かつてない事故の収束に向け苦闘が続く東京電力福島第1原発。労働現場で何が起き、作業員は日々どんな思いで臨んでいるのか。
◆3・12~15 連続爆発 ◇俺たちに、ここで死ねっていうことか
大地震発生翌日の3月12日午前3時過ぎ。「圧力上昇を続ける1号機の原子炉格納容器から、放射性物質を含んだ水蒸気を放出する」と政府は発表した。50代の東電男性社員はそのことを伝える非常用ラジオの . . . 本文を読む
■日立、東芝とグループ社中心
作業員のうち東電社員は一部(21日現在2894人中374人)に過ぎず、大半は協力企業だ。
その中心は、1号機(米ゼネラル・エレクトリック=GE=製)と4号機(日立製)を担当する原子炉メーカーの日立GEニュークリア・エナジーと、2、3、5、6号機を納入した東芝(2、6号機はGEと連合)。両社で1000 . . . 本文を読む
■「250」引き上げ3日後 安全確保、防衛相が阻止
自衛隊が東京電力福島第1原発の上空からヘリで放水した3月17日、東京・市ケ谷の防衛省に首相官邸から一通の文書が届く。タイトルは<線量限度の引き上げについて>。政府はその3日前、緊急作業時の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたばかりだった。それをさらに国際放射線 . . . 本文を読む
四代目・柳亭痴楽(りゅうていちらく)の「綴(つづ)り方狂室」に「〓郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも、みんな痴楽が悪いのヨ」という自虐ギャグがあった。
いまの国会論戦がそれだ。震災も、政争も、円高も、財政赤字も、みんな菅直人が悪いのヨである。野党も与党も「菅さえやめれば万事解決」の胸算用。菅の反論がまた、伏し目がちで言いわけがましい。
今は原発推進の国 . . . 本文を読む
日本の官僚が「ことなかれ主義」に陥る理由として、大きく二つあると指摘されてきた。
① 勤務評価が減点法であること、② 幹部職員であるキャリア官僚が2~3年で部署を移動していくこと……である。
現在までの官僚組織は、本質的には明治初期の「太政官」以来、ほとんど改革されていない。
勤務評価は、減点法が中心で、成果を上げてもさほど評価されないが、失敗する . . . 本文を読む
なでしこジャパンもすごいが、プロゴルフの有村智恵選手が同一ラウンドでホールインワンとアルバトロスの両方をやってのけたのも快挙だ。
日本女子プロゴルフ協会によると、1080万9184ラウンドに1回の確率だそうだ。毎日1ラウンドしたとして2万9614年に1回あるかないか。ジャンボ宝くじに当たる確率に等しいとか。
ホールインワンは150メート . . . 本文を読む
たしかに電力不足は企業にとって大変だ。一般家庭でも暑い夏をどう乗り切るか、熱中症は大丈夫かと心配になる。しかし、マイナス面ばかり考えるとますます不安やいら立ちが募る。節電しなければならないからこそできることも考えたい。
OECD(経済協力開発機構)が5月に発表した「より良い暮らし指標」では教育、収入、安全、雇用などの分野で日本は参加34カ国の上位を占めたが . . . 本文を読む
「原爆の子」は戦後6年を経た1951年、岩波書店から出版された広島の被爆遺児らの作文集である。
子供たちの目と心に焼きついた惨状と恐怖、亡き肉親への追慕は、最近出版された東日本大震災・大津波被災地の子供たちの作文と同様に胸を突かずにはおかない。
編者の長田新(おさだあらた)(1887~1961年)は教育学者で、市中心部で被爆し医師もさじ . . . 本文を読む
■児相も未熟、救えず 16歳の少女は生前、教師に「お母さんに殴られた」と訴え、学校も「虐待」と児童相談所に通告していた。顔へのあざが見つかったこともあった。しかし、度重なるSOSは生かされず、短い生涯を閉じた。なぜ彼女を救えなかったのか--。母親が逮捕、起訴された逮捕監禁致死事件を、岡山から報告する。
■「生きがいだった」
起訴内容によると、岡山市北区の無職、清原陽子被告(38) . . . 本文を読む
地球の内部で生じている熱(地熱)の半分は、地球が形成された約40億年前に発せられた「原始の熱」の名残であることを、東北大を中心とする国際研究チームが、地球内部から飛来する素粒子ニュートリノの観測を通じて突き止めた。残り半分は、地中の放射性物質が自然に崩壊する際に出す熱(崩壊熱)とみている。地熱の由来はさまざまな仮説があるが、観測で確認したのは初めて。17日付の英科学誌ネイチャ . . . 本文を読む
先週末、文部科学相が、高速増殖原型炉「もんじゅ」をめぐる自分の発言を伝えた報道に神経をとがらせ、記者会見をやり直す騒ぎがあった。この逸話は、関係当事者の利害に遠慮し、国政の大局を見失った日本の混迷をよく表している。
もんじゅは、原発から出る使用済み核燃料を再利用して発電する「夢の原子炉」である。まだ研究開発段階だから、文科省が所管している。
15日朝、文科相の定例記者 . . . 本文を読む
「菅降ろし」政局の混迷が続いている。被災地のみならず、内外世論から総スカンを食ってもやまない。なぜか。福島で起きていることを正しく理解していないからだと筆者は思う。与野党を問わず、「原発事故は、曲がりなりにも収束へ向かう」と思っているから、国民の不安と懸け離れた政争を繰り広げて恥じるところがない。
福島原発事故は収束に向かっていない。核燃料の冷却作業は、工程表 . . . 本文を読む
アジアでひとり勝ちは中国だが、欧州ではドイツのひとり勝ちがはっきりしてきた。もちろん経済競争である。
日本は貿易収支が赤字になったりし始めたが、ドイツの黒字構造は揺らぎもせず、むしろ強化されている。英エコノミスト誌が「ドイツは少しギリシャのまねをして国内消費を増やしてくれないと」とこぼす有り様だ。
理由ははっきりしている。英 . . . 本文を読む
今スペースシャトルの最後の任務が話題になっているが、過去世界の宇宙への関心が最高潮に達したのは1969年の今ごろ、人類が初めて月面に立つ米アポロ11号の打ち上げの時である。
そのころ、中米エルサルバドルとホンジュラスの間で戦争が起きた。ワールドカップ(W杯)の予選で両国民は死者が出るほど過熱し、6月の最終戦でエルサルバドルが制したのがきっかけだった。
移民や国境線など . . . 本文を読む
福島第1原発事故の後、止まったままのものが原発以外にもある。電力会社による社債の発行がそうだ。関西電力と九州電力は先月予定していた起債を見送った。4月以降に発行できたのは沖縄電力だけ。唯一、原発を持たないからである。
かつて電力会社の債券には、国並みの信用力があった。そのため極めて低い金利で多額の長期資金を借りられた。だが福島の事故で一変。原発を抱えている以上、どの電力も本質的に東電と同 . . . 本文を読む