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外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

続続続の(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月17日 | 英語学習、教授法 新...

続続続の(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

続続続で、いちおうこのシリーズを終えます。「英語の学習理論はまだないのでないか」というという問いかけと、関係詞の習得法という具体例から「理論」の必要を明らかにするための対話篇の部分を、交互に進めてまいりました。続続続では順序を変えて、対話篇が先です。そのあと、なぜ理論が必要かの問を深めます。

■関係詞の二つの学習法

包含関係対話編では、前回、その前までとまったく違うアプローチをとりました。関係詞節(形容詞節)を括弧と捉えれば分かりすいという方法です。初回からとってきた方法は、それとはちがい、「限定」と「前へ進む要素」というあらゆる言語にある二区分に基づきながら、日本語から英語へ移るというアプローチでした。関係詞の前提条件は何か(原因)、そして関係詞を使うとどう便利か(結果)を示すことで、理論のきれっぱしを明るみにだしました。関係詞という一点を検討することで、この点が可能なら他もできるだろうという発想で、ずっと広い学習理論も可能だということを示すことを目的にしました。

■「理論」がないと...

なぜ、「理論」など必要かということにも折々触れましたし、最期にもう一回復習しますが、ここでも一言ひとこと述べておきましょう。多少くどいことは承知ですが。まず個人が学習する際、無駄な努力は避けたい、プラス、どう学習動機を維持するか。一方、クラス、学校から国家レベルにおいては、どうカリキュラムを立てるかという議論に必要になるからです。昨今の、大学入試アウトソーシング論のどたばたも、「学習理論」が委員の間に共有されていないことも一因なのではないかと睨んでいます。

さて、対話篇の終わり。二人の登場してもらいます。

■対話、続き。二つ目の関係詞学習法

生徒:今回、まったく違うアプローチを提示しましたね。習う側は困るかも。

3重の関係詞先生:たしかに。まだこの二つのアプローチの関連は十分考えられていません。そこはブログの気安さということでお許し願いたいです。でも、それらの説明の部分部分からは学習のヒントが見つかったかもしれません。

生徒:はい。関係詞節には連体形で訳せないものもあるということとか。前回の、関係詞節=括弧の文は、新聞などを訳さないで英文の順序で読むとき意識すべきだと思います。たとえば、上のイラストの文を「限定」ということに忠実に訳すと意味の流れが逆になってしまいますヨネ。

先生:個人でも団体でも、時間は限られているので、がむしゃらな学習ではなく、方法を考えるべきですね。

あ、ここで参考書の紹介。このシリーズは網羅的ではないので関係詞についても抜けている点があります。そのため自分で勉強を進める人のためによい教材を紹介します。Raymond Murphyの、"English Grammar in Use"。青い表紙の本で今fourth Edition。本屋の英語教材コーナーに積んであります。このサイトでも紹介しています

■関係詞の前のコンマ

生徒:すでに、方法を意識して新聞などを読んでいるのですが、気になるのは、以下の引用のように関係詞の前にコンマがある場合とない場合です。

The 350,000-kilowatt No. 1 unit will be the first to resume operations at the Tomato-Atsuma thermal plant, whose three generators were shut down following a powerful earthquake that struck Hokkaido on Sept. 6. (Japan News 2018/9/17)

先生:マーク・ピーターセンさんなどは、この問題を関係詞の学習の最初のころに持ってきたいようです。じつは、ふつうの関係詞は「制限用法」と呼ばれるのです。制限というのはいままで「限定」と言ってきたことと同じ。ところが、コンマ+関係詞で示す文は「非制限用法」と呼ばれます。この課題は、英語の表記の問題だけでなく、日本語と英語とのちがいにからむ二重の問題なのですが、そこのところがごっちゃになっている場合が多いようです。

生徒:え!。関係詞の本質を否定するではないですか。

先生:あ、問題の核心を掴んでいますね。いままで「限定」ということを口うるさく言ってきたのはここに導くためだったのですヨ。急に「制限」という文法用語を聴いてなにか新しいことのように思う人が多いようなので...。ま、関係詞とふつうの代名詞の中間ということです。限定するわけではないのですが、直前の名詞の説明をしたい、とアッピールする場合です。

生徒:たとえば?。

先生:

(1) I don't like the novels which Mr. M wrote.

(2) I don't like the novels, which Mr. M wrote.

