墨汁日記

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徒然草 第百三十三段

2005-11-19 20:02:02 | 徒然草
 夜の御殿は、東御枕なり。大方、東を枕として陽気を受くべき故に、孔子も東首し給へり。寝殿のしつらひ、或は南枕、常の事なり。白河院は、北首に御寝なりけり。「北は忌む事なり。また、伊勢は南なり。太神宮の御方を御跡にせさせ給ふ事いかが」と、人申しけり。ただし、太神宮の遥拝は、巽に向はせ給ふ。南にはあらず。

<口語訳>
 夜の御殿は、東枕だ。大方、東を枕として陽気を受けるべき故に、孔子も東首しなされた。寝殿のしつらい、或は南枕、常の事だ。白河院は、北首に御寝(に)なりました。「北は忌む事だ。また、伊勢は南だ。大神宮の御方角を御足になされる事いかが」と、人申した。ただし、大神宮の遥拝は、東南に向かわれ(て)なされる。南ではない。

<意訳>
 北枕は縁起が悪い。偉い人や尊い方も、北枕を嫌う。
 太陽が昇る方角の東を枕とすれば、陽気を受けると言われている。中国の孔子も東を向いて寝たらしい。
 寝殿での布団の敷き方も、東枕が基本だが、無理なら南枕だ。
 白河上皇は北を枕にして寝ておられた。
「北は忌むべき方角です。また、皇族の神を奉る伊勢神宮は南にあります。大神宮の方に足を向けて寝るのはいかがなものなのでしょうか?」
 と、ある人が言っていた。
 ただし、天皇が京都の御所から、大神宮を拝む時は東南を向いて拝まれる。南ではない。

<感想>
 兼行はこの段で何が言いたいのか?
 たぶん、「北枕」なんて関係ないよ。どっち向いて寝たって、別に死にやしないよと、言いたかったらしい。
 何故か?
 兼行の基本は神社の息子である。基本的に、兼行は神道しか信じていない。中国伝来の仏教も道教も、神道からしてみれば一邪教に過ぎないのだ。(兼行は法師で仏教徒である。仏の教えを学んではいるのだけれども、仏教を純粋な哲学として受け取っていた気配があり、仏教の偉人達の伝説などは全く信じていなかった様子が文章からうかがえる)
 「北枕」は、中国から輸入された迷信である。
 確かに、中国の学問や薬は素晴らしい。どんどん輸入して知識をふかめ、さらに漢方薬で健康になるべきである。と兼行は考える一方。でもさぁ、いくらなんでも、中国がいくら偉大だからってさぁ、迷信までも輸入する事はないいじゃないのと、考えていたように思われる。
 例えば、西洋文化がいかに素晴らしくても、キリスト教徒でもない日本人が、クリスマスを祝うのは馬鹿丸出しのように。

原作 兼好法師 


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きのう、protozoaと人に兼行したいです。 (BlogPetのおいし)
2005-11-20 11:07:12
きのう、protozoaと人に兼行したいです。
例えば伊勢にprotozoaが関係したいなぁ。
或はprotozoaで兼行♪
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