墨汁日記

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タコ

2005-04-21 20:46:31 | 食・レシピ
 テレビを見ながら、右足の親指にできたタコを爪でいじっているうち、大きなタコがポロリとはがれ落ちた。

 このタコは先月辞めた職場でできたタコ。
 長時間の立ち仕事がタコとなった。

 そして、その職場に勤めだした頃に出会った彼女とも、昨夜で縁が切れた。

 イタイタコがはがれて、全ての確執が角質と共にポロリとはがれ落ちたかのようなすがすがしい気分。

 はがれ落ちたタコ。

 そのタコを指で持ち眺めているうちに。
 このタコをを食え。
 これを食う事で俺は過去から解き放たれる。
 さらに一皮むけて強くなれる。
 (風呂に入ったばかりだからOKだろ?)
 そう俺の脳がそうつぶやく。
 (かっこ内も、俺の脳のつぶやき。)

 そんなで、食っちゃいました。親指からとれたタコ。

 もぐもぐコリコリ。固くて、歯茎が鍛えられる。

 こうやって、人は神秘主義者になる。

 日常のささいな偶然に意味を見い出しはじめると、人は帰って来れなくなる。
 何故、人間は日常の偶然に線引きをしたり意味を求めたりするのか?

 まぁ、ありそうなんだけど。

 どこにも、線も意味もない。
 線も意味もどこにも実在しない。

 偶然の積み重ねを運命と言うだけだ。
 

 その事をふやけた脳細胞にちゃんと理解させないと、足の親指のタコを食うはめになる。


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