非制限の関係詞例(1)はほかの人が書いた小説なら好きかもしれないが、Mr.Mのがぜんぶ嫌いと言う意味。(2)は、I don't like the novels. Mr. M wrote them.とほぼ同じ。ですから、会話ではコンマの部分で一息置いて発音します。the novelsは、ほかのは好きだがMr. Mのに限っていやだという意味ではなく、たまたま読んだのが嫌いだった。あとで考えると、Mr. Mだったからかな、というニュアンスを込めています。イラストのwho has green eyesの部分も、ピンクではなく緑の目の魔女、ということを言いたいわけではありません。

生徒:だったら、------- because Mr. M wrote them.と言えばよさそうです。

先生:そうです。非制限用法の関係詞を使うのは、becauseと言い切れない場合です。ですから訳すとき、「~ので」とはっきり訳していいのかどうか迷います。イラストの文も、気味が悪い(spooky)のは目が緑だからか...、はっきりしません。

■制限、非制限用法で意味が明確に変わる場合

木村伊兵衛パリもっとはっきりした例を挙げましょう。世の中、限定できない名詞があります。固有名詞ですね。でも少しその固有名詞に説明を加えたいというとき、非制限の関係詞が使われます。

(1) I love Paris, which I lived in for 10 years.

パリは一つしか世の中にないので分割して限定することは不可。そこで非制限用法です。しかし、つぎの例もあるので比べるとより理解が深まります。

(2) I love the Paris which I knew when I stayed there 50 years ago.

生徒:ほほう。(2)は、想像上のパリなので「私が知っているパリ」を他の人の脳裏にあるパリと区別して限定できるのですね。

先生:もう一つ限定できない場合。それは一般論です。

(1) Take trains, which are more earh-friendly.

もし、

(2) Take trains which are more earth-friendly

だとどう意味が違うか分かりますか。

生徒:日本語にすると分からなくなりますネ。両方とも「地球に優しい電車に乗ろう」です。しかし、限定しているかどうかという視点で英語で理解すると違いははっきりします。(1)は、電車というものはすべて地球に優しいということを前提して(一般論)、自動車などより電車に乗ろうという訴え。(2)は、電車にもいろいろあって、地球に優しくない電車ではなく、地球に優しい方の電車に乗ろうという意味ですね。

■日本語では制限、非制限の違いはぼやける

先生:じつは、この英文は、小田急線のホームにあった「地球に優しい電車に乗ろう」を英訳したのです。ここで、一つ課題が浮かびます。日本語の名詞修飾では制限か非制限かの区別はできない、ということです。ですから、日本人は、限定、非限定の区別に鈍感と言えるかもしれません。和文英訳をするとき注意すべき点ですね。ちなみに、日本語だけでなく、修飾語を名詞の前に持ってくると英語でも区別はつきません。日本国憲法の以下の太字の部分は、制限なのでしょうか、非制限なのでしょうか...。

----- 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して----

英訳:--- trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world.

日本国憲法前文和文は「諸」を入れることでなんとか「非制限用法」だということを示していると思いませんか。

生徒:さっきのパリの文も訳すと制限か非制限か分かりにくくなります。

(1)私は10年過ごしたパリを愛している。

(2) 私は50年前に滞在したとき知っていたパリを愛している。

■関係詞=括弧の応用例

先生:ところで、さっきの北海道火力発電所の記事、検討して、例の括弧に入れる形に変えてみましょう。

生徒:The 350,000-kilowatt No. 1 unit will be the first to resume operations at the Tomato-Atsuma thermal plant, whose three generators were shut down following a powerful earthquake that struck Hokkaido on Sept. 6.

先生:ここで取ってつけたように説明するのはほんとうはまずいのですががthatは、whichと違い、非制限用法では使いません。それだけ直前の名詞を限定する力が強いのでしょう。

生徒:括弧方式で書き換えてみますヨ。

The 350,000-kilowatt No. 1 unit will be the first to resume operations at the Tomato-Atsuma thermal plant, (its three generators were shut down following a powerful earthquake (it struck Hokkaido on Sept. 6.))

