ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦
今回はお休みです。
知られざる大手メーカー
ITC・ボックスアート美術館
※ボックスアートは、Ringo、グレンコ版等を含みます。
プラモデル用ロゴ
ITCというと、日本ではアメリカの中小メーカー的
イメージがあるのだが、じつはアメリカ屈指の大手
企業であったことは意外に知られていない。
1907年、ITCの前身となる玩具会社がニューヨークに
設立され、1938年アイデアル・トイと会社名を変更
した。1950年代になると、アメリカ有数の玩具製造
会社に成長し、一般に普及しつつあったプラモデル
への参入も果たした。
ITCブランドで製造・販売したプラモデルは、50年代
後半から60年代前半にかけての期間だが、その後は
他メーカーに金型を売却(?)したようだ。
ITC本体は玩具製造会社として存続したが、1982年
から何度かにわたり買収劇が繰り返され、企業名が
コロコロ変わった。その後、1997年に世界最大の
玩具会社マテルに吸収されている。
ITCのプラモは、純然たるスケールモデルというよりは
玩具会社らしくモーター駆動で走ったり、ボタンを押すと
ミサイルが飛び出したりと、カラクリ仕掛けのものが多かった。
ITC本社跡地
ITCの住所は、184-10 Jamaica Avenue Hollis23,
New York USAとなっていたので、グーグル・アースで
調べてみると、ビルらしきものが確認できた。
検索サイトで上記の住所を入れてみたところ、
Victory Factoryという会社名がヒットしたが、
プラモや玩具関係の企業ではなく、
スクリーン印刷関連用品の製造・販売を
行っているようだった。
必要最小限度のパーツで構成された
クルマというのは、本車のことだろう。
このM274は、ITCが発売後、UPC、
Ringoへと金型が移った。
このボックスアートには
パラシュートが描かれているが、
これは偽りなくチャンと付属している。
ただ、紙や布製のものではなく、薄いプラ板を
ヒートプレスしたものが入っており、
これをていねいに切り抜き、張り合わせると
パラシュートが完成する。
しかし、これはディスプレイ専用なので実用性はない。
そのため、間違ってもこのパラシュートを使って空中投下を
しないこと。確実にM274は、破滅的状況に陥ってしまう。
このプラモは、ハンドルを回転させると、四輪が
ステアリングするカラクリがついていた。
さすがアイデアル・トイだなと感心したものだった。
Ringoのあと、しばらくしてグレンコが復活させたが
日本への輸入量は、それほど多くなかったようだ。
グレンコ版
パッケージには、パーソナルキャリアとしか
書かれていないが、これはどう見ても
M113だ。
ヒートプレスしたパラシュート付。
M113試作車両テスト映像。
量産型とは異なるスタイルだ。
http://www.youtube.com/watch?v=xtFsX3AQ-pU
Wikipedia
Wikipedia
これは、メチャ貴重。エアジープ実車映像。
一見、便利そうだがファンの影響で、舞い上がる
土埃がスゴイ。目立つこと、この上ない。
http://www.youtube.com/watch?v=4SERvwWALOM
グレンコモデル再販プラモ
ご覧のように、パーツ数は必要最小限にまとめられており、
ストレートに組み立てるのであれば、完成にはそれほど
時間はかからないだろう。
オマケの兵隊さん。まさにグリーン・アーミーメンだ。
ITCオリジナルの兵隊さん同スケール比較
グレンコモデル版には、兵隊さんのオマケがつく。
一体成形ながら動きのあるポーズでいいのだが、明らかにオーバースケール。
ITCのオリジナルと比較すると、ひとまわり以上大きい。
でも、お客さんを楽しませてあげようという気持ちが、メチャうれしい。
グレンコモデルのインスト
「空飛ぶジープ」その他イロイロ
クライスラーVZ-6
アブロカナダVZ-9
カーチス・ライトVZ-7
ヒラー フライングプラットホーム飛行映像
http://www.youtube.com/watch?v=MwhBWxc0SSM&feature=related
PT76実車映像
http://www.youtube.com/watch?v=sycPj77Li9U
PT-76
