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徒然草 第七十四段

2005-10-04 19:22:29 | 徒然草
 蟻の如くに集まりて、東西に急ぎ、南北に走る人、高きあり、賤しきあり。老いたるあり、若きあり。行く所あり、帰る家あり。夕に寝ねて、朝に起る。いとなむ所何事ぞや。生を貪り、利を求めて、止む時なし。
 身を養ひて、何事をか待つ。期する処、ただ、老と死とにあり。その来る事速やかにして、念々の間に止らず。これを待つ間、何の楽しびかあらん。惑へる者は、これを恐れず。名利に溺れて、先途の近き事を顧みねばなり。愚かなる人は、また、これを悲しぶ。常住ならんことを思ひて、変化の理を知らねばなり。

<口語訳>
 蟻の如くに集まって、東西に急ぎ、南北に走る人、(身分の)高い(人)あり、賤しい(人)あり。老いた(人)あり、若い(人)あり。行く所あり、帰る家あり。夜に寝て、朝に起きる。いとなむ所何事か。生を貪り、利を求めて、止む時なし。
 (我が)身を養って、何事かを待つ。最期、ただ、老と死とにあり。その来る事速かにして、一瞬の間にも止まらない。これを待つ間、何の楽しみがあろう。惑える者は、これを恐れず。名利に溺れて、行く先の近い事を顧みないのだ。愚かなる人は、また(→そのくせ)、これを悲しむ。(この世に)常住できないことを思って、変化の理(ことわり)を知らねばならん。

<意訳>
蟻のように集まり、東西に急ぎ、南北に走る人々。身分高いアリに、働きアリ。老いたアリに、若きアリ。行く所があり、帰る家もあり。
 夜寝て、朝起きて、行列の先には何があり。
 しかし人々、生を貪り、利を求め、止まることない。ただ、わが身を養い最期の時を待つ。最期の時には死と老いのみが有り。
 最期の時は一瞬の間も休まずにおしよせてくる。これを待つ間、なんの楽しみがあろうか。心惑わされる者は死をも恐れない。死など顧みないからだ。そのくせ、死を悲しむ。人は永遠には生きられない。無常を理解する必要あり。

<感想>
 「あり~」ってかんじです。

原作 兼好法師


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