苫東それでも読むのが遅いのは、関係詞のせいでなく、英語の語順になれていないことと語彙の不足だからだということが浮かびあがります。

訳します。えっと、whoseの前は固有名詞なのでコンマ。that以下は、9月6日に襲ったという限定なのでコンマなしです。固有名詞なので、whose以下を先に訳しても上の鉄道の文のように誤解は生じません。しかし、二つも関係詞が重なっているので、英文と日本語の順序がひっくりかえるのを避けるために、whose~はピリオッド+itsだと考えて訳しましょう。

-------

35万キロワットの第1ユニットは、苫東厚真火力発電所で最初に運転開始する。そこの3機の発電機は発電機は、9月6日に北海道を襲った強力な地震のあと停止していた。

------

非制限関係詞例文先生:読む速さについては、それを克服するには、早い時期から英語に触れる量を増やさなければならないでしょう。それが関係詞などの文法要素の理解で妨げられないようにしたいです。

■前の文全体を主語とする非制限の関係詞

ところで、非制限の関係詞が前の文全体を主語とする場合にも触れないわけにはいきません。とても基本的な構文です。今、良い例文がないので、よく学校で使われる例文を挙げましょう。

(1) She said nothing, which made him angry.

(2) She said nothing which would make him angry.

生徒:(1)は、whichは前の文全体を指していて、「彼女は何も言わなかった。そのことが彼を怒らせた。」(2)は、「彼女は彼を怒らせるようなことは何も言わなかった。」ちがいますねえ。

先生:前の文全体が主語になる形は基本的な形なので中学3年ぐらいから慣れさせておくべきだと思います。あ、分詞構文にも前の文全体が主語になる形がありますが、たいてい参考書にはないので、ここで付言。

生徒:ここでも「理論」の一端。で、最期のもう一つ練習問題があるとか。

先生:最期に括弧入れにする練習として、ジェイムズ・アワーさんの正論大賞受賞の辞の冒頭近くの文を挙げてみます。ちょっと長く抽象的なので、中級者向けです。教室でじっくり説明するような性質の文です。下に引用するだけではちょっと残念ですが。

In the USA, when a person is speaking on a subject about which the speaker has a strong opinion, or when a person involved in a financial transaction has an opinion or personal interest which those listening to or interacting with the speaker do not know about, it is appropriate, and in the case of some financial transactions, to be legally required, to make it that opinion or personal interest known in advance. When this is done clearly and completely it is known as “full disclosure.”

Since I do have a strong opinion about the subject I am speaking about, the positive value of the U.S. Navy Japan Maritime Self-Defense Force relationship, I want to fully disclose my conviction of this fact at the beginning of my remarks by letting you know of my personal bias.

In the USA, when a person is speaking on a subject (the speaker has a strong opinion about it), or when a person involved in a financial transaction has an opinion or personal interest (those listening to or interacting with the speaker do not know about it), it is appropriate, and in the case of some financial transactions, to be legally required, to make it that opinion or personal interest known in advance. When this is done clearly and completely it is known as “full disclosure.”

Since I do have a strong opinion about the subject (I am speaking about it), the positive value of the U.S. Navy Japan Maritime Self-Defense Force relationship, I want to fully disclose my conviction of this fact at the beginning of my remarks by letting you know of my personal bias.

 



続続続の(1/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月17日 | 英語学習、教授法 新...

続続続の(1/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

豆乳パック原材料「続続続」は、まず、対話。そのあと、総まとめで英語教育理論の必要を問いかけます。

先生:右は豆乳の紙パックの表示です。三行目の表現に注目してください。

生徒:「豆乳」のあとに、マル括弧で示してある、(カナダ産)、(遺伝子組み換えでない)の部分ですか。

先生:この語列あまり日本語的とは言えませんね。

生徒:あ、英語だ。

先生:同様に反応した初級の生徒さんがおられました。英語では関係詞が使えますが、日本語の文法に従ってこの情報を伝えようとするとどうなりますか。

生徒:「遺伝子組み換えでないカナダ産の大豆」です。

紅茶豆乳先生:これだと主要な情報である豆乳が一番あとに来て分かりにくくなりませんか。英語では、たとえば、the soybeans which are harvested in Canada and are not genetically modifiedなどと表わすことも可能ですが、同じ語順で日本語で表わす場合、上の表示のように括弧を使うしかありません。

生徒:ということは逆に言うと、英語の関係詞節(形容詞節)は、括弧と考えればいいのではないですか。

先生:そのとおり。外来語の氾濫は日本語の宿命ですが、豆乳会社の広告には英文法の日本語文法への侵入が始まったかと思わせる現象です。

■関係詞節は括弧

それはそうと、閉じる括弧がないのが欠点といえば言えますが、関係詞節をたんなる括弧だと考えれば学習は楽です。

(1) The red flower which is called poppy is sometimes poisonous.

なら、

1´ The red flower ( it is called poppy) is sometimes poisonous.

