湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

コープランド:バレエ音楽「ロデオ」~ホウダウン

2019年04月18日 | アメリカ

バーンスタイン指揮NYP(UNITEL)1965/12/14放送live・BD

 

ヤングピープルズコンサートの「オーケストラのサウンド」からフィナーレとしての全曲。おじいさんばっかりのNYPでも若々しい曲をそれなりにできるのは「適切なサウンドを出させているから」ということが主旨で、この点わたしはあんまり重要だと思ってないのだが、ハイドンもコープランドも同じ音で弦楽合奏させてはだめだ、という今でいうピリオドの観点も説明してしまっている。書法は新古典主義でもコープランドはフィドルの奏法が根底にある。この奏法についてはドビュッシーやガーシュインの断片でも説明されているが、楽器によっては言われるほどあきらかではない。奏法というよりアクセントやボリュームだろうというところも、ブラスでは思う。ハイドン、ベト、ブラームス、ドビュッシー、ストラヴィンスキーそしてガーシュインとコープランドの流れは鮮やかではあった。このシリーズの常として正規録音より音が立っていてオケもノリがよい。ホウダウンの原曲版は編成の大きさにより鈍重になってしまうが、ここでは重厚な響きながら楽しく力強く聞けた。

 
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スミス:星条旗よ永遠なれ(ストラヴィンスキー編曲)

2019年04月12日 | アメリカ
ストラヴィンスキー指揮ロス・フィル(DG)live・CD

youtubeなどでよく聞かれている音源で、ストラヴィンスキーが保身のために書いたみたいな演出を加えられていることもあるが、普通に編成をいじっただけというか、響きを派手にしてロスフィル向きの開放的な音にしたというか、それ以上のものではない。この人はお金のために自作をふくむ編曲を頻繁にした人で、それは著作権の概念が薄い時代に新編曲の著作権を得るためだったという話もある。LAフィル100周年ボーナス3に収録。ステレオだがちょっとノイジー。
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コープランド:古いアメリカの歌第一集・第二集

2019年04月10日 | アメリカ

ウォーフィールド(B)作曲家指揮小管弦楽協会(SLS)1958/12/15live


凡庸な民謡集でコープランドふうの管弦楽にいろどられた、まるきりそのまんまの田舎歌曲の連続。正直、よその国の人が聴いてもピンとこないほどあまりに平易で、プラスアルファの思い入れが必要な職人的編曲になっている。アイヴズが愉しげにやった「たんたんたぬきの〜」の原曲もここでは荘重に歌われ、あるいはバリトンは歌によりそれなりに崩して開拓期の祭りの土臭さを出そうとするも、コープランドの洗練された書法の前にはいまひとつ。私はまったく入り込めませんでした。

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アイヴズ:交響曲第3番

2019年04月05日 | アメリカ

シンクレア指揮ノーザン・シンフォニア(NAXOS)CD

 

達者な演奏だが軽い。おそらく協会決定版を使用しているのだろう、整理された感じのちょっと音の間に隙間がありすぎる感は否めない。スピードがあり、1楽章は冒頭からつかまれる。宗教的郷愁をたびたびうたったアイヴズのこれもそういった田舎風の小交響曲であり、あからさまな民謡が矢継ぎ早に現れるが、いずれにも拘泥せずさっさと進んでいく。奇矯な絡み合い・不協和な響きはただの民族楽派の音楽に落とさず、またシンクレアはアイヴズに詳しい手腕を発揮して、一見奇矯なものにも、一見不協和なものにも規則性を見出してそつなく芯をくった演奏をしている。即物的演奏で1楽章はあまりにすぐ終わるし、2楽章も中庸の響きをもってまたスピードを保ってさっさと終わらせるが、要となる感傷的な3楽章もまたその調子なので余韻がない。整理しすぎてアイヴズの理性的でない「粗」が目立つようにも思う。チェロソロのアーメン終止と調子はずれの鐘が大きなディクレッシェンドの末を飾って美しい曲なのに、そこはほんとにピアニッシモに消え入るようだ。いわゆる室内楽団ふうの無機質な運動でないから聞きやすいが、これをきいてどこにマーラーは惹かれたのかと思う人もいるかもしれない。アイヴズのもつ毒はもともとこの曲は薄いがさらに薄く、聴きやすいと思う人もいるかもしれない。

