湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番

2018年12月31日 | プロコフィエフ
チェルカスキー(P)クリップス指揮NYP(forgottenrecords)1961/11/25live

プロコフィエフの野心が剥き出しになってなお根底のロマンチシズムが浮き上がってくる内容豊富な作品で、フランス的な洗練というかストラヴィンスキー的な洗練というか、メロディや構成が依然よくわからないような独創性を1番と比較にならないほど盛り込み、しかしチェルカスキーの粒だった軽やかなスタイルとそれに見合った軽々としたクリップスの棒が、だるさや重さを感じさせずに最後まで聴かせている。聴きやすいモノラル録音であるのもいい。チェルカスキーはびっくりするほど簡単に弾いているように聴こえる。
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ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番

2018年12月31日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ノリントン指揮サン・フランシスコ交響楽団(放送)1997live

webで聴ける。ノリントンのアクの強さが出ておりダイナミック。誇張されたアゴーギクが戦争交響曲に実にぴったりなのは三楽章。ヴォーン・ウィリアムズの書いた最も悪魔的な(カッコいい)楽章だが、響きを整えるよりもささくれだったダイナミズムを煽ることに主眼を置いて度肝を抜く。こんなにカッコいい作曲家だったのか。ノリントンのRVWの読みは深い。これも単なる客受けを狙ったものではなく、すべての生きとし生けるものを蹂躙していく国家の「躁状態」を糾弾している。四楽章を味わうにはノイジーなステレオだが、ノリントンは田園的な音楽より都会的な音楽が似合う。バルビのように感傷を加えるのではなく、なんの味わいもない(ノリントンらしさかもしれないけれど)音の羅列を素っ気なく提示している。漫然とやらず構造を抉り出しホルストとの共通点を炙り出す。前の楽章でも軍隊がラッパを吹き鳴らし(三楽章ではジャズ風の乱暴なフレーズを皮肉に撒き散らし)キャタピラが地面を踏み均していくさまを、抽象化して決してそれと聴こえないようにしていたが、四楽章もまた抽象的だ。しかし音楽としてかなり良い線をいっている。さらにオケに恵まれている。派手で技術レベルも高いアメリカオケはなぜかこの曲に合う。なかなかです。
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オネゲル:バレエ組曲「アンフィオン」

2018年12月30日 | フランス
作曲家指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送管弦楽団(forgottenrecords)1949/5/29放送live

作曲家がロスバウトのオケを振った大変珍しい二枚組で、オネゲルの自作自演というとたしか戦前の交響曲一曲協奏曲二曲を含むSP録音群、晩年の「ダビデ王」および歌曲伴奏くらいしか無かった。まだ40年代の放送録音なので状態の悪さは仕方ないが、残響を加え拡がりをだしている(ゆえにノイズも拡がりが加わり耳心地は良くない)。音場が左右にぶれたりするので素直にモノラルで聴きたい気もするが、この曲は冒頭からやたらと豊潤な和音が変化しながら続く趣向で、情報量やクリアさがないと美質が伝わりづらく、モノラルの狭い音よりは原音に近いかもしれない。オネゲルの棒がそうやってるだけかもしれないけれど旋律が細く、むしろ和音の連なりによって色調変化をあらわし、さらにバッハ風の機械的構造をもって曲を作り上げていく。ヒンデミットのわかりやすいほうの作品を思い起こすところもあった。バーデン・バーデンのオケはロスバウトのとき同様渋い音で、けして色彩感はないが透明感はあり、この輝きと透明感がひたすら売りの作品には向いている。組曲というが切れ目はない。
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モーラン:交響曲第2番ホ短調のためのスケッチ(イエイツ補筆完成版)

2018年12月29日 | イギリス
イエイツ指揮ロイヤルスコティッシュ国立管弦楽団(dutton)CD

モランは親しみやすさと過剰な親しみやすさで人気はあるが、固定ファンはあまりいない気がする。ヴォーン・ウィリアムズや一部ウォルトンを思わせるのは、彼らに少なからずあるシベリウスの一際強い書法面での影響があるからだろう。編曲作品ではあるが正規交響曲と比べても聴き映えはするこの曲、奇数楽章の落ち着いた、しかし時折華やかすぎるほど華やかで、いささか常套的な垢抜けた響きは特徴的であり、イギリス的な慎ましやかさと内に秘めた思いの発露、好きな人はとても好きであろう。また四楽章もさすがに有名作曲家のものに比べまとまりや構成に難はあるが、それなりに楽しめる。だが二楽章は渋い。渋い曲が好みな人もたまにいるのでいいが、これはあまり楽しくない。バックスが好きなら楽しめるかもしれない。オケは美にこだわり音のキメの細やかさで多少の雑味も覆い隠す。
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ヒンデミット:交響曲「世界の調和」