フロッグ3ミサイルキャリア
BTR-50
PT-76の足回りを使ったものが、3種類
発売されていた。
なかなか印象的なボックスアートだ。
アメリカ初の人工衛星というだけあって
内部構造を描くなどして、科学教材風の
雰囲気も出している。
イラストレーターの熱い思いが感じられる
イイ作品だ。
グレンコモデルで復活したときのもの。
同一のキットでありながら、メーカーによってインストの内容が違っている。
ITCは立体図を、グレンコは平面図を使用しているが、組み立てに
関していえば、ITCの方がわかりやすいと思うが、いかがだろうか。
このプラモはミサイル単体だけでなく、関連設備もシッカリ再現
しているのがメチャうれしい。ミサイルプラモの場合、発射台や
周辺設備、支援車両などが再現されているか否かで、その
キットの付加価値が決まるといっても過言ではない。
Wikipedia
中距離弾道ミサイル・ソア開発ストーリー映像
http://www.youtube.com/watch?v=fmh5LaZSbNo
Wikipedia
ノースロップ・グラマン(あのグラマンも買収されてしまった)
T-38プロモーションビデオ。
軍用機とはいえ、高性能をアピールする方法が、
クルマと同じようにイメージを重視した内容に
なっているのがオモシロい。
所詮人間が考えることは同じか。
http://www.youtube.com/watch?v=ETWBk3Kzf1M
世界に冠たるドイツ!
いまから80年も昔に、こんな巨人機を飛ばすなんて!
ドイツの科学技術力は、永遠に不滅だ。
ドルニエDo-X飛行映像。
http://www.youtube.com/watch?v=7h1beFHjHno
東宝の古いSF映画、たとえば
『宇宙大戦争』をイメージさせる絵だ。
タミヤのグレイバックを思い出してしまった。
小松崎茂先生のボックスアートがなつかしい。
ITCテレビコマーシャル、メッチャ貴重!
原子力空母エンタープライズのプラモ映像だぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=KEvi4LULz_Q&NR=1
原子力貨客船サバンナ号ホンモノ映像(音声なし)
フィルムを映写したものを撮影しているので
映写機の音が耳障り。
http://www.youtube.com/watch?v=HdFCiFo-rJg
超貴重!
ITC広告集
本業・玩具メーカーとしてのITC
あれこれ
リモコンで操縦するロボット・コマンド。
頭部からミサイルを発射し、腕を回転
させてボールを投げつけるのが、
子どもにウケた。
ロボット・コマンドTVコマーシャル
http://www.youtube.com/watch?v=_awi5nS7w8Y&feature=related
どこかで見たようなロボットだと思ったら、
イマイがコイツのプラモを出していた。
「ベビーサンダー」と兄貴分の
「ビッグサンダー」が、ソレだ。
KING ZOR・TVコマーシャル
http://www.youtube.com/watch?v=nVP4fMCMuIE&feature=results_video&playnext=1&list=PLAC2A824FDAF459A2
ゴーグル(?)が笑える。
サメの口に詰め込まれたガラクタを、フックを
使って取り出すゲーム。うまくやらないと、
口を閉じてしまう。そうなったら負け。
キミもジェット戦闘機パイロット。
1961年に発売された「アイデアル・ファイター・ジェット」
テレビ広告。パイロットの疑似体験ができるオモチャ。
http://www.youtube.com/watch?v=LSEuuQiN9YU
1950年代末、ITCはテレビ番組のスポンサーもしていた。
プラモ以外にも、さまざまなオモチャを販売しており、けっこう手広く
やっていたんだな…と驚いてしまう。
http://www.youtube.com/watch?v=px5ZHWB5ZYc&feature=related
同じく当時のテレビ番組から。
YouTubeには、ITC絡みのテレビ番組やら当時の広告映像やら、けっこう
あって、見ていて楽しい。
http://www.youtube.com/watch?v=ipIE2gOt7qo&feature=relmfu
最後に、ITCといえば…
キャプテン・アクションを
忘れちゃヤーよ!
