萩尾信也・記
「あなたに私の痛みが分かりますか?」。NPO「東京自殺防止センター」のボランティアたちが、電話で相談してくる人(コーラー)たちから突きつけられてきた問いである。
痛みは極めて主観的なものだ。コーラーの苦悩に重なる体験があったとしても、他者の痛みを安易に理解できるものでないことを、ボランティアたちは体験の中で学んできた。加えて、体と心の痛みは複雑に絡み合い、そのありよう . . . 本文を読む
■継続は亡き人への敬意
6434人が犠牲となった阪神大震災(95年)は17日で発生から14年を迎える。私は震災をテーマにした演劇を上演し続ける劇団があると聞き、けいこ場に足を運んだ。神戸を拠点に活動する「PEOPLE PURPLE(ピープルパープル)」だ。「助けたくても、助けられなかった」。舞台で表現するのは、救助活動に当たった消防士たちの苦悩だった。私は、このテーマに関心を持って取材を重 . . . 本文を読む