です。=「その赤い花(それはケシと呼ばれる)はときどき毒性をもつ。」

(2) The red flower which we picked yesterday is called amapola

は、

2´ The red flower (we picked it yesterday) is called amapola.=「その赤い花(我々は昨日それを摘んだ)はアマポーラと呼ばれる。

最期の文では、itをwhichに変えて、括弧の冒頭に移動します。関係詞の難しい点の3つ目、「語順の移動」です。あと二つ、三つ試みましょう。

今度は括弧で表わした部分を関係詞節にしてください。意味はどうでしょう。訳さなくても意味が分かればいいのですが。

3´ The red carpet (you are now walking on it) is magic. =「赤い絨毯(君が今その上を歩いている)は魔法の絨毯だ。

4´ The red house (the owner of it is unkown) is called a haunted house. =「赤い家(それの持ち主は知られていない)はお化け屋敷と呼ばれている。」

poppies生徒:はい、意味は了解です。「~な絨毯」というように訳しあげなくてもどういう絨毯か明快です。a haunted houseはお化け屋敷ですよね。

先生:だとしたら話は早い。

生徒:規則は、

⓵括弧内の代名詞をwhichとかthatに変えて、

⓶つなぎの部分、つまり括弧の始まりの位置に移動。

③後ろの括弧閉じは取る、というわけですね。

先生:itかtheyは、whichかthatに変えます。whichやthatは名詞の後に置くと、名詞にくっつく感じで、その名詞に「以下に示す種類の~」という指示を出します。そのため、こうした文中の名詞のあとでもどこでも、名詞の後で限定修飾をおこなう場合使います。そういう性質はitやtheyにはないです。

生徒:規則をあてはめましょう。

3´ The red carpet (you are now walking on it) is magic.

(3) The red carpet which you are now walking on is magic.

なんだ、こういうことだったのか、という印象です。でも、日本人の目には括弧の方がすこし分かりやすいです。

先生:でも、話すときどうするのです。

■関係詞の省略

生徒:そうか。でも、名詞の後にSVですから、The red carpet  you are now walking on is magic.とふつうに言うではないですか。

先生:名詞のあとにSVときたら、限定だなと感覚的に予想できるのも重要な英語力です。しかし、名詞+SVのとき以外はさすがに省略できない。関係詞の省略(接触節とも言う)はフランス語をやった身には抵抗がありますね。ところで、最初の括弧の文はthere(指示副詞:そこで)でも表わせます。

■関係副詞:where / when

3´´ The red carpet (you are now walking there) is magic.

生徒:この場合、

(3)の2 The red carpet where you are now walking is magic.でしょう。

先生:thereのthのかわりにwhを置くとやはり直前の名詞を限定するよ、という信号を送れるわけです。there=on itという感覚を身に着いていることが前提。言い換えると、--- walking on thereがおかしいという感覚が身についているということ。on itは、セットで「そこで」という意味。walkingという動詞を限定修飾する、いわゆる副詞の役割。

生徒:なら、thenは、whenになりますか。

先生:できます。だんだん速くなったでしょう。声に出してね。例文はできますか。

生徒:The week (I was on the magic carpet in it) is unforgettable.=The week (I was on the magic carpet then) is unforgettable.=「その週(私はその期間魔法の絨毯に乗っていた)は忘れがたい思い出だ。

The week (which) I was on the magic carpet in is unforgettable.

The week when I was on the magic carpet is unforgettable.

先生:たんなる穴埋めではなく、状況に応じて会話でも使えることを目指します。

■所有格の関係詞

生徒:では次へ。

3´The red house (the owner of it is unkown) is called a haunted house.

(3)の1 The red house (the owner of which is unkown) is called a haunted house.

ん?。これはこの後どう前方移動したらいいのでしょう。

お化け屋敷先生:これでOKです。文章体ですが、りっぱな英語。しかし、ふつうの学習書では関係詞の項目ではあまり出てこない。フランス語だと、of whichを繋ぎの部分に移動したりしますが、英語ではちょっとclumsy。前方移動より意味の「かたまり」を優先します。下にある前回の練習問題の(2)を参照。括弧がないので切れ目が分かりにくいですね。

ところで、The owner of it is unknownは、Its owner is unknownでもいいですね。

生徒:そうか。これなら切れ目が分かりやすい。

(3)の2 The red house whose owner is unkown is called a haunted house.

