湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第2番「ロンドン交響曲」

2019年01月17日 | ヴォーン・ウィリアムズ
エルダー指揮ハレ管弦楽団(ho)2010/10/14live・CD

優秀録音。自主制作のライヴ盤だが最近の正規盤にひけをとらない。演奏は曲に適した繊細な音色と透明なダイナミズムに彩られたバランス良いもの。この曲は一般にヴォーン・ウィリアムズの代表作とされ、とくに英国では今も演奏頻度の高い曲だが、意図はどうあれ結果はロンドンの一日を表題性をもって描いた音詩であり、用いられる音要素〜ビッグベンにはじまりビッグベンに終わる〜にはローカリズム色濃く、主題も3番以後用いた民謡よりむしろ同時代の俗謡ふうで馴染みがない異国人には民謡とは別種の恥ずかしさを感じさせるというか、腰の落ち着かない心地がする。精緻さと手際の良さにより円熟期前特有の明るさを維持し軽やかさに持っていくことでロマンティックな重みを際立たせずすんなりまとめるエルダーは見識だが、それでもヒコックスなど長い原典版を用いて冗長な部分にあらわれる真のヴォーン・ウィリアムズ的な、心象的なものを浮き立たせて対比的に表現しており、どちらが良いのかは聴く人の好みにもよるか。私はこれは聴きやすかったが、何も残らない感じもした。
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