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墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 243

2007-01-08 18:18:35 | 

「『本当』の意味は本当にあいまいだ。『本途』とか『本統』などの当て字もある。古語辞典に『本当』の項目はないので、かなり新しい言い回しなのだろうが、その語源は分からない。何が本当なのか分からない。
 偽の反対は真。
 偽りの反対は誠。
 虚の反対は実。
 虚偽の反対は真実。
 悪の反対は善。
 悪いの反対は良い。
 だが、本当に対応する反対語は無い。
 また、嘘の反対語もない。
 本当と嘘は対応してないのだ、本当と嘘はそれぞれ別の概念であるらしい」

「えー、でも嘘と本当は反対なような気もするけど」

「それは素直な感性で、本当のところは本当に反対語は無い。
 たとえば、死の反対語はなんだろうか?」

「生かな?」

「残念。反対語はない。
 その理由はたぶん、死の反対がなんだか分からないからだ。死ぬ事の反対は何だろうか。生きている事なのか? でも、生まれる事、誕生こそ死の反対であるとも言えそうだ。
 産まれる事と生きている事では明らかに違う。生命の始まりと途中だ。死は生命の終わりだが、反対は途中である生きている事だろうか、それともはじまりの誕生であろうか?
 俺は死の反対は誕生だと思うが、定説は無い。あやふやで分からないモノの反対は決められない」


平成マシンガンズを読んで 242

2007-01-08 02:14:56 | 

「言葉の意味は難しい!」

 と、死神が言う。

「しつこいと思うかもしれないが、『本当の自分』って何だ?」

「知らない。だいたい本当には嘘も本当もないんでしょ。本当は純粋に本当としか言えないんでしょ?」

 死神はテーブルの下にころがっていたお父さんのお古の新明国語辞典を手に取ると、パラパラめくりながら答えた。

「だといいんだが。『本当』に反対語は無いにもかかわらず、だが『本当』という言葉を辞典でひくと『偽りや、冗談・見せかけではないこと』と書いてある。ついでにと思って『自分』を辞典でひくと『行動したり感じたりする、当のその人』とある」

「ん。てことは、辞書も『本当』は嘘でない事と一部認めているんだ」

「まぁ、本当のところは分からん。言葉は難しいんだよ。だが、この辞典に載る意味を素直につなげれば、『本当の自分』の意味は『偽りや、冗談や見せかけではない、行動したり感じたりする、当のその人』となる。これだと『本当の自分』は、『偽りのない当の本人』という意味になるな。でも、自分の『気持ち』なら偽れけど、『自分』なんか偽れるものだろうか?」

「ペルソナだよペルソナ。猫なんかもかぶったりなんかして!」

「それは、他人に『偽りの自分』を演技しているだけだろ。演技でなく純粋に『自分自身』を偽れるのか? あんたが『自分』であるなら、その『自分』の感覚や気持ちをどうやれば偽れる? 偽れたとして、それは本当に偽れたと言い切れるのか?」

「暑いのに、暑くないふり」

「フリは演技だろ。例えば、熟練したパン屋なら多少熱いくらいの天板だったら素手で持てる。訓練すれば熱いのにかかわらず、そんなに熱くないと思えるようになる。だが、それは偽りか? そうではないな、あんまり熱くないと感じているだけ、指の皮が厚くなっただけとも言える」

「まぁ、誰もいないのに1人でヤセ我慢しても意味ないもんねぇ」

「『自分』なら『自分以外の他人』に、暑いのに寒いとか、痛いのに痛くないとか嘘を言える。だが、『自分自身』は簡単に偽れない。『自分』にできるのは勘違いとか間違える事だけで、そう容易く『自分』が嘘だと思っている事を真実だと思えない」

「自分はそう簡単にだませないもんね。イヤな事はイヤだし」

「確かに、他人に対してなら猫もかぶれるし嘘もつける。その『他人に対して偽った自分』を『偽物の自分』だと仮定も出来る。だが、『自分』とはそういったものなんだろうか。痛いとか眠いとかを感じる心こそ『自分』なのではないか?」

「うーん。その理屈でいくなら、自分で自分に嘘をついてその嘘を真実だと信じ込める人間になら嘘の自分があると言えるけど」

「『自分自身』を偽りとおせないようなら『本当の自分』はあり得ない」

「いや、待ってよ。『嘘の自分』って、ペルソナつけて演技している『自分』を意味するんじゃないの? だとすると嘘があるなら『本当の自分』はある」

「自分のとらえ方が違う。『他人に思われている自分像』や『未来の理想とする自分像』などというモノは『自分』じゃない。ただのイメージだ。『自分』とは、あくまで今ココで呼吸し、感じたり考えたりしているこの心そのもの事だ!」

「自分てそういう意味なの?」

「とにかく、『本当の自分』という言葉には、現在だれもが持っている共通の概念は無い。なんとなくこんなかんじのイメージしか持たれていない。イメージだけが一人歩きしているかんじだ。ところで『ツンデレ』の意味ってなんだ?」

