湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ウォルトン:シエスタ(改訂版)

2019年01月27日 | イギリス
作曲家指揮LPO弦楽メンバー(lyrita)1971初版・CD

メランコリックなウォルトンを象徴する作品として「ビター・スイート」とライナーに書かれている曲だが、これは単にシエスタを描いたディーリアスと印象派の間の小品と認識してよく聴いた(ほんとにイタリーの青空を思い描いた作品とは知らなかったが)。もっと垢抜けてラヴェルに寄るもさらに疎な削り落とし方をしており、ウォルトンの書法の個性はロマンティックな中にしっかり反映されている。明るく突き抜けた音と整えたような構じ方が、ウォルトン晩年に差し掛かったころの指揮記録としてあまり印象に残らなかったもの、今聴いてみるとこの境地はなんとなくわかる。シエスタなのに録音が良すぎて、ビター・スイートのビターな部分が露骨過ぎるきらいはあるが、これはこれでいいのだろう。

 
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ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

2019年01月26日 | ラヴェル
ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(vai)1962/4/17ハーバード大学サンダースシアターlive放送(映像)・DVD

ミュンシュのこの曲の映像は3種あまりあるか、よく見ると割と個々に違っていて、この演奏は最初から作りが大きく(こころなしか編成も大きく見える)ミュンシュも幻想、海ときてここで疲労を隠せない動き方だが、それが程よく手綱を緩め演者の表現に面白い膨らみをもたらしているように感じた。それは「夜明け」ではソロミスや合奏のややぼやっとした響きを生んでおり、なんとなく固いようにも思った。映像だから演者の後ろの方で実際緩んでいる仕草も見える。だがパントマイムでフルート第一奏者が魅せる。他の映像でもこのトップの女性が吹いていたかと思うが、ここは見せ所の長丁場ゆえ皆気合は入り技巧はみせるが、この人は、とくにこのときは棒のような冷たい音を出すボストンの各奏者の中にあっていかにも暖かく美しい、ニュアンスに富んだソロを聴かせている。フランスオケでも通用するだろう。素晴らしい。この人が音だけでも際立っている。それは終演後呼び出され手の甲にキスされるだろう。全員の踊りはどうやったって盛り上がるようにできており、ミュンシュも体力を忘れて狂乱するのでこれはこれでいつものことである。爆発的拍手でおわる。
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マーラー:歌曲集「子供の不思議な角笛」~5.トランペットが美しく鳴り響くところ

2019年01月25日 | マーラー
ゼーフリート(S)ワルター指揮BBC交響楽団(ica)1955/5/29live放送・CD

9番とされている。ゼーフリートはワルターとの組み合わせではおなじみの名前だ。あまりにおなじみすぎて普通に聴き通してしまい特徴はとくによくわからなかった。この録音は歌唱がクリアにとらえられている。録音日は巨人と違いハイドンとともに演奏されたようだが、この曲の末尾に3楽章のフレーズが出てくる。
 
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マーラー:交響曲第1番「巨人」

2019年01月25日 | マーラー
ワルター指揮BBC交響楽団(ica)1955/5/15live放送・CD

R.イッターはlyritaレーベルの創始者だが52年より個人的にエアチェックしていた音源がシリーズ化されicaより復刻されている。プロ機材によると銘打っているもののノイズまみれで正直凡百海賊盤と変わらない(BBC放送の権利はよくわからないからこれも海賊なのかどうかわからない)。音の実が詰まっておりやり方によってはきれいに聴けるかもだけれど。ワルターのモノラルライヴとして標準的な音質ともいえ、肉感的でグラマラスな内容もまた昔のワルターの魅力たっぷり。最初の一音からしてワルターだとわかる勢い、速いテンポとうたいまわす音の分厚さが、詠嘆のマーラーはとうてい呼ばないけれども、巨人ならほぼ全編楽しめる。マーラーの巨人はどれもこんなもので、その中では「うねり」という面で大人しめというのは晩年様式への布石と思う。あるいはBBC交響楽団の性向か。機能的でどんなスタイルにも対応できるが、粘着が足りない。ラストは壮麗でワルターの世界は比類ない。拍手は普通。
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ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲

