昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

GE (General Electric) Model C4404

2008-03-06 | アメリカ製真空管ラジオ
友人&先輩である音響の匠氏の事務所では、GE製クロックラジオC-505から乾いた耳に心地いいサウンドが流れてる。同型のラジオをヤフオクで発見、“1950年代”と言う文句に踊らされ落札してみたら・・・何とトランジスタラジオだった!! 
という、実に間抜けなお話・・・ A^-^;
        
        ▲音響の匠氏所有のGE製真空管クロックラジオC-505D
 真空管ラジオに魅かれた理由の一つは、その「デザイン」にあることは、何度か述べた。
’40~50年代インダストリアルデザインの技を競ったアメリカ製ベークライトキャビネットの真空管ラジオは、’50年代後半に入り、生産効率を追求したプラスチックキャビネットへと変わるにつれ、デザイン的な魅力は一気に衰退する。そんな中、直方体を基調とした写真のGE製クロックラジオは、シンプルな造形と選局ダイヤルのコンビネーションがアクセントになり、アメリカン・グラフティに出てきそうな雰囲気を醸し出す。
        
 ただなぜかアメリカ製にはこの機種を含め、パイロットランプを装着しないラジオが多く、暗い部屋で薄灯りのぬくもりを堪能する楽しみは得られない。回路全体の負荷に影響する割には、交換を要するパイロットランプがあると、余計なメンテナンスが必要なため、合理性を求める彼の地では割愛しているのでしょうか。
        
 一方、その乾いたサウンドは、民放ラジオのトーク番組をBGM代わりに聞き流すには、ちょうどよい。キャビネットの中身はプリント基板に真空管を載せたスタイルだが、プリント基板の作りもしっかりしており、’60年代中盤に日本で一時採用された熱に弱いプリント基板とは一線を画す品質だ。
        
        ▲C-505は、プリント基板に真空管が並びスピーカはキャビネット底面に
 ヤフオクを徘徊していると同型機を発見! 出品者の方のコメントには、
「General Electric社製真空管ラジオです。アメリカ駐在中に購入し持ち帰りました。」
と書かれており、勇んで入札したところ、思いのほか価格は高騰せず、いつもの予算内で落札できた♪
        
        ▲今回、店長が入手したチープ感漂うGE製クロックラジオC4404
 宅急便で届いたラジオは、小傷はあるもののキャビネットに艶もあり、同世代の日本製真空管ラジオのキャビネットとはプラスチックの素材も違うのか、50年前のラジオとは思えないほど。
ただ音響の匠氏のGEアラームクロックラジオと比べ、キャビネットは同じ金型を使って作られているが、クロック部の文字盤ほか金属パーツがシルバーのため、あっさりしすぎ、チープ感の漂うデザインだ。
        
 裏蓋には、UL規格のCAUTION(注意)と型式が書かれている。このラジオは、C4404 HONEY BEIGEのようだ。仕様は105-120Vの60Hzの対応であることがわかる。
        
 いつものように裏蓋を外し、キャビネットの中身を点検しようとしたところ・・・ 一瞬、我が目を疑った。真空管がない!! 
        
        ▲裏蓋を外した瞬間、我が目を疑った! 真空管は・・・?
 しかし、よくよく見ると・・・ プリント基板の上にトランジスタが載っているじゃないですか。
「おいおい、こんなのアリかよ~」
と独り言で文句を言っても、プリント基板に真空管が生えてくるわけじゃなし。
        
 状況が理解できないまま、再びプラスチックキャビネットに目をやると、選局ダイヤルの下に「SOLIDSTATE」の文字を発見。どおりで程度の割には値段が高騰しなかったわけだ。ヤフオクで真空管ラジオを蒐集するマニアの人は、このあたりも抜け目無くチェックしてるんでしょうね。
        
 テストでは真空管ほどデリケートになる必要もなく、とりあえずACプラグをコンセントに差込み、動作確認を行なってみた。クロック部の時計は、スムーズに動く。ラジオのスイッチをONにすると、トランジスタラジオ特有のチリチリ音の雑音が聞こえてくる。選局ダイヤルを回すと、地元の民放とNHK中継局が入感する。しかし格別に感度がいいとは思えない。
しばらくNHKと民放の番組に耳を傾けたが、真空管ラジオとは何かが違う・・・ ん~ 感覚的に言うと、“耳に突き刺さる音” なのです。

 では真空管とトランジスタの音の違いはどこからくるのか?

        
 いわゆる「真空管の音」というイメージには、歪((高調波)特性が大きく影響しているように思います。もともと倍音と呼ばれる偶数次の高調波は、生音を聴かせる楽器や声に自然に含まれているものなので、偶数次歪は録音・再生の過程で失われたものを擬似的に補完する効果を持っているということがあるようです。また偶数次の歪(高調波)を含んだ音は、人間には “艶やかで自然な音色として感じられる” という説もあります。
このため、歪そのものは半導体よりも真空管の方がかなり大きくても、聴感上はより自然に聴こえるということらしいのです。
 さらに真空管ラジオに使われている出力トランスは、高域がなだらかに減衰する特性を持っていて、柔らかめの音になる傾向があります。
        
 応答特性まで述べると、高級オーディオのファンの方からは、「ラジオごときで何を語っているのか!」 とのお叱りもあるでしょうが、いずれにしても音質や聴感については、“良し悪し”というよりは、好みに合うか合わないかの問題だと思います。