先生:名詞+’で表わす所有格と言う形は人間以外にはあまり使いませんが関係代名詞の所有格、whoseはものでもなんでも自由自在。あんまり応用範囲が広くて、日本語の連体形(~な名詞の形)で訳そうとするとすると無理な文はたくさんでてきます。ここでも訳さないで理解しようということが言えます。(下の練習問題の答えの2を参照)

The red house whose owner my wife said she met yesterday is said to have been torn down ten years ago.

生徒:whose owner my wife said she met yesterday=(My wife said she met its owner yesterday)ですね。上のようなwhoseを使った文は訳しづらいことが多いです。ところで、今回は分量は多いようですがあまり頭は使わなかったような気がします。

先生:そうです。むつかしい点はすでに扱い済みで、今回は、ま、機械的訓練に近いです。次回、もう少し長い文で、括弧という概念で関係詞節を理解すると読みやすくなるという実例の練習をします。

To be continued

前回の練習問題の答え:次の文字列をなんとか日本語にせよ。

(1)  --- the book which I learned the history of classical music in ---

「私がクラッシック音楽の歴史を学んだ本...」

(2)  --- the book the author of which I have known for long ---

「長年著者を知っている本...」(...、これは日本語では表しがたい)

= the book whose author I have known for long

(3)  --- the book they say is the best book to learn the history of jazz ---

「ジャズの歴史を学ぶのに最良と言われている本...」


続続の(3/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月17日 | 英語学習、教授法 新...

続続の(3/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

■二つ目、日英の語順の問題 

英語困難先生:そう。そこで、二つ目の「日本語と英語の順序が逆」という問題が浮かび上がります。前回述べたように、関係詞の理解の困難は、穴埋めなどではなく、日本語頭を英語に切り替えなければならないという点です。 

生徒:a flower which is redを赤い花と訳すのは自然ですが、which以下が長い場合、だいたい訳せない場合が多いです。 

先生:そのため「訳して分かる」では日が暮れます。英語の語順に頭を切り替えるということにエネルギーが必要です。 

生徒:続の2/3にでてきた、the flowers (which) the girl decorated her room withも訳すとちょっと不自然な日本語になりがち。

The girl decroated her room with the flowers.をthe flowersを限定している形に変えたものだ、と理解する練習が必要だということは分かりした。

先生:続の3/3ではもっと長い文も挙げましたね。こういう文は文法書の関係詞の説明の部分にはでないのですが、関係詞で躓くのは、じっさい、こういう文字列でしょう。下の文は続の3/3の例文と少し違いますヨ。

 --- the flowers the girl says her room was filled with the flavor of ---

 ■主語と動詞が離れていて切れ目が分からない

生徒:今の文字列で思い出しましたが、新聞などに出てくる、名詞+長~い関係詞節の場合だと、どこが切れているか分からないことにも悩まされます。前の例文では、The flowers the girl says her room was filled with the flavor of are called lavendars.になっていました。下線が主語と動詞ですが、高校2年、3年ぐらいにだいぶ英文に慣れていないと途中で忘れてしまいます。(意味がパッと分からない人は続続の3/3を参照)

先生:重要な点を指摘してれてありがとう。名詞のあとに長~い限定修飾があると、ofとareの間で切れていることが分かりにくいです。ここでは前置詞のofで切れているのでまだ分かりやすいですが、名詞だとそれを主語と思ってしまうかもしれません(The flower the girl found in the garden was beautiful.のthe gardenとwas)。

しかし、英語の書き言葉では、いくら長いからといって、センテンスの中心になる動詞の前にコンマを置きません。関係詞節(形容詞節)をコンマで挟む場合、意味が少し変わります。この点は、「もう一つの関係詞の習得法」で触れます。

これは日本語から英語に移る場合、宿命ですね。しかし、英語の語順の方が便利だということも言えそうです。それも「もう一つの関係詞の習得法」で。

■三つめ、語順の移動

先生:*This is the area which Ryoma lived in his childhood.の間違いが分かりますか。

生徒:?