2019年01月24日 | ヴォーン・ウィリアムズ
モントゥ指揮ボストン交響楽団(eternities)1960/8/7タングルウッド音楽祭live

既発とは別録だと思う(環境雑音が耳障り)。モントゥらしい揺れないテンポ、ニュアンスの少ない太い音の流れ、しかし、この曲はそれでも威力を発揮する。宇野功芳はかつてワルターを第一に推したがこれはワルターの系譜と言っていいかもしれない。クライマックスにかけて押し寄せるロマンチシズム。ここぞというところでの力強い慟哭。そのあとも諦念をきたさず力を抜かず、オルガン的な調和した響きを保ち、コンマスソロでさえ力んで音が不安定になり、この音楽を彼岸に送るのではなく、天に飛翔させる。技術を保ちアンサンブルさえこうじられれば誰でもできるような名曲であるが、表現によって幅が出る。RVWらしさはなく、むろんタリスでもないが、盛大な拍手がこの演奏の成功を伝えてくれる。私は好き。ステレオ。メインのブラ4も同傾向で、解釈は無いがオケの迫力が凄い。
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チャイコフフスキー:交響曲第6番「悲愴」

2019年01月23日 | チャイコフスキー
バーンスタイン指揮ニューヨーク・スタジアム交響楽団(DG)1953・CD

モノラルではじめは左に音場の中心が寄っており安定せず聴きづらい。演奏内容はバンスタのイメージにない正攻法。速いパセージでオケが厳しくなることもあるがそれはバンスタのせいとは言い難い。意外なほど普通に聴ける。解釈が若干軽い感じすらする。50年代アメリカの悲愴の演奏記録、として聴くにはいいか。そういうスタイルである。
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ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

2019年01月20日 | ドビュッシー
パレー指揮デトロイト交響楽団(SLS)1975/8/14live meadow brook music fes.

メカニカルなラヴェルは大得意のパレーだが、こちらの美しい色彩も大したものだ。フルートソロは音的には個性はないが弦などの包み込む音響と調和してその中での佇まいがじつに幻想的で、これはオケ曲でありフルート曲ではないのだとはっきり意識付ける(コンチェルト以外のオケ曲で管楽ソロの出来を取りざたする評はそもそも私は苦手)。木管は基本的に棒のような吹き方をするが、パレーらしい音のようにも感じる。やっとヴァイオリンが主題を合奏するところはつんのめるようなテンポで雪崩込み「我慢できなかったのかな」ともおもうが、こういうテンポアップする方向で揺れるのはパレーらしさかもしれない。管楽アンサンブルになるとほんとうに組み方が巧い。パレーの職人的な面が出ている。そこからラストへ向けては法悦的な表現で、こういうのはもうその時代を知っている指揮者にしかできないのかもしれない。
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ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第二組曲

2019年01月20日 | ラヴェル
パレー指揮デトロイト交響楽団(SLS)1975/8/14live meadow brook music fes.

ノイズがひどく聴きづらい。状態がDAで出ていた別オケ別データとされるものに似ているがそれはもう確かめる気にならないとして、パレーのアメリカオケものにもかかわらずリリカルで落ち着いており意外な演奏となっている。立体的な音響の素晴らしい、打楽器系もしっかり組み合った極めて見通しの良いカラフルな演奏でビックリする。リズム感の良さも異常。ただ全員の踊りラストの方は激して少し甘くなるものの、即座の物凄いブラヴォもうなづける出来。ドライさはなくロザンタールの名人芸を彷彿とさせ、ライヴらしいライヴとも言える。
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チャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」〜ワルツ

2019年01月19日 | チャイコフスキー
ライナー指揮シカゴ交響楽団(vai)1953/11/18放送・DVD

案外立体的でトリッキーな書き方をするチャイコフスキーは曲によっては俊敏で表現力ゆたかな奏者を要求する。「偉大な芸術家の思い出」系の曲は力技ではチャイコフスキーの書法の独特さを聞かせることができない。ポルタメントまでかけてワルツを演出しては細かな音符をびっちり揃え緩急はっきりつける弦楽は素晴らしい意図通りの効果を出している。これは客席も盛り上がる。アンコール二曲目。ラスト。
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」〜花のワルツ

