墨汁日記

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徒然草 第三十七段

2005-09-01 20:01:53 | 徒然草
 朝夕、隔てなく馴れたる人の、ともある時、我に心おき、ひきつくろへるさまに見ゆるこそ、「今更、かくやは」など言ふ人もありぬべけれど、なほ、げにげにしく、よき人かなと覚ゆる。
 疎き人の、うちとけたる事など言ひたる、また、よしと思ひつきぬべし。

<口語訳>
朝夕、隔てなく馴れた人が、というある時、我に気を置いて、ひきつくろへる(引き繕へる・とりつくろう、気を使う)様に見えるのは、「今更、こんな」などと言う人もあるだろうが、なお、げにげに(実に実に、いかにもいかにも)しくて、よい人かなと覚える。
疎い人が、うちとけた事などを言うのも、また、よしと思いつくものだ。

<意訳>
 ある日、突然。
 すっかりうちとけていたはずの人が、いきなり気を使い、よそよそしくとりつくろう。「今さら、こんな」と思う人もいるだろうが、これがマジで本気なんだから、悪い気はしない。
 知り合ったばかりの人が、うちとけた口調で話しかけてくるのも、また良いもんだ。

<感想>
 背徳のにおいがする。これは一般論なんだよという語り口ながら、なぜか売春の話しのような気がする。兼好はどこか後ろめたさを感じながら、この段を書いてはいないだろうか。妻を持たなかった兼好への偏見だろうか?
 まぁいい。
 これは兼好の女性論と見るのがやはり正解なのだろう。
 この段は、「すっかり、うちとけて生活していたはずの女が、ある日、突然にとりつくろったような様子を見せる。それは可愛い。あったばかりの女がタメグチなのも、それも、また可愛い」という話しだ。



















原作 兼好法師

現代語訳 protozoa

参考図書
「徒然草」吉澤貞人  中道館
「絵本徒然草」橋本治  河出書房新書
「新訂 徒然草」西尾 実・安良岡康作校注 岩波文庫
「徒然草 全訳注」三木紀人 講談社学術文庫


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