湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲

2018年09月08日 | ハチャトゥリアン
ジョドリー(Vn)ミュンシュ指揮ORTF(ina)1954/6/19ストラスブール音楽祭live放送

ムラヴィンスキーの代役で振ったものでヘンデルの合奏協奏曲のあとに新古典主義ということで插入された演目だろう。メインはシューベルト7番(一番力が入っていたことはミュンシュの芸風柄言うまでもない)。ina配信ではPHD89036415というナンバーになる。ジョドリーのアンコールにバッハの無伴奏から1曲入るがとてもメロメロで重音が無音になったりする。まあヘンデルのソリスト、技巧的なハチャトゥリアンのソロのあとなので仕方ない。曲はこの作曲家らしく外しはしないが今ひとつ焦点の定まらない長ったらしさを感じさせ、やはりメカニカルな技術の披露が中心で、いかにも20世紀中盤的な尖鋭さとロマンチシズムの折衷性が民族的な要素の消化吸収によって示されているものの、個性的なものは感じない。スポーティな三楽章が聞きものか。ソリストはあまり強くないがこれを弾きこなす位には力量がある。ミュンシュはオシゴト的な感じがするが、オケがよく反応しハチャトゥリアンの仕掛けを上手にこなして、結果大ブラヴォの終演となる。急な代役としてはミュンシュというかオケが素晴らしい。面白いことに放送ナレーションは演奏後に説明を繰り広げていくスタイル。演奏日はAmazonデジタル配信を参照したが正確性には注意。
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☆ハチャトゥリアン:コンチェルト・ラプソディ(チェロと管弦楽のための)

2017年09月15日 | ハチャトゥリアン
○ロストロポーヴィチ(Vc)作曲家指揮ソヴィエト国立管弦楽団(IVC)1963LIVE・DVD

まさに演奏技術と現代ふうの民族書法だけで出来上がっているハチャのハードなほうの作風によるもので、アルメニア人以外にはだいたいみんなおんなじに聞こえるたぐいの作品だろう。ショスタコがダメでハチャのこういう作品が○というのはまったくソヴィエトという怪奇現象の象徴そのものである。大学で初めて買った譜面がヴァイオリンのためのコンチェルト・ラプソディだったが、技巧以前にまったく理解できない、機械のような譜面に、奇妙にわかりやすい民謡ふうフレーズの織り込まれた、子供にとっては奇怪きわまりないものですぐに脇に置きかわりにストラヴィンスキーの火の鳥の王女のテーマ編曲(作曲家が金のために編曲しつづけた中の一つで、しかしなかなか一筋縄じゃいかない独特の特殊技術の盛り込みかたはさすが)を買ったものだ。今はアマチュアでもヴィニャエフスキに挑戦するいわゆるセミプロのたぐいはこれもやったりするが、技巧をひけらかすだけの曲では聴く側は堪らない。至極理知的であり、読み解いて理解しないと良さが出ない難解を内在させているのに、やはりロストロ先生もひたすら純音楽的に弾きこなし(やはり努力家カサルスを退け前世紀最大の天才チェリストなのだ)、けたたましい平板な曲想の輪から抜けていない。しかしこの激しいジプシー音楽(差別意識はありません)ふうラプソディの中に旋律の流れをとらえ歌えるところは完璧なボウイングでろうろうと歌う、まるでヴァイオリンのように軽がると指弓を運び流れるように繋げていくその「現代チェロ奏法の確立者」たる見事な演奏ぶりは見ていて引き込まれざるをえない。ライヴだし冒頭やや甘い発音から始めるしロストロ先生のけして一級の記録とは言えないが、本人も自分のためにこのソヴィエトのカリスマが書いてくれたことを喜びたちまち弾きこなした姿をまた作曲家が喜び、演奏会後目に涙をためていたというのはいいエピソードだ。ハチャはバレエもそうだがビジュアルがあるとないとじゃ違う。無いときつい。これはある。○。

※2006/10/31の記事です
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☆ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」抜粋