 
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クレストン:交響曲第2番

2019年03月14日 | アメリカ
ロジンスキ指揮NYP(SLS)1945/2/18live

最近のSLSには珍しく針音が盛大に入っており、長大な1楽章の最初から陰鬱な楽想に泥を添えている。終楽章である2楽章は舞踏楽章でタカタカタカタカ走り回る効果的な音楽。こちらは音に迫力があり、NYPも40年代録音だから原音以上に雑に聞こえるものの、想像力をもってすると精度は高そうだ。1楽章の平凡な陰鬱さの印象がつよいためこれまでモントゥの数々のライヴやハワード・ミッチェルの正規盤(まとめブログ参照)を取り上げていずれも印象は悪いのだが、ロジンスキは何物にも魂を植え付けることができるらしく、聴きごたえはあった。2楽章はモントゥらよりはるかに統制力があると思う。音に彩はないがアンサンブルに立体感はばっちり。音もミスなくしっかり切れている。扇情的な突進はロジンスキほどのテクニックの裏付けのもとに成り立つものだ。ここはカッコよいので聴く価値あり。
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アイヴズ:ハロウィン

2019年03月12日 | アメリカ
グルーサー(Vn)他、コンティニュアム(naxos)CD

一晩で書いたという本人曰く冗談音楽だが佳作の一つとして演奏機会も多く私も譜面を持っている。ドラムとピアノを伴う弦楽四重奏による小品となるが、たしかドラムは省略可能でなかったか。カルテット編成でただのスケール(何かの引用だったかもしれない)による変則的なフーガが、弱音からひたすら繰り返される。律動がはげしくなるとピアノの硬質な不協和音が重なり、ついにドラムが爆発音を発するようになる。頂点で強引な大団円が打たれるが、この単純な構造を前衛的な方法で構築していくのはアイヴズ得意のやり方だ。始めのカルテット部は各弦楽器の入りが不規則で、非クラシック的な感興を呼ぶアタックの応酬がそのままリズム旋律のように働き、これは始めからフーガを装った打楽器音楽なのだということがわかる。ある意味、祭りの夜の情景描写音楽かもしれない。アイヴズの常で演奏は少し手を入れられテンポ設定ひとつとっても団体によって違ったりする。これは原曲に忠実な室内楽編成だが(拡大されて演奏されることが多い)注意深く遅いテンポで始まる。ただ弛緩しないようにか音はスピッカートでピチピチ切られるのでさほど違和感はない。遅いまま進むかと思いきや音が多くなり音量とともにどんどん早くなっていき、計算と気合の上手いこと調和したところで乱痴気騒ぎの演出は完了。これはなかなか聴ける演奏だったが、アイヴズの発想力をアピールするだけという感じも無くはない。聴かせる音楽として異化するバーンスタインは上手い人だったのだなあ。
 
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ガーシュイン:へ調のピアノ協奏曲

2019年03月02日 | アメリカ
○プレヴィン(P)コステラネッツ指揮彼のオーケストラ(sony/CBS他)1960/3/25・CD

なぜかモノラル配信音源があったので追悼に聴いてみる。録音か復刻か、ノイジーで雑で聴きにくい音だ。音色も聴き取れない。演奏は荒削りとか言い様はあるだろうが、この曲は荒削りであることが正しい。ほとんどいじらないクラシカルなスタイルなのだが、一楽章、三楽章の猛烈さはレヴァントのようなスポーティなものとは違う。すこし硬質の音で音を踊らせて、コステラネッツは千両役者のように付けていく。ホワイトマンのシンフォニックジャズはこういう演奏を目したんだろうなあ。三楽章は他を寄せ付けない圧倒的なフィナーレ。過ぎ去りしプレヴィンは若さを取り戻し、かの世でまたピアノを弾いているだろうか。
 
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スティル:イン・メモリアム

2019年01月29日 | アメリカ
セル指揮クリーヴランド管弦楽団(eternities)1965/4/25live

セルの初演した曲でその経緯などはぐぐれば出る(英語)。純粋に曲だけ聞けば派手な挽歌というかアメリカらしいラッパを吹き鳴らす系のすこし祝祭的雰囲気を持つものである。演奏後の不穏な客席反応もふくめ面白いドキュメントではある。セルは現代曲をやるときはわりと無味乾燥感が強まるが、音楽に力があれば聴ける。
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コープランド:交響曲第3番〜Ⅳ抜粋

