■疲弊、重圧…心折れた
午前2時に起き、授業の資料を作り始める。夜明け前、近くのコンビニでコピーして午前7時に家を出る。放課後は部活動に職員会議。午後9時すぎに帰宅し、夕食と風呂を済ませ、家族と言葉を交わす間もなく、午後11時、倒れるように布団に入る。
岐阜県内の市立中の女性教員(53)は07年3月、そんな生活に終止符を打った。定年まで残り8年。心が折れてしまった。
26年間の小学 . . . 本文を読む
毎日新聞連載コラム「質問なるほドリ」より
◆失業手当って、いくらもらえるの?
◇支払われる額に個人差 倒産、解雇には「手厚く」
なるほドリ 世界的な金融不況の影響で、日本でも仕事を失った人たちが増えているけれど、失業手当の仕組みはどうなっているのかな?
記者 失業手当の話をする前に、まず雇用保険制度の説明をしておいた方がいいですね。この制度は失業した労働者の生活や再就職の支援が . . . 本文を読む
【オバマ氏のメッセージ】
世界が熱狂する中、アメリカ大統領に就任したオバマ氏。
ふだんはエリートとはいえ気取ったところもなく、どこにでもいる“ナイスな40代”に見える。
それが大聴衆を前にすると表情も引き締まり、あれだけ力強い演説をするのだからすごい。
もちろん、オバマ氏にもいろいろな挫折はあっただろう。
父親の事故死、母親の再婚とハワイへの移住、人種の壁を感じたことも、あっ . . . 本文を読む
妊婦死亡が問うもの/上 少なすぎる医師数
■開業医と連携なく
昨年11月21日夜。東京都立墨東病院(墨田区)5階の大会議室に病院と都、地元開業医の代表計18人が集まった。産科救急の「最後のとりで」である総合周産期母子医療センターに指定されている同病院産科の常勤医が、定員(9人)の半数以下の4人となったことへの対応を話し合う初めての会合だった。
病院は「(開業医は)患者を救急搬送した . . . 本文を読む
8: 72歳母と難病患う35歳娘
■2人で選んだ「死に方」 遺品整理、納骨代行を依頼
「あたしが先にあの世へ行くけど」。母(72)がふともらした言葉を、娘(35)は聞き逃さなかった。「年の順とは限りません」。2人は顔を見合わせて笑ったが、娘の目には大粒の涙が浮かんでいた。母は続けた。「病気のあんたに迷惑はかけないからね」
千葉県木更津市に独居する母は昨年暮れ、東京都内に住む一人娘を . . . 本文を読む
■「自分だけじゃない」自殺遺児の手記読み気付く
06年9月、蒸し暑さの残る京都駅。元ホテルマンの男性(34)は北陸へ向かう特急列車に乗った。平日の午前で乗客はまばら。ひっそりとした車内に、レールをこする車輪の音が響く。座席で文庫本を開いた。自死遺児たちの手記集「自殺って言えなかった。」。前日に立ち寄った中古書店で、タイトルにひかれて手に取った。
親を突然失い、周囲に隠し続けるつらさ . . . 本文を読む
■「社会滅びろ」ポケットにナイフ 救ってくれるのは母
6月の週末。その数日前、東京・秋葉原では無差別殺傷事件が起きていた。男性(36)は都内の自室で迷彩服の内ポケットにアーミーナイフを忍ばせ「渋谷に乗り込んでやる」と息を荒らげた。「こんなに苦しんでるのに、チャラチャラしやがって」。楽しそうに街を歩く若者への強い嫉妬(しっと)を以前から口にしていた。6年前からつき合っている支援者が、異変を察 . . . 本文を読む
全学校に「荒れ」の芽
住民からの苦情電話は土曜も日曜もかかってきた。
「おたくの生徒がたばこ吸いよう」
花火をしている、と通報してくる人もいた。自分で注意せず、なぜ学校だけに頼るのか……。教頭(56)は腹立たしくなる。
福岡県内の中学。07年春、他校で問題を起こした3年生男子が転校してきた後、数人が同調して問題行動をとり始めた。
遅刻して廊下を徘徊(はいかい)。壁をけ飛 . . . 本文を読む
社会保障の機能強化や財政再建を目的とした税制の抜本改革の実施時期をめぐって、政府は経済状況を好転させることを前提に、11年度までに必要な法制上の措置を講ずることになった。自民党が政府案を受け入れたもので、23日に閣議決定する09年度税制改正関連法案の付則に盛り込む。
この問題では、麻生太郎首相が昨年12月末に閣議決定した持続可能な社会保障構築の「中期プログラム」の内容を付則に入れることに意 . . . 本文を読む
犯罪の被害者や遺族が刑事裁判に参加して、被告に質問したり、量刑について意見を述べることができる「被害者参加制度」が本格的にスタートした。東京地裁では23日、2件の公判で導入され、遺族らが検察官の横に着席、刑事裁判が様変わりしたことを強く印象付けた。
被害者らは従来の刑事裁判では傍聴人にすぎず、10年前に検察庁が被害者側に起訴・不起訴の処分結果や公判期日を通知するようになるまでは、被告が裁判に . . . 本文を読む
米国に初の黒人大統領が誕生した。私はその歴史的瞬間を、黒人の公民権運動指導者、マーチン・ルーサー・キング牧師(68年暗殺)の地元アトランタで迎えた。米国はオバマ大統領の誕生で、人種の壁を越えるという牧師の夢の実現に一歩近づいたと思う。しかし、牧師にはもう一つ、重要な精神がある。非暴力だ。暴力を問題解決の手段にしない社会の実現だ。世界に暴力があふれる今こそ、彼の「もう一つの夢」に向かって歩み始める . . . 本文を読む
◇積極的な成績公表の3府県
全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の市町村別、学校別成績を公表する動きが広がりつつある。過度な競争をあおることを懸念する声もある中、積極的に公表を進めている秋田県や大阪府、鳥取県の現状を追った。【三木陽介、平川哲也、宇多川はるか】
■どうなる「実施要領の順守」--秋田県
◇知事主導で市町村別 反発出て県教委火消し
07、08年度と2年連続で . . . 本文を読む
NHK経営委員会の委員長を務めていた古森重隆・富士フイルムホールディングス社長が昨年12月21日、退任した。古森氏は在任中、外国向けの国際放送で国益重視を求め、会長に意中の人物を起用、さらに次期経営計画に異例の修正を加えるなど、強権とも映る運営手法を貫いた。「古森委員会」の1年半を振り返る。【臺宏士】
■番組の編集に関与
「君たちの仕事は重要なんだ。正確に報道してくれよ」。昨年1 . . . 本文を読む
萩尾信也・記
「あなたに私の痛みが分かりますか?」。NPO「東京自殺防止センター」のボランティアたちが、電話で相談してくる人(コーラー)たちから突きつけられてきた問いである。
痛みは極めて主観的なものだ。コーラーの苦悩に重なる体験があったとしても、他者の痛みを安易に理解できるものでないことを、ボランティアたちは体験の中で学んできた。加えて、体と心の痛みは複雑に絡み合い、そのありよう . . . 本文を読む
■継続は亡き人への敬意
6434人が犠牲となった阪神大震災(95年)は17日で発生から14年を迎える。私は震災をテーマにした演劇を上演し続ける劇団があると聞き、けいこ場に足を運んだ。神戸を拠点に活動する「PEOPLE PURPLE(ピープルパープル)」だ。「助けたくても、助けられなかった」。舞台で表現するのは、救助活動に当たった消防士たちの苦悩だった。私は、このテーマに関心を持って取材を重 . . . 本文を読む