先生:which以下の関係詞節(形容詞節)の元となった形は?。

竜馬生徒:Ryoma lived in the area in his childhood. あ、the area which Ryoma lived in in his childhood. または、the area in which Ryoma lived in his childhoodですね。

先生:そうです。前置詞を後ろに残したり、in whichの形で前に出したり。in whichの場合、繋ぎのために前へ移動しただけなので、inは直前のthe areaとは何の関係もありません。(live in:~に住む) 

生徒:ここから形容詞節が始まるよと示すためにin whichを前に出しただけということでしょうかね。 

先生:復習のため、続3/3で出てきた例も下にコピーします。

the flowers the girl decoated her room with (口語的)

the flowers with which the girl decoated her room (少々硬い)

生徒: 語順の移動ということが顕著に見られますね。 

先生:このように「前に移動する」、言い換えれば「あらかじめ言ってしまう」のも関係詞を分かりにくくする点です。でも、「前方移動」って中学一年で出てくるのですよ。

生徒:!? 

先生:疑問文です。「どの地方に竜馬は住んでいましたか」を英語にすると?。

生徒:What area did Ryoma live in?(口語的) または、In what area did Ryoma live?(硬い文体)

先生:でしょう?。前方移動というのは基本的な疑問文で学習するのです。関係詞節の前方移動は、疑問文の応用です。

生徒:ここでも「理論」が登場しました!。関係詞の習得には、疑問文の習得が条件だ、right?。

先生:That's it! だいぶ「理論の必要」ということを繰り返し述べてきましたが、刷り込みというとではなく、関係詞という一つの文法項目から、「理論が可能だ、必要だ」ということを理解していだけたらこの項目の役目は果たし終えたことになります。

生徒:関係詞というと、whichかwhereかというような穴埋め問題だということが刷り込まれがちですが、じっさい、私たちが関係詞の習得で苦労するのは、⓵限定か、前へ進むかの区別、⓶英語と日本語では語順が逆、⓷語順の移動、の3つの点ですネ。

先生:一人一人の学習だけでなく、教科書レベル、教室レベルの指導法でもそこを間違えると、学習能率の低下、英語がいつまでも読めない、また、それ以上に生徒の学習意欲の減退を招く可能性があるのではないでしょうか。

最終回の次回は、最初に戻って、なぜ「理論」が必要かということを、文法にとどまらず、それを支える、英語学習の意義について触れながら述べます。続続の1/2に、英語と日本語の違い知ること、と書きましたが、その理由です。関係詞のダイアローグの方は、いままでとは違うアプローチです。どちらの学習法がいいか考えてください。

To be continued

練習問題:次の文字列をなんとか日本語にせよ。

(1)  --- the book which I learned the history of classical music in ---

(2)  --- the book the author of which I have known for long ---

(3)  --- the book they say is the best book to learn the history of jazz ---

 

 


続続(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月16日 | 英語学習、教授法 新...

続続(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

「続々」の2/3です。英文法の学習理論がまだないのではないか、という問いかけと、具体的な関係詞の学習法について対話をする部分を互い違いに進めてまいりました。関係詞に関する対話、つづきます。

生徒:いままで学習で、関係詞の機能の中心となる部分がだいぶ分かってきたという感触を持っています。しかし、ふつう関係詞の学習と言うと、以下のような穴埋め問題などが中心になると思うのですが、いままでそのような穴埋め問題は扱いませんでしたね。

(1) The house [            ] Mr. Kobayashi lived in is in Kamakura

(2) THe house [            ] Mr. Kobayashi lived is in Kamakura.

関係詞 鳥先生:はい(英語では No... )、穴埋め中心の学習だと、関係詞の本質が見失われて、学習のための学習に陥りやすいからです。

生徒:本質とは、関係詞は何のため使われて、またそれを使ったために何が起きるかということですね。

先生:そうです。何が先で何が後かということが分かれば、教える順序、習う順序がある程度決まってきます。それを逆にするととても分かりにくくなります。たとえば、something to write with(不定詞の形容詞用法)でなぜwithが残るのか、これだけ見ても分かりません。これがsomething (which) you can write withを前提していて、さらに、それがYou can write with something.という形を前提していることがわかれば、「何か書くもの」というのが筆記用具のことだと分かります。

生徒:文法項目一つをとっても学習の順序というものがあるということですね。この点は、例の、物理、地理、英語を比べるやり方から見ると、物理に近い側面ですね。

先生:そう、理論の必要というのはこういうことでも分かるでしょう。

生徒:では、さっきのwhich (1)と、where(2)が正解になる穴埋め問題は扱わないと...?。

先生:自問自答していますな。扱わない、というより、肝心な部分だけしっかり理解すれば、自然に分かるように仕向けたいという目論見です。細かいことを詳述していて、本質的なことが伝わらないのは困りますから。これは、最近書かれたいくつかの本、サイトで「関係詞の説明」を読んだ印象から言っているのですが。