2019年01月19日 | チャイコフスキー
ライナー指揮シカゴ交響楽団(vai)1953/11/18放送・DVD

雄渾な演奏だが直線的ななかに音量など細かい操作がきいておりショウとして見せるライヴの醍醐味が感じられる。メインのワルツ主題をいちいち音を切ってアタックつけて弾くのはさすがに草だがこれも終盤には全体にグルーヴがかかってきて効果的なフィナーレになる。ラストを繰り返すのは??引き締まった良い演奏。アンコール一曲目。
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ドビュッシー:小組曲(ビュッセル編)

2019年01月19日 | ドビュッシー
ライナー指揮シカゴ交響楽団(vai)1953/11/18放送・DVD

案外隈取濃い演奏でボリューミーな太い音がこの曲には重い感じもする。ライナーの指揮は別にずっと棒立ちで僅かしか棒を動かさないわけではなく曲に即して大振りも小振りもするし体も動かす。いや音と指示は一致しておらず、速いテンポで颯爽とすすむ三楽章はニュアンス指示をかなりしっかり出して情感のこもった身振りをみせており、逆に一楽章は法悦的な表現でテンポもかなり遅くねっとりするがさほど振らない。それにしても男男したオケで(メンバーに女性はいるが音的に)繊細な情緒はないが力感や音の大波はさすがのライナーである。耳新しいハープのグリッサンドが聴こえるところがあり、あれと思ったが剛腕をふるう男性ハーピストの力技かもしれない。
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ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第2番「ロンドン交響曲」

2019年01月17日 | ヴォーン・ウィリアムズ
エルダー指揮ハレ管弦楽団(ho)2010/10/14live・CD

優秀録音。自主制作のライヴ盤だが最近の正規盤にひけをとらない。演奏は曲に適した繊細な音色と透明なダイナミズムに彩られたバランス良いもの。この曲は一般にヴォーン・ウィリアムズの代表作とされ、とくに英国では今も演奏頻度の高い曲だが、意図はどうあれ結果はロンドンの一日を表題性をもって描いた音詩であり、用いられる音要素〜ビッグベンにはじまりビッグベンに終わる〜にはローカリズム色濃く、主題も3番以後用いた民謡よりむしろ同時代の俗謡ふうで馴染みがない異国人には民謡とは別種の恥ずかしさを感じさせるというか、腰の落ち着かない心地がする。精緻さと手際の良さにより円熟期前特有の明るさを維持し軽やかさに持っていくことでロマンティックな重みを際立たせずすんなりまとめるエルダーは見識だが、それでもヒコックスなど長い原典版を用いて冗長な部分にあらわれる真のヴォーン・ウィリアムズ的な、心象的なものを浮き立たせて対比的に表現しており、どちらが良いのかは聴く人の好みにもよるか。私はこれは聴きやすかったが、何も残らない感じもした。
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ウォルトン:ファサード組曲

2019年01月16日 | イギリス
シットウェル、ランバート(語り)作曲家指揮室内楽団(decca/symposium他)1929/11/28初録音・CD

オリジナルメンバーによる初録音盤。鋭く締まった演奏で、トリッキーな音によるカリカチュアの連続と語りは変な芝居気や娯楽性を盛り込まずストレートに迫ってくる。ウォルトンの出世作ではあるがイミテーション陳列棚のような曲であり、技術の確かさと裏腹に偶発的な要素を除けば冒険的なものはない。私は苦手(笑)
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ロード・バーナース:フーガ

2019年01月16日 | イギリス
アンセル指揮交響楽団(symposium)1929/ 7/25・CD

新古典主義の作品できわめて構造的で、派手でモダンだ。中欧風というか非英国的でバタ臭い(バタ臭い?)。円熟期ウォルトンより攻めている。ただ現代音楽ではない。とても楽しく聴きやすい。短く締まっており手際の良さが反映されている。録音はノイズ塗れできついが、演奏はこの構造的な曲をしっかりやっていて、最後の方で少しヨレるほかは良い。
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アプリの不具合?による修正未反映について

2019年01月14日 | Weblog
本ブログは30年(ウェブサイトでは19年)にわたり運営していくなかで、随時予告なく過去記事修正を行うスタンスをとってきましたが、最近アプリから修正しても反映されないことがあります。昨日の更新もそうですが、かなりあとに気づいた場合、fc2のまとめブログだけ更新していることが多くなります。いずれ誤りの直しや書き直し前提で速記的にやっているものではありますので、あくまで速記として読んでいただければ。よろしくおねがいします。
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