2017年05月11日 | ハチャトゥリアン
○ドラティ指揮ロンドン交響楽団(MERCURY)1960/6・CD

じつに職人的な演奏。アルメニアらしさは余り無いがスペクタクルな良録音を楽しめる。剣の舞から始まる。わりとはっちゃけないなあとも思うが録音がいいので許せる。体臭が無いほうが好きなご婦人も多いだろう。二度目の再現で音場を拡げスペクタクルな盛り上がりをみせる。アイシェも音楽の体臭のみを忠実に再現し、オケの体臭を混ぜないようにしている。ロンドン響だからもともと楽団としての体臭は無いけれど。パーカッションで気を煽られる部分は大きいが音表現自体ではそれほど舞踏性を煽られない。ローゼンメイデン(違う?)ではひときわ体臭の無さが気になる。まるでクリスマスの映画音楽だ。リズムが切れていて、重さに失われがちな舞踏性を補っている。派手さと両刃の重さと、鋭いリズムという点はこの後のダンスも同様の印象。曲のせいかもしれないが、テンポが単調なため飽きるところもある。ララバイあたりはイギリスの職人楽団らしい臨機応変さが光る。やはり木管が素晴らしい。弦は巧いが凡庸か。 ボロディン的なかっこいいレズギンカではリズムのキレのよさがメリットになっている。パーカス任せの感もなきにしもあらずだが(録音操作だろうなあ)引き締まった表現。弦と対位的に重なるホルンの旋律はもっと崩して派手にやってほしい気もした。まあ、○。
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☆ハチャトゥリアン:バレエ組曲「ガヤネー」

2017年04月05日 | ハチャトゥリアン
○スヴェトラーノフ指揮ボリショイ劇場管弦楽団(brilliant他)2000/1/3-6・CD

ガイーヌといったらこの今や1000円しない盤を買っておけばいいというものだ。但し晩年のスヴェトラーノフに近年のボリショイということで音の個性や豪放磊落さというのは抜けていて、派手ではあるが万人受けするような節度がある。ソリストもとりわけ個性を発揮しはしないが全体の響きの中では調和してひびく。このロシアの巨人も西欧志向が強かったのではないかと思わせるニュートラルな響きが印象的だった。壮麗さは変わりは無い。弾けているわけではないが、むろん最近なされるたぐいの録音よりは気を煽る。○。
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☆ハチャトゥリアン:交響曲第3番「交響詩曲」

2017年01月19日 | ハチャトゥリアン
○ストコフスキ指揮シカゴ交響楽団(DA:CDーR)1968/2/15LIVE

アメリカのブラスは最強なのでファンファーレは鼓膜が破れる。金属的な強いステレオ録音で耳が辛いくらい派手な打音をぶちかますストコのやり方は苦笑しつつも正しい!とうなづかされる。指揮者オケ共にある特性としてどうしても民族色はなくなってしまうので、派手なだけのスペクタクルになっているのは仕方ないところだがそもそもそういう意図の即物的な曲なのだからこれは正解だ。ストコにしてはアーティキュレーションもしっかりつけられている。ただ凄絶な音の饗宴を楽しみましょう。史上最凶の演奏。オルガンまで入るとクラシックというよりプログレだ。民族音階もこの中ではまるで呪術的で、こりゃEL&Pです。ヴラヴォからファンファーレ付の指揮者のリコールまで収録。ショスタコの組曲に交響曲のあとこれを持ってこれるなんてシカゴだけ。○。
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ハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」

2013年11月11日 | ハチャトゥリアン
○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(放送)1955/9/24live

この日のプログラムのハイライトだろう、ハチャトゥリアンのわかりやすい世界がガウクにはあっているようだ。速い音楽での畳み掛け方はスヴェトラを彷彿とさせ拍手も飛び出る。抒情的な色もあっていい。○。
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ハチャトゥリアン:ピアノ協奏曲

2012年07月17日 | ハチャトゥリアン
○イェメリーク(P)クリマ指揮チェコ・フィル(supraphon)1960/11/7-9・CD

演奏はやや地味目か。というか、曲が余りに古風で特徴に欠ける。すでに以前この曲について書いたとおりで、重ったるいロマンチシズムすら感じる。○にはしておく。ステレオ。
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ハチャトゥリアン:バレエ組曲「ガヤネー(ガイーヌ)」

