■暴力夫から子5人を連れて逃げ
……母親が、林檎(りんご)の皮をむいて、棚に腹ん這(ば)いになっている子供に食わしてやっていた。子供の食うのを見ながら、自分では剥(む)いだぐる〓の輪になった皮を食っている。=「蟹工船」から
朝5時。疲れ切った体をなんとか持ち上げ、ふとんからはい出る。食べ盛りの5人の子どものために1升の米を炊く。朝ごはん用にごま塩、おやつにみそ、夕食用は . . . 本文を読む
■「高給」「休み融通」信じ、故郷を出たが
彼等(かれら)は少しでも金を作って、故里(ふるさと)の村に帰ろう、そう思って、津軽海峡を渡って、雪の深い北海道へやってきたのだった。
=「蟹工船」から
「月収31万円以上可」「賞与30万円以上」「カップル大歓迎」--。有効求人倍率が全国最低の沖縄県。無料情報誌に躍る甘い誘い文句は、職を求める若者たちを闇夜に浮かぶ常夜灯のように強烈に引きつけ . . . 本文を読む
1 小刻みに殺される
■11年間で11社を転々…うつ病に
「9月いっぱいで辞めてください。正社員を入れるそうだから」。人材派遣会社のこの言葉、何度聞いただろう。契約は11月6日までのはずなのに。
昨年8月中旬、埼玉県に住む狗又(いぬまた)ユミカさん(34)は「首を切られた」。11年間で11社目。勤務先が変わる度に傷つき、自分には能力がないと落ち込む。
そんなとき、地元の漫画喫茶 . . . 本文を読む
■携帯に振り回され
「あとで職員室においで」
山口県下関市の県立高校。女性教諭(32)は、階段で携帯電話を見ていた女子生徒の携帯を取り上げた。学校に持ち込めば1週間の没収だ。放課後、生徒は女友達四、五人と共に現れた。
「携帯なかったら彼氏にふられてしまう。終わってしまう」。目に涙がにじんでいる。「没収されたって言えばいいじゃない」。そう説いても、「無理無理ー」と声を振り絞る。「 . . . 本文を読む