーの手により、シャシーは塗装サビを取り亜鉛蒸着塗装が施され、キャビネットも再塗装されており非常にキレイな状態です。真空管は、すべてマツダ製のST管が装着されています。
▲シャーシも亜鉛蒸着塗装が施され、見事なレストアです
前オーナーがこのラジオを入手された時、スピーカは既にマグネット式からパーマネント・ダイナミック タイプに交換されていたそうです。戦前のマグネチックスピーカーは、エナメル線の材質が悪く、電蝕作用によって半数近くは断線しているため、巻き直しが必要です。
(新)真空管ラジオ修復記に “マグネチックスピーカーの巻き直しについて” という詳しい巻き直し方法が掲載されています。
▲当時のラジオはこのようなマグネット・スピーカが使われていた
銘板には、「WONDER受信機」「SHIRAE RADIO WORKS(Tokyo,Japan) 」と記されているが、型式や製造年は不明だ。史料を調べても、シャープ(早川電機)、ヘルメス(大阪無線)、ナショナル(松下無線)、アリア(ミタカ電機)など当時多数存在した大手・中堅メーカではなさそうです。
▲銘板には、WONDER受信機 SHIRAE RADIO WORKSとある
メーカー:SHIRAE RADIO WORKS(Tokyo,Japan) WONDER受信機
サイズ : 高さ(約25cm)×幅(約30cm)×奥行き(約17cm)
受信周波数 : 中波 550KC~1500キロサイクル
使用真空管 : UY56(再生検波)UX26B(低周波増幅)UX26B(出力)KX12F(整流)
電 源 : AC 90~100V 50/60サイクル
一般的に “真空管ラジオ” といえば、木製キャビネットの古めかしいラジオを連想する人が多いのではなかろうか。
米国Philcoが1930年(昭和5年)に頭が丸い縦型木製キャビネット“カセドラル(教会堂)” 型を発表し、好評だったため他社も追従して縦型の小型ラジオを売り出した。日本でも’36年(昭和6年)頃から米国の流行を受けて同型のラジオが販売されたようだが、カセドラルやトムストーン(墓石)よりも“ミゼット”の方が呼びやすいことから縦型ラジオをミゼットと総称して言うようになったそうです。1934年(昭和9年)頃になると、金属シャーシの登場と真空管もST管の登場により、キャビネットはさらに小型化され、コンパクトになる。
▲コンパクトでシンメトリックな並四 WONDER受信機のデザイン
そして縦型だけでなく、このWONDER受信機のように背の低い正方形に近い小型ラジオやさらに長方形の小型ラジオが登場します。これらのキャビネットは、戦後スーパ時代の横長の箱とは違い、ゴチック様式のデザインが施され、昭和10年(1935年)前後から大東亜戦争前までに、多くのメーカから再生式受信機(ラジオ)が発売されていた。
この頃の並三・並四・高一(4ペン)などと呼ばれるラジオは、周波数変換をしない、ストレート方式と呼ばれる再生検波回路のラジオであり、現代のラジオと比べると感度も分離も悪いものでした。
オリジナルでは、マグネチックスピーカーが使用されており、写真のように、向かって左側に同調ツマミ(選局チューニング)と、右側に再生調整ツマミが付いています。再生調整ツマミを回して、ピューと音をさせながら、発振直前に合わせる独特の調整が必要です。使用方法を知らないと、どの様に調整してよいのか戸惑います。
またAVC回路が無いため、電波の強さが、そのまま音量の大きさになります。
▲この再生調整ツマミで発振を確認し、同調ツマミで選局する
再生検波の仕組み (新)真空管ラジオ修復記より抜粋
再生検波とは、同調回路で選択した高周波電流を、人間の耳に聞くことができる低周波電流に検波する時に、真空管で増幅した電流を、そのまま再度同調コイルの方に正帰還をかけて戻し、再度増幅する方法です。正帰還ですので、あまり戻し過ぎると回路が発振してしまいます。そこで帰還量を調整して、発振直前のポイントにすると、最も効率よく大きな音が取り出せる訳です。この正帰還量の調整を、再生調整といいます。
この方式は少ない真空管で、最大限の増幅率を得ようとする場合に有効ですが、調整が面倒なのと、回路が発振直前なんで不安定になる欠点があります。また再生調整時に、不要電波を輻射するという弊害もあります。この弊害によって、通信に妨害が出たとして、戦後直後にアメリカ占領軍(GHQ)は、日本での再生検波方式のラジオの製造を禁止し、すべてスーパーヘテロダイン方式(俗に言う5球スーパーなど)に移行させたという話もあります。
▲前オーナーの手で、キャビネットはキレイに再塗装されている♪
さて今回入手した並四ラジオ受信機は、前オーナーの手により、シャシーは塗装サビを取り亜鉛蒸着塗装が施され、キャビネットも再塗装されており非常にキレイな状態です。真空管は、すべてマツダ製のST管が装着されています。
▲シャーシも亜鉛蒸着塗装が施され、見事なレストアです
前オーナーがこのラジオを入手された時、スピーカは既にマグネット式からパーマネント・ダイナミック タイプに交換されていたそうです。戦前のマグネチックスピーカーは、エナメル線の材質が悪く、電蝕作用によって半数近くは断線しているため、巻き直しが必要です。
(新)真空管ラジオ修復記に “マグネチックスピーカーの巻き直しについて” という詳しい巻き直し方法が掲載されています。
▲当時のラジオはこのようなマグネット・スピーカが使われていた
銘板には、「WONDER受信機」「SHIRAE RADIO WORKS(Tokyo,Japan) 」と記されているが、型式や製造年は不明だ。史料を調べても、シャープ(早川電機)、ヘルメス(大阪無線)、ナショナル(松下無線)、アリア(ミタカ電機)など当時多数存在した大手・中堅メーカではなさそうです。
▲銘板には、WONDER受信機 SHIRAE RADIO WORKSとある
メーカー:SHIRAE RADIO WORKS(Tokyo,Japan) WONDER受信機
サイズ : 高さ(約25cm)×幅(約30cm)×奥行き(約17cm)
受信周波数 : 中波 550KC~1500キロサイクル
使用真空管 : UY56(再生検波)UX26B(低周波増幅)UX26B(出力)KX12F(整流)
電 源 : AC 90~100V 50/60サイクル