悲憤の島から:第3部・兵士たちの悔恨/上 集団自決、重い呪縛
■自分は捕虜で生き残った、でも住民たちは…
65年前の8月15日。米軍の捕虜になった元日本兵、野村盛明さん(91)は、沖縄本島の収容所で敗戦を知った。日系2世の米兵から玉音放送の内容を聞き、「これで帰れる」と体から力が抜けた。収容所から真っ赤な夕日を眺めると「あの戦場を生き延びた」と実感した。だが、 . . . 本文を読む
■形見の写真1枚「働く姿見てほしかった」 沖縄県嘉手納町の商店街にある上運天(かみうんてん)靴店。店主の上運天賢篤(けんとく)さん(74)は足踏みミシンを使い、つま先の破れたスパイクを丁寧に縫い合わせていく。壊れた靴は息を吹き返し、客の女性が満足そうに帰って行った。半世紀以上、靴職人一筋でやってきた。
「働いている姿を母に見てもらいたかったなあ」。黙々と動かしていた手を止めてつぶやいた . . . 本文を読む
悲憤の島から:第2部・コザ孤児院/1(その1) 「ひめゆり」の先生と教え子60人
■再会「命どぅ宝」 65年、戦後生き抜き
沖縄の梅雨が明けた翌日の6月20日。夏の訪れを告げる強い日差しが降り注いでいた。1945年の沖縄戦の孤児を収容した「コザ孤児院」で亡くなった子供たちの慰霊祭が沖縄市納骨堂で初めて開かれた。かつての戦争孤児ら約60人が集い、再会を喜び合う中に仲里マサエ先生( . . . 本文を読む
■移民の苦難伝えたい
那覇市内から車で国道58号を北上し、宜野湾市に入ると、急に英語の看板が目立ち始める。沖縄本島を南北に貫く58号。右に左に基地が続く。米軍が基地間の移動のために整備したといわれる。普天間飛行場の西を抜けると、すぐにキャンプ瑞慶覧(ずけらん)が右手に見える。フェンスの向こうには青々とした芝生が広がっていた。沢岻安三郎(たくしあんさぶろう)さん(67)の土地は . . . 本文を読む
1 故郷攻めた日系米兵の苦渋
■アメラジアンの子ら、タブー超え沖縄戦学ぶ
上空を時折ヘリコプターがかすめる。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の南東約1キロにある民間教育施設「アメラジアンスクール・イン・オキナワ」。クリーム色の建物に入ると、日本語と英語が飛び交っていた。主に米軍関係者と沖縄女性の間に生まれた「アメラジアン」と呼ばれる子供たちが学ぶ。
この夏、中学生16人を . . . 本文を読む
■無知で理性失った 伝えておかないと再び戦争に向かう
終戦から65年を迎えた15日、和歌山県の元日本兵(90)が、中国人捕虜を刺殺するよう部下に命じた経験を初めて語った。兵隊の訓練のためにやむを得ないと自分を納得させてきたが、「むごいことをした」との思いが消えなかった。90歳の今、「人に伝えておかないと、世の中が再び戦争に向かう恐れを感じる」と、取材に対し口を開いた。【久木田照子】
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千葉景子法相が民主党政権になって初めての死刑執行を命じ、2人が東京拘置所で執行された。
かつて、「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバーだった千葉法相の執行命令について、関係者からいぶかる声が出ている。だが、法相として初めて執行に立ち会った千葉法相は「死刑に関する根本からの議論が必要だと改めて感じた」と会見で述べた。
秘密のベールに包まれた執行の現場はどうだったのか。直接見た実態について . . . 本文を読む
ロバート・デニーロ監督の「グッド・シェパード」(06年)は、米中央情報局(CIA)の活動を題材にした映画だ。旧ソ連の専門家としてCIAに勤務し、生え抜きでは初めて長官にまで上り詰めたゲーツ現国防長官は今も「非常にリアル」と絶賛する。長官推薦とあって、DVDを借りて見たが、007シリーズのような華やかさとは無縁の、実に暗い映画だった。
米司法省が核開発などに関する情報収集をしていたロシア対外情 . . . 本文を読む
米英関係がちょっとギクシャク気味だ。先日、カナダのトロントで開かれたG20(主要20カ国・地域)のサミットでも、財政再建への力の入れ具合とかでぶつかった。
その両国の首脳、キャメロン英首相とオバマ米大統領がサミットの合間に会談した。すると途中でガイトナー米財務長官がやって来て、大統領に情報を伝えた。「ガーナに1点リードされました」。米ウォールストリート・ジャーナル紙が紹介していた。W杯決 . . . 本文を読む
ドバイ、シドニー、トロントと世界のメディアが「日本世界一」を伝えた。それも25年連続の快挙。日本人女性の平均寿命だ。09年は前年より5カ月近く伸び86.44歳に。医療の進歩や食生活とかが、世界に冠たる日本人女性を作っているんだって。
男性も4年連続の記録更新で79.59歳。世界では5位だけど、決して悪くない。ただ、平均が男女で7歳近くも違うのはなぜ? 基本的に同じものを食べ、同じ環境で暮 . . . 本文を読む
■供述偏重の捜査から脱却を
障害者団体向け郵便割引制度を巡る郵便不正事件で、偽証明書の作成を部下に指示したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)の裁判が6月29日に大阪地裁で結審した。判決は9月10日に言い渡されるが、無罪の公算が大きいというのが取材記者らの共通した見方だ。22回の全公判を傍聴した私も同じ印象を持つ。裁判員裁判の導入を機に司法 . . . 本文を読む