2018年12月27日 | ドイツ・オーストリア
ヨッフム指揮バヴァリア放送交響楽団(forgottenrecords)1952/2/8

二十世紀にこれほどカッコいいフィナーレを描いた作曲家はいただろうか。シンプルにただ昇りつめるだけの三楽章「宇宙の音楽」。ラストを大きく崩して派手にやる演奏が無いのはヒンデミットの緊密過ぎる書法か単にヒンデミットの流儀がそうだったからか、しかしこれはもともと巨大なオペラであり、自作自演の短縮版でさえ2枚組CDである。そのラストをこれほど短く切り詰めたとしても、何か演出が欲しい。難点はセクション毎の音量差というか、悪い録音だと弦楽器の音がそっくり落ちて聴こえることが多い。合奏で揃えるのが難しい、ヒンデミット特有の細かいスケールの無限とも思える繰り返しはその原因の最大のものだろう。ぼこっと音が落ちて聞こえるのはフルトヴェングラーの悪い録音もそうだし、この盤もそうである。自作自演に似た作為の少ないこの演奏はオケに過失があるとも思えず、撚れの多い録音からも収録側の問題でそうなったのだろう。ヨッフムはオケ扱いが上手く欠点を作らないが、踏み外さないことからくる「小ささ」が感じられる。貧弱な録音では尚更、この「天球」を相手にした誇大妄想的なテーマと比べて違和感を感じる。ラストどんづまりでブラスに表情を付けるが、特徴的なのはそれくらいか。この曲は良い録音がなく、自作自演、フルトヴェングラー、ムラヴィンスキーのいずれもスピーディーな演奏であり、ヨッフムもまた同傾向で、そこに負けないものは感じさせなかった。拍手なし。
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ジョリヴェ:弦楽四重奏曲

2018年12月26日 | フランス
パスカル四重奏団(contrepoint/forgottenrecords)1950・LP

frは無加工板起こしでノイジー。曲はゴリゴリの現代曲。ジョリヴェ得意の南国趣味、呪術趣味は現れておらず、三楽章の珍妙な音に僅かあるようなないような。パスカルの美音でなんとかフランス的な美質を被せようとしているのはわかるが、最後もよくわからない終わり方だし、無調を楽しめる人にしか向かない。
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旧譜抱き合わせボックスのCDは最新リマスタリングでも音が悪げ、CRQeditionsレーベルについて他

2018年12月25日 | Weblog
CRQエディションはrレーベルで復刻が主。カデンツァさんのページに詳しい。これは恐らく既出盤 "Gliere 'Ilya Murometz' - Stokowski conducts the Cleveland Orchestra" https://youtu.be/JkAvWYzUXFw

Youtubeの音は良い。別録なら手を出すところだが。演奏は私はあまり好まなかったみたい→ https://t.co/sGzrBG0Nu2

カデンツァさん。CRQは直販もあり。 https://t.co/0GBkLZWNpU

SCRIBENDUMのロジンスキのラフマニノフ2番はEMIと同じNYPライヴでした。

スピーカー聴きして音が悪いと思ったCDが優秀録音と知り耳を再び疑い出す。これは聴力でない何かだ。

HMVが新譜CDとボックスの年末ラッシュ、ついにまとめ買いするも、最後の発売が今年度末。まとめ買いバーゲンは一点しかないので分割して買ってもよかったが、今すぐには聴く時間がないからいいかな。あとアリアはCD-Rやめて旧譜叩き売りでどっちらけてしまい、来年更新は微妙。

段ボールジャケの数十枚CDボックスがクラシック旧譜まとめの主流になり、ダンピングしては毎回「最新リマスタリング」とか書いてくるが、きほん段ボールジャケは音が悪い気がする。上質紙で丁寧に包んでた頃よりCDの物理的な質がおちてるというか、海賊盤のような整形、重さになってるような。

ピアノとどっちがオリジナルなんだろう"Ralph Vaughan Williams - Charterhouse Suite for strings" を YouTube で見る https://youtu.be/q__KMRoOdo0
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ヴォーン・ウィリアムズ:四季のフォークソング(ダグラス編曲)

2018年12月24日 | ヴォーン・ウィリアムズ
イエイツ指揮ロイヤルスコティッシュ国立管弦楽団(dutton)CD

四季と名付けられているが5曲あり、民謡の標題をもつが主題が四季の順になっているわけでもなく配置は自由である。曲的には短い。四、五楽章は静謐な場面で5番交響曲を思わせる響きを伴いRVW特有の単純な民謡編曲ではない(ダグラスの編曲かもしれないが)。フォルムがやや弱いというか、いつもの明快な調子でもない。演奏はソリストが良く、このオケらしい美質を伝えている。
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ヴォーン・ウィリアムズ:セレナーデ イ短調(ラッシュトン編)

2018年12月24日 | ヴォーン・ウィリアムズ
イエイツ指揮ロイヤルスコティッシュ国立管弦楽団(dutton)CD

1898年作品ということで、ラヴェル師事前の中欧的なカッチリ古風な様式による。しかし実に清澄で耳に優しい作品だ。グリーグなど国民楽派の流れにありながら高貴な雰囲気が漂い、しかもオーケストレーションが上手い(編曲の腕だろうか)。面白く聴ける音もありブルッフで停滞しているわけでもない。演奏もやりやすいのか、とくにRVWらしいロマンス(四楽章)やその前の楽章は美麗で聴き応えがある。これは良いトラック。
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ウォルトン:チェロ協奏曲