生徒:では、関係詞の学習について本質的なこととはどういう点でしょう。

■関係詞を難しくしている三つの真の理由

関係詞 ペン先生:三点あります。すでにすこしづつ述べてきましたが、この回で、もう一度整理したいと思います。一つ目は、「限定」ということ。二つめは、「限定の位置が日本語と違う」という点。三つめは、語順の移動です。こういうとまだ抽象的ですが、関係詞の学習の際の壁は、穴埋め問題などではなく、この三つの点の習得に一番頭を使うということです。

生徒:「限定」ということは続の2/3で見ましたよ。

先生:再生しましょう。こう言っています。テープ、スタート。

生徒:(小声で)表現が古い。

-------------------------------

先生:では、もう以下の二つの文字列の意味の違いは分かりますね。

- a flower which is red

- The flower is red.

生徒:上は、「赤い花」。下は、「その花は赤い。」

先生:上は限定、下は判断を表わすちゃんとした文。「前に進んでいる文

」と言えます。上は、あとに--- is bloomingなどとつけないとちゃんとした文になりません、つまり前へ進めません。(The flower which is red is blooming =赤い花が咲いている)。

註:the =旧情報、a =新情報の説明は今回はしません。

-------------------------------

生徒:「限定」というのは、円で表わしたベン図で見ました。「前へ進む」というのは、S → Vと文が進み、ピリオッドで情報伝達が完結する形でしょう。ドから始まる音楽がドで終わるのと似ていませんか。

先生:じっさいの文はこの二つの文字列を複雑に組み合わせます。そりゃ、関係詞を使わないで、The flower is red. And it is blooming.と別々の文でも表わせますが、これでは小学校一年の絵日記の文。論理がゆるいです。The flower which is red is bloomingと言う具合に組み合わせるのが実際の文。日本語でも、「その花は赤い。それは咲いている」と言わずに、「赤い花が咲いている」というでしょう。

生徒:逆に言うと、関係詞をいくつも使った複雑な文でも、この二つの部分に整理できるということですか。

■受験生、要注意!あらゆる言語の文の要素のつながりは二つのどちらか

先生:関係詞だけではなくあらゆる文の要素のつながりは、この二つのどちらかです。あらゆる言語に言えることでしょう。

生徒:え!。関係詞以外にはどういう繋がりがありますか。

先生:以下の二つの文のwalking along the pondの部分はどうでしょう。

(1) Walking along the pond, she found a red flower. 

(2) She found a red flower, walking along the pond.

(「池のふちを歩いていると一輪の赤い花が目に入った。」)

池 蓮生徒:なるほど、walking along the pondは、彼女が赤い花を見つけた状況を限定しているわけですね。ほかにも、前置詞+名詞とか、to不定詞、接続詞などほかにも限定する作用をするものはたくさんあって、関係詞はその一つ。その意味で「限定」の理解が関係詞に先立つということですか。「限定が」一般諭。関係詞はその一例。ちょっとした「理論」ですヨネ。

先生:一見、限定に見えてじつは前へ進んでいるのもあります。

(1) I found my car stolen. 

(2) I found my stolen car.

生徒:(1)が、「私は車が盗まれたのに気付いた。」(2)は、「私は私の盗まれた車を発見した。」 (1)のmy carとstolenの関係でしょう。狭い意味での文ではないですが「車が盗まれる」です。「盗まれた車」ではないです。

先生:学校でならう、いわゆる第五文型、またの名をSVOC。これも「前へ進んでいる」形です。昔から大学受験の英文和訳の問題には、この二つの区別がよく出ます。限定か「前へ進むか」という英文の構造の区別ができているかどうかが採点の判断基準です。これはこれで、英語の試験の課題としては、けっして些末ではなく、よく理解できることです。

生徒:ここには、「理論」が生きているということですね。

先生:でも、杓子定規に、英語の限定は日本語の限定に、英語の前へ進む形は日本語でも前へ進む形へに訳さなければいけないとするのも考えものです。

(1) I was surprised at the ease with which she had solved the problem.

(2) I was surprised that she had solved the problem easily.