2012年07月17日 | ハチャトゥリアン
○作曲家指揮カルロヴィ・ヴァリ交響楽団(supraphon)1955/9/15live・CD

オケは若干甘い。曲間にいちいち拍手が入るのも興をそぐ。おそらく新発見の音源だが通俗的にまで知られたガイーヌに求められるレベルを達成できているかどうか・・・ライヴなので仕方ないか。バラの乙女の踊り、子守唄、アイシェの踊り、ゴパーク、剣の舞、レズギンカ。興奮度が低いのだ。
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ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」

2012年07月17日 | ハチャトゥリアン
○作曲家指揮プラハ放送交響楽団(supraphon)1955/9/21-22・CD

LPで出ていたものと同じと思われる。やや演奏的には甘く楽器によっても出来不出来があるようにおもう。総じて管楽ソロは素晴らしい。ワルツ、夜想曲、マズルカ、ロマンス、ギャロップ。
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ハチャトゥリアン:祝杯

2012年07月17日 | ハチャトゥリアン
○作曲家(歌・P)(supraphon)1950/4/27プラハ・CD

三曲連続で録音されたもののようである。おそらく未発売ではないか。エレヴァンの春同様、ピアノはまあ聴ける、歌は達者。そんなところか。
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ハチャトゥリアン:エレヴァンの春

2012年07月17日 | ハチャトゥリアン
○作曲家(歌・P)(supraphon)1950/4/27プラハ・CD

なかなかいい声でピアノはちょっと心もとないが楽しめる。おそらく新発見音源か。
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ハチャトウリアン:歌劇「ガヤネー」より剣の舞(ピアノ編曲)

2012年07月17日 | ハチャトゥリアン
○作曲家(P)(supraphon)1950/4/27プラハ・CD

おそらく新発見音源だと思う。民謡民謡したリズム取りはなく直線的で、プロピアニストではない作曲家らしいテンポ取りリズム切れの甘さがなんとなく感じられる。面白い!というものではないが、資料的価値はあるだろう。
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ハチャトゥリアン:歌劇「ガヤネー」~レズキンカ

2010年04月18日 | ハチャトゥリアン
○ストコフスキ指揮フィラデルフィア管弦楽団(SCC:CD-R)1965/6/21live

ハチャトゥリアンの舞曲のかもす「しつこさ」はまお氏の仮面舞踏会で周知のことと思うが、このボロディン的なアンコールピースは対位法的な書法が素晴らしくかっこよく、ストコ向きである。とはいえもっと引き締まったオケがやるともっとかっこいいが。
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ハチャトゥリアン:「仮面舞踏会」よりワルツ

2007年12月06日 | ハチャトゥリアン
○サモスード指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(VISTA VERA)1953/2/11live・CD

奏者には苛烈なことを強いるハチャトゥリアンだがこの曲はまずもって旋律が素晴らしく聴く側はただその愉悦感に身をゆだねることができる。サモスードらしい「崩れ」が出てしまっているところもあるが(メカニカルなハチャが乱れないほうがいいのは言うまでも無い)、ライヴで会場も盛り上がってきたらこんなものだろう。○。
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ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガヤネー」

2007年11月16日 | ハチャトゥリアン
ハイキン指揮キエフ歌劇場管弦楽団(CONCERT HALL SOCIETY)LP

ガイーヌ全曲?4幕まであり、剣の舞で終わっている。CHSもそうだがロシア原盤西側焼きのLPの音は、やや遠くぼけていてロシア的な覇気漲る演奏がやや腑抜ける傾向がある。しかしこれは録音のせいだけではなく、演奏陣もロシアのトップオケに比べるとアンサンブルがバラけていてちょっと落ちる感じがする。迫力も足りず緊張感が薄い。ピットならこれでいいのかもしれないが、バレエの絵が無くて音だけだと何か締まらない。剣の舞を始めとする聞かせどころもそれほど際立った特徴はなく全曲の中に埋没している。平坦な演奏。ハイキンの引っ張っていこうという力は感じられるが。ハチャトゥリアンらしいパセージもカバレフスキーやプロコやストラヴィンスキーの二番煎じに聞こえてしまう。匂い立つ民族性が余り感じられない。無印。

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