墨汁日記

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あざとく行きましょう

2005-09-19 10:07:38 | 日常
 矢川緑地に散歩に出かける。
 矢川緑地の西側の入り口のあたりには、なんだか少し乱雑な雰囲気だ。入り口を入ったすぐのところには矢川緑地のシンボルのような柳の大木が立ち、枝葉をたらし大きな影を作っている。まわりには数本の立ち木が根を水たまりに浸しながら生え、雑草がところせましと生い茂り、丸太で造られた柵が設けられている。初夏にこの入り口のあたりに来ると、植物のパワーに圧倒されるような気さえする。
 今日は晴れた。台風などの影響で、矢川緑地の湿地には水がたっぷりある。入り口あたりは木陰になり、水たまりに反射する太陽の光のみがギラギラと輝く。水面に反射する日の光は風にユラユラと揺れながら、やはりユラユラ風に揺れている日陰の中の草たちに水面から光を投げかける。草や花は、下から光を浴び、葉や花を透かし日陰の闇の中にゆらゆらと浮かび上がる。日陰の中で揺れる、白や緑や黄緑の光を含んだ葉や花の色は幻想的で美しい。とくに名も知らぬ小さい白い花の美しさは際立っていた。花に目をやると、その花の茎にはびっしりアリマキがとりついていた。
 
 朝夕、だいぶ冷え込むようになったが、柳の枝でしつこく鳴き続けるツクツクホウシ。隙間さえあれば、なんの遠慮もなく根を下ろし成長する雑草。その草に巣をはり獲物を待つクモ。少しの水たまりにもなわばりをつくり、徘徊するアメンボ。水たまりでエサをあさる鴨。飛び回るウンカに犬のクソにむらがる銀バエ。草の中で恋の歌を歌う鈴虫たち。
 生き物たちはなんの遠慮もなく、あさましく生きている。自分で自分の生を放棄するような奴は一匹たりともここにはいない。己の生にしがみつき、あざとくしぶとく生きるだけ。そんな連中の集合体が矢川緑地だ。生きる事は生き物にとり「目的」なのだ。彼らの生に「将来の計画」も「生きる意味」もない。それでも自然は美しい。いや、だからこそ美しいのか。


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