2018年12月23日 | イギリス
ピアティゴルスキー(Vc)ミトロプーロス指揮NYP(forgottenrecords)1957/5/5live

やはりピアティゴルスキーの高音の音程が気になる。細かい音で指の撚れがあるというか、一、ニ楽章ではあまり正確におさえられていない箇所が多い。ウォルトンでこれはきつい(ピアティゴルスキーを権威とすれば仕方ないが)。三楽章になるとやっと火がついたのか細部の音程も明確になるが、最後の回想では伸びやかさがなくろうろうと歌うことはできていない。この人はクセのある人だったようで、本気じゃなかったのかとも邪推する(拍手は盛大)。反面ミトロプーロスは現代物に明るい特性と暗譜指揮の即興的な強みを出して、ウォルトンをほとんどやっていないこのオケに素晴らしく俊敏で明確な演奏を促している。このウォルトンができれば交響曲などもっとやってもよさそうなものだが、恐らくこのコンビの録音ではスカピーノくらいしか無かったか。ノイズがひどいが音自体は情報量があり明快に捉えられているので、悪い記録ではない。ミトロプーロスに得る物があった。
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リヴィエ:弦楽四重奏曲第2番

2018年12月23日 | フランス
パスカル四重奏団(columbia/forgottenrecords)1951/7-8・LP

frで板起こしされた発掘音源。状態は褒められたものではないがリヴィエの古い録音はなかなかないので貴重。基本的にはミヨーの影響下にあって、一楽章の美しさはそれを凌駕してさえいるが、この人は必ず現代的な音響で落としてくる。二楽章はまだミヨーの晦渋な緩徐楽章を型式的に組み直した感じがするが、三楽章はもう精神的にやられている感じ。パスカルは美しいが、やはりリヴィエの方法にはあまり共感している感じがしない。超高音の扱いなど依然ミヨーなんだけれど、一楽章だけ聴く曲。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲

2018年12月23日 | ストラヴィンスキー
クリップス指揮NYP(forgottenrecords)1961/12/9live

オネゲル2番と同時演奏だが遥かに素晴らしい。瑞々しさ、華やかさ、フランス音楽的な美しさがクリップスの火の鳥観を示している。オケも作曲家の指揮で演奏した経験があり知見があったのだろう。でも自作自演よりのめりこませる要素がある。ロシア臭希薄なのが良い。録音は良くはないしモノラルだが、意図しない拾い物だった。
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オネゲル:交響曲第2番

2018年12月23日 | フランス
クリップス指揮NYP(forgottenrecords)1961/12/9live

珍しい選曲だが、そういう演目にありがち、すなわち「借り物みたいな演奏」激することなくノーマルにやっていて、この人の瑞々しさ、テンポ良さ、リズムの良さは出てこない。このオケにしては色彩感はあるかもしれないが、テンポは遅め、発音も大人しく、突き刺すようなささくれだった音でこそ表現できる戦中作品という点では迫真味は薄い。ただ、三楽章で闘争から凱歌に転調する前後より俄に弦の刻みが強くなり、オネゲルらしい音楽になる。悪くはなく、現代の演奏からすると迫真味が無いとも言えないが、まだ同時代と言える時期にあって、やはりあまりやらなかった曲を仕事でやってる感は否めない。録音がモノラルで環境雑音を始めノイジーなのも印象悪くしたかもしれない。期待しすぎた。
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ジョリヴェ:交響曲第1番

2018年12月21日 | フランス
ツィピーヌ指揮ORTF(ina配信)1970/4/15放送live

PHF07009498。さすがにこの位の時期になってくるとブーイングも少ない(拍手も少ない)。ツィピーヌは旺盛かつ職人的にまとまった演奏をするのでこの曲には適しているが、散漫な内容はそのままだしオケも拡散的になっている。何故かこの曲は録音がわりとあり、youtubeでも聴くことができるが(1954年ツィピーヌ)、メシアンを百年遡らせたようなブカブカドンドンの「植民地主義的」野蛮主義を交響曲にまとめたものである。ジョリヴェは半端なところがあり前衛としては古く書法も甘く、懐古趣味としてはサービス精神が足りない。ジョリヴェは戦前復古的作品も後年おおく書いていて、異国趣味の精華を理知的に反映させた個性的だが人好きする作品も書けたというのは、前衛にとっては日寄ったもの、復古趣味にとっては歪んでいる、と受け取られる。そこが不幸でもある。
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ファリャ:恋は魔術師〜火祭りの踊り

2018年12月20日 | その他ラテン諸国
ロジンスキ指揮RPO(westminster/scribendum他)1958/4-5・CD

短い曲で、ルスランとリュドミラをやるようなものでこれだけでは特性うんぬんはない。スピーディーにやっているし、悪くも良くもない。ロイヤル・フィルの音がする。
Comments (4)
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