2018年12月19日 | アメリカ
作曲家指揮NYP(unitel)1958/2/1放送 ヤング・ピープルズ・コンサートlive・BD

旺盛に振っていたころの映像記録で、代表作のひとつの、しかも最も有名なアメリカの曲のひとつ「庶民のためのファンファーレ」(太平洋戦争勃発時に愛国心鼓舞のため委嘱作曲されたとされる)を取り込んだ四楽章ほぼ全曲を演っている。オケがかなり乱れがちだがコープランドはいつもの冷静さを欠き、展開部では異常なスピードで煽る。笑みを浮かべながら時に歌いながら、きびきび振るコープランド、これはなかなかめずらしい(いつもの四角四面の作曲家指揮者振りじゃない!)。弦の必死さが伝わるが、このオケだからなんだかんだいってやりきる。ブラスはもう少し弾けてもいいと思うが録音のせいかもしれない。ラスト近くでやっとテンポを緩め盛大に終わる。エンドロールの向こうで勢いよく指揮台を降りるのが清々しい。拍手が最終音に被ってもいいでしょう。まだ三十年活動を続けるコープランド。ちなみにバーンスタインもまたほぼ同時期に燃え尽きている。
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コープランド:バレエ音楽「ビリー・ザ・キッド」抜粋

2018年12月19日 | アメリカ
バーンスタイン指揮NYP(unitel)1958/2/1放送 ヤング・ピープルズ・コンサートlive・BD

静かな場面の切り取りだがコープランドはここで演奏されるどのアメリカの作曲家より抜き出てきこえる。恐らく単純な要素を売りにした、たとえばジャズであったり、たとえば疑似ストラヴィンスキーであったり、そういう一点突破ではない個性をこの単純な佇まいのなかにうち持っていたからだろう。とても美しい響き。
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ハリス:交響曲第3番抜粋

2018年12月18日 | アメリカ
バーンスタイン指揮NYP(unitel)1958/2/1放送 ヤング・ピープルズ・コンサートlive・BD

これは終楽章の楽天的な主題を切り取っただけでじつに惜しい!もっと聴きたい。やや弛緩した莫大な演奏にきこえる。
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ウィリアム・シューマン:アメリカ祝典序曲抜粋

2018年12月18日 | アメリカ
バーンスタイン指揮NYP(unitel)1958/2/1放送 ヤング・ピープルズ・コンサートlive・BD

ごく短い抜粋だが魅力的な「アメリカ」を打ち出したもの。カッコよさを追求しそれゆえ空疎になった虚仮威し、という感じもしなくもない。コープランドに近い。
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コープランド:劇場のための音楽抜粋

2018年12月18日 | アメリカ
バーンスタイン指揮NYP(unitel)1958/2/1放送 ヤング・ピープルズ・コンサートlive・BD

比較的モダンな曲だがジャズの紹介として演奏される。クラリネットなどソロ楽器がしっかりしてれば変則的なリズムだけ押さえておけばなんとかなる、とおもうが一部ソロに乱れが。まあライヴということだろう。
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ガーシュイン:パリのアメリカ人抜粋

2018年12月18日 | アメリカ
バーンスタイン指揮NYP(unitel)1958/2/1放送 ヤング・ピープルズ・コンサートlive・BD

「アメリカ音楽ってなに?」の冒頭で中間部から最後まで演奏された。大仰でラフな演奏だけれどガーシュインはこのほうが「らしい」かもしれない。ソロ楽器はさすが巧み。バーンスタインの身振りは千両役者。
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☆ブロッホ:ピアノ五重奏曲

2018年03月22日 | アメリカ
○カゼッラ(P)プロ・アルテ四重奏団(fono teca/HMV)1933/2/8・CD

野蛮主義的な曲に対してややピアノが負け気味にも感じたが録音のせいか。ユニゾンで迫る弦に対しては負け気味にもなるだろう。フランス風の味付けがわずかに洒落気をもたらす。二楽章はユダヤ調が全面に出て土臭さがあるが、楽団の洗練に救われている。それにしても弦のユニゾンが多い。アレグロ・エネルジーコの三楽章は再び激しい音の応酬。カゼッラが不可思議な響きを加える。不可思議なのは緩徐部の妖しいやりとりでユダヤ的だ。ピアノはそれほど浮き立ってこないが弦が盛り上げる。法悦的なフレーズが頂点を形作ると若干メシアン的な趣のある静寂が支配する。

※2013-11-26 20:04:51の記事です
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