ラバーマスクを使って顔を変えるというアイデアは、当時流行したスパイ映画から借用
したのだろう。
アメリカンヒーローのオンパレードだが、当時の日本ではバットマンやスーパーマン、
ローン・レンジャーくらいしか知られていなかった(多分)。
アメコミ風広告各種
キャプテン・アクションテレビ広告映像
http://www.youtube.com/watch?v=8K3btKs0RK0&feature=related
古き良きアメリカオモチャ・テレビ広告映像(60年代中頃)。
ITC以外のメーカー各社のもので、ハズブロの
G.I.ジョーもある。
同じオモチャといいながら、当時の日本のものと
比較して高級感がただようのは、さすがアメリカ。
http://www.youtube.com/watch?v=3odn1GZ07lA&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=n56ovXGpSr0&feature=related
これがホントに最後(;^ω^)…
たまたま見つけた書籍だが、これがけっこう楽しい。
1964年から69年までの週間マンガ雑誌(少年マガジン
とかサンデー、キングなど)に掲載されていたカラー広告を
集めたもので、お菓子、プラモデル、玩具、文具などの
ジャンルに分類されている。
その中で、「キャプテン・アクション」の広告(下記参照)を
発見した。少年マガジン昭和41年11月13日号に
掲載されていたもので、「11月1日」全国一斉発売とある。
しかも、「日本アイデアル・トイ・コーポレーション」という
日本法人を設立しての発売だ。アメリカ側のヤル気が
ヒシヒシと伝わってくる。
当時、ハズブロのG.I.ジョーはすでに国内発売されて
いたが、これは輸入専門業者経由の販売だった。
アクション・フィギュア日本市場食い込みのため
ITCの並々ならぬ決意があったのだろう。
「ぼくらのペット」という表現が、違和感を感じる。
犬猫じゃあるまいし…
もうひとつの広告は、これも少年マガジン昭和42年
4月30日号に掲載されていたもので、アメリカのアニメキャラが
登場している。
私の勝手な想像なのだが、キャプテン・アクションの
アイテムで当時の日本で一番売れたのは「サージャント・フーリー」
ではないだろうか。
ライバルのG.I.ジョーやテレビドラマ『コンバット!』の
影響が大だと思われる。
しかし、フーリー軍曹とはいかなる人物か‥‥といわれると
はなはだ?なのだ。
昭和40年代当時、軍曹の身元を知っている子どもが
いたとすれば、彼(彼女?)はアメリカ帰国子女だったにちがいない。
フーリー軍曹は、マーベルコミック社のコミック誌に1963年から
81年まで掲載された『SGT.FURY AND HIS HOWLING
COMMANDOS』の主人公で、WWⅡのヨーロッパを舞台に
活躍したアメリカ特殊部隊のメンバーである。
少人数の部隊で、敵の懐深く潜入し、重要施設を破壊したり、
要人の暗殺・誘拐など、実行不可能な任務を黙々と遂行する
特殊部隊もの戦争映画のコミック版といえるものだ。
軍曹ら、イタリア軍の捕虜になる。
はたして、脱出はできるのか!?
秘密指令・ヒトラーを確保せよ!
敵に包囲され、絶体絶命のピンチ!
サンダース軍曹もそうだが、軍曹さんのシンボルといえば、
やっぱりトンプソンなんだネ。
当時、このフーリー軍曹はG.I.ジョーとは異質のキャラで
印象的だった。オヤジ顔だったが、いかにも叩き上げの
下士官という雰囲気で、強そうに見えた。
持っている武器も、トンプソンでサンダース軍曹と同じであり、
これまた迫力があった。
友人がこの人形を持っていて、見るたびにため息をついてしまった
ものだ。このときは、私もようやくのことながらG.I.ジョーを入手
できていたのだが、装備した銃はM1ガーランドだった。
テレビドラマ『コンバット!』の影響で、トンプソンを持っているのは
指揮官、M1ガーランドはシタッパというイメージがあったので
アクションフィギュアを使ったコンバットごっこにフーリー軍曹が
登場すると、指揮権を奪われてしまうのではないかと恐れていた。
指揮権保持のため、後日G.I.ジョーのアクセサリーとして発売された
ステンSMGを装備させたりしたが、アメリカ兵にこの銃は似合わなかった。
次回の更新は、11月15日夜の予定です。