(1)の文のwith which以下が限定修飾だというので、「私はその人がその問題を解いた容易さに驚いた」と訳したら、日本語としていまいち。(2)と同様に、「私はその人がその問題をかるく解いたのに驚いた」と訳して答案を書いた場合、×というのは酷。(1)は、(2)と同じ意味で、ただ、「容易さ」に焦点が当たっているだけのことなのですから。

生徒:う~ん。受験英語の弊害ですか。

先生:限定と前へ進む部分の区別を杓子定規にすると、法律の条文のようにとても分かりにくい文になってしまいます。例文は挙げませんが想像つきますか。

生徒:英文和訳をすると英語と日本語の順序がおおきくひっくりかえってしまう場合でしょう。

先生:次のページは、関係詞学習の困難の二つ目、日英の語順の問題です。

To be continued



続続(1/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月14日 | 英語学習、教授法 新...

続続(1/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

このシリーズの4回目を迎えました。「続」が3分割されたせいです。関係詞という一つの文法項目を扱いながら、英語学習理論はまだないのではないか、という問いかけを行うのがこのシリーズの目的です。

関係詞 Joseph■また、おさらい

なぜ英語学習理論が必要かということについては少しづつ触れてきました。学校の教科としての英語を物理や地理と比較して、学習対象を誤ってはいないかという問いかけをしましたが、これはなにも学校だけでなく、個人が英語を学習する際にも当てはまります。学習対象をとりちがえると無駄な努力をしてしまいます。続の1では、英語学習が「日本語から英語に移る」という本質が忘れられていることに触れましたが、この点に関しては習う側より、教科書、学習書、カリキュラムを作る側が考えるべきことでしょう。日本語の文法と英語の文法の違いから説明する学習書はまだ見たことはありません。語彙、時を表わす動詞句の形など、表現の日英のずれももっと中心においてもよいのではないかと思います。

■高校一年ですべきこと

最近聞いたのですが、今高校では英文法の時間がないそうです。現場を知らないので確かめていないのですが、どういう学習理論に基づいてそうしているのか大いに疑問です。

おおざっぱですが、今まで関係詞を取り上げて説明したような文法教育は、高校1年ころに教えるのがよい、という感覚をもっています。6年間の英語教育を前提して、その半ばということです。語学は最初は、「なぜか」という問をある程度封印して、慣れるのが肝心。そのため学習動機が弱くなるので、教科書、教師が教室を楽しく英語で盛り上げることが大切です。その際、例えば関係詞の省略形や、時制の使い分けなど、教師は意図的、計画的に繰り返し自分でも使い、生徒にも使わせるのです。間違うと笑ってしまうという状況を意図的に作り出せればうまくいくでしょう。そうして印象的な各場面が生徒の頭に用意された段階で、英文法などの規則を説明すると、強い納得感とともに頭に入ります。その段階を仮に義務教育からはずれた高校一年としました。一回目でのべたように、物理の学習とちがい、英語学習には言語学だけでなく「心理学」の要素が必要というのはこういう点です。

■日本語と英語の発音の違いを意識すること

日英発音習う側にもこの時点でできることがあります。それは日英の発音の違いを意識することです。それまでは口真似でいいと思いますが、ある段階で、日英の母音、子音の違いについて、それこそ「理論」的に意識すべきです。教室であれば、例えば日本語では母音は5つなのに対して英語で13(説によっては16)あるということを一つ一つ例示して説明するのです。そうすれば、いわゆる「カタカナ英語」というものも、いい、悪いの問題ではなく、日本語から英語に移る際の必然なのだということが理解できます。高校1年と言ったのはあくまで概括的なことで、学生の個人差、働いている人の学習の場合はもっと広い個人差がありますから、教える側の注意が必要です。適切な時期の前に「理論」を説明しても習う側の耳には入りません。

なぜ、このころ、文法の「理論的」説明をするのか?。

この問はここまで読んだ方は予想していなかったかもしれません。なぜそうする必要があると思うのか?、一般的傾向にさからって...。その理由は、このころに発音にとどまらず、英語と日本語の基本的違いを意識する必要があるからです。この問題は、英語学習理論を考える場合の基本に横たわる問題です。これについてはこのシリーズの最期の回で述べることにします。ここでは、関係詞の話に移ることにしましょう。では、二人が登場します。

To be continued

前回の練習問題の答:次の語列を英訳せよ:

(1) その少女が好きな鳥

the bird (which = that) the girl likes

(2) その鳥を好きな少女
the girl who likes the bird

(3)その少女がいっしょに遊びたい鳥
ヒント:「その少女はその鳥といっしょに遊びたい」= The girl wants to  play with the bird.

- the bird (which = that) the girl wants to play with (普通の表現)
- the bird with which the girl wants to play (少々硬い表現)