「え。ツンデレ? いつもはツンとしてるんだけど、イザッとなればデレッとしちゃう人のことだと思う」

「なら、今度は『つっけんどん』の意味は何だ?」

「いつもツンツンしてる人」

「ソレは違うな。いつもはツッてしてるのに、たまにケンケンしながらもドーンと行っちゃう人の事だ!」

「ウソつけ!」

「言葉の意味は難しい」


平成マシンガンズを読んで 241

2007-01-06 21:19:21 | 

「反対は反対するだけじゃ反対とならない。
 明確な反対語。
 真・偽。
 有・無。
 真である事と偽である事。
 有る事と無い事。
 これならどこに出しても恥ずかしくない立派な反対語だ。
 だが『本当』の反対は何なのだ?」

「本当の反対は本当じゃないことかも!」

「賛成の反対はそれでいいのだ! バカボンのパパじゃないんだからそれじゃ良くないだろう。だいたい辞書に『本当』の反対語はない」

「よーは『本当』の反対語が認知されてないってこと?」

「認知とかゆーなよ」

「前に否定した『本当の自分』は否定しきれてないってこと?」

「本当の意味を辞書でひくと、偽りや冗談でないこと。真実、実際などとある。だが、本当に本当は本当なのか?」

「本当なんじゃないの?」

「では、自分とは何かと同じように辞書をひけば、自分は己のこと。自分は自分だとなる。偽りや冗談でない真実で実際の己はこの世に自分1人だ。と、認めるなら、なんにしろ『本当の自分』は矛盾している」 


平成マシンガンズを読んで 240

2007-01-06 20:44:53 | 

「素直な感性って素敵だと思わないか?」

「まぁ素敵かも」

「よし。じゃー素直になろうじゃないか!」

「素直ねぇ?」

「素直な感覚なら『本当』の反対は、嘘や偽物かもってかんじがする。でも国語辞典をひくと、『本当』に反対語は無いんだよ!」

「ないの?」

「実はないんだ! じゃあ、本当の『本』てなんだろう? 例えば『本家』の反対は『分家』なんだろうか? 本人、本体、本気、本家、本校、本当。どれにも反対語はない。唯一反対語があるのは『本物』だけ。では聞くが、元祖に反対語はあるか?」

「元祖の反対? ソンガかな?」

「引っくり返してどうする。6回ぶつよ。元祖の反対語は辞典に乗ってないよ。今まであえて隠していたが元祖と同じように本当にも反対語はない」

「なら自分は1つしかない。1つしか無いモノを本物とも偽物とも分ける事は不可能。だから『本当の自分』は間違いであるって論旨が成り立たなくじゃん!」

「まぁ、口からでまかせだからね」

「オイ!」

「自分に都合が悪いから黙ってようかなって思ったんだけど、冷やし中華を食いながら、それじゃダメだろうと思ったんで告白する。反対語があるのは、真と偽に実と虚だけ。本当言うと『本当』には嘘も本当も無い」


平成マシンガンズを読んで 239

2007-01-05 21:14:54 | 

「証明の不可能なものを『嘘』とか『本当』とか言っても意味はない。痛さは本人の自己申告であり、認めるか認めないかだ。それは、好き嫌いなどの感情でも同じだ。他人が痛いというなら痛いんだし、好きだと言うなら好きなのだ。『嘘』とも『本当』とも証明できないモノの『真偽』を問題にしても意味はない」

「まぁ、他人の感想をいちいち『本当』だとか『嘘』だとか言ってたらケンカになる」

「目に見えないモノやさわれないモノの『真偽』を問題にしてもあまり意味はない。ようは認めるか認めないかだ。
 でも、『偽物』もないのに『本物』だけがあるなんて素直に考えたらおかしい。『偽物』が存在する事を『本物』が存在する為の前提とすれば『偽物』が存在しないモノに『本物』など無いとなる。
 ならば、この世に1つしかないモノに『本物』も『偽物』もないだろう。
 1つしかないのだから『偽物』と『本物』に分ける事は不可能だ。この世に1つしか存在しないモノに『真偽』は無い。
 地球や自分は1つしかない。
 よって、『本当の地球』とか『本当の自分』という言い方は誤りだ。
 では、人の感覚や感情を『偽』と証明する事は可能か?
 これは本人以外は誰にも証明出来ない。証明しようにも証明できないモノなら、『偽』なんかないのと同じだ。
 確かに本人なら嘘はつけるが、感覚や感情は、基本的に本人の自己申告を認めるしかない。ある程度は『嘘』かもと見抜く事もできるが『嘘』だとは完全に証明できない。
 この事から、他人の感覚や感情の『真偽』を問題にしても無意味かもしれないとなる」

「じゃぁ、なんで人は『本当に痛そう』とか、『本当に好き』とか言うの?」

「そう言う時の『本当』に、『真偽』などないのではなかろうか? あなたの気持ちを『嘘』だと思っていませんよという単なる肯定。あるいは、『嘘』じゃないという事を示したいが故の修飾。はじめから『嘘』の存在など眼中にしてない」

「ただ『本当』と言っているだけ?」