ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦
輸送列車は、夜間敵の目を避けつつ、迂回路を爆走した。
「諸君、われわれの目的地は
ヴィルヘルムスハーフェンと決まった」
しかし、鉄道網はいたるところで破壊されていた。
われわれが進むべきルートには、破壊された車両が
無惨にも横たわっていた。
大型クレーンを持たない輸送部隊には
線路の復旧など、とてもできない相談だ。
かつてパリにボックスアートを輸送したときは、
国防軍全軍による支援作戦があった。
しかし、いまは…何もなかった。
主役がやられている。エンジンも停止し、片肺状態。
銃座から激しく発砲して、敵機に抵抗はするものの
このままでは墜落は時間の問題、まさに絶体絶命のピンチだ。
連合国側の機体でありながら、これだけボコボコにされている絵も
珍しい。敵国ドイツ並みの扱いだ。
でも、所属が自由フランス軍だから、まあいいか…あいつら居候だし、
自国イギリス軍でもないし…そんなイメージがあるから、
ボコボコにされたのだろうか。
「ロレーヌの十字架」をイメージした自由フランス軍のマークが
目新しい。日本では、ド・ゴール将軍が率いる軍隊として知られて
いるが、実際どのような塗装やマーキング類が施されていたのか
ほとんど知られていない。
自由フランス軍を知る資料として、このプラモは貴重だ。
自由フランス軍の国籍マーク
参考資料
「ロレーヌの十字架」が描かれた自由フランス軍旗。
この十字架は、フランスの国民的英雄ジャンヌ・ダルクを
象徴しているともいわれている。
祖国フランスを征服したドイツに対する、抵抗のシンボルでも
あった。まさに「ロレーヌの十字架」VS「カギ十字」の「十字」決戦
だったのだ。
こちらは、対独協力政府
フランス・ヴィシー政権の軍旗。
三色旗をベースにしたデザインは
自由フランス軍と同じだ。
イギリス仕様のヘルキャットは、アメリカ仕様を見慣れた日本人には新鮮だ。
ヤンキースタイル丸出しのヘルキャットだが、イギリス軍の塗装をすると渋くて
トラディショナルな雰囲気になるから不思議だ。
フロッグの好きな点のひとつは、たとえアメリカのヒコーキでも自国イギリスとか
オーストラリア、自由フランスといった日本人には珍しい仕様のデカールをいれて
あることだ。国産プラモでは味わえない楽しさがあって、エエなあ。
スピットファイアーとシャークマウス、珍しい組み合わせだ。
でも、曲線が多く女性的なスタイルのスピットには、あまり似合わないな
…そんな気がする。
オーストラリア軍の国籍マーク
(WWⅡ時)
現行タイプは、中央にカンガルーが
描かれている。
ハセガワ・フロッグ版で、国内でも流通していたのを思い出す。
昔も今も日本のメーカーでは、とてもモデル化しないような地味な機体では
あるけれど、プラモがあったおかげで実機の存在を知ることになったのは、
よかったと思う。
このようなケースは、割と多いのではないか…
ポルトガル軍の国籍マークが珍しい。
ハセガワ・フロッグ版でも、確かこのデカールが入っていたと記憶する。
フロッグとの提携により、イギリス製のプラモがとても身近になり、当時金欠病の
中学生だった私には、懐に優しいプラモの出現は大変助かったものだ。
純国産プラモにはない驚きや楽しさが多々あって、とても新鮮だった。
ポルトガル軍の国籍マーク
キリスト騎士団の十字をデザインしている。
こうやってみると、十字の国籍マークは
ドイツの専売特許ではないことがわかる。
インドシナ戦争時のフランス軍バージョンが珍しい。
オマケ
機体に補助ロケットや爆弾、増槽などフル装備の物々しさがよかったナ。
YouTubeやじ馬映像館
当やじ馬考古学が、独断と偏見で選んだ、チョッと気になる映像集。
アラドAr234実機映像 そり付機体は、着陸がメチャ恐そう。
http://www.youtube.com/watch?v=o6oxQYECkgQ&feature=related
世界最初のジェット機ハインケルHe178飛行映像
http://www.youtube.com/watch?v=5oCdKGnWWxc
さらに、出血大サービス!
カナダ航空雑誌の
レーンウッド先生特集記事
日本初公開!
こんな特集記事を、日本の雑誌でもやってくれないかなー!
プラモ・ボックスアート以外の、先生の作品。
先生は航空機ばかりでなく、このような絵も手がけている。
「ノアの方舟」を翻弄する洪水の表現がすばらしい。
このリアルな筆さばきは、往年のレベル艦船プラモのボックスアート
以上に冴えている。
プラモのボックスアートに
書かれたサインは、小さすぎて
判読しにくかったが、拡大して
みると特徴あるサインがよくわかる。
次回の更新は、1月31日夜の予定。