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ピッカリコニカ・コニカC35EFが創生したストロボ搭載カメラ市場

2016-02-17 15:25:16 | 印刷人のフイルム・フイルムカメラ史探訪
『ピッカリコニカ・コニカC35EFが創生したストロボ搭載カメラ市場』 

印刷人のフィルム・フィルムカメラ史探訪 VOL-17
印刷コンサルタント 尾崎 章



1974年にコニカ・小西六写真工業(現・コニカミノルタ)が民生用としては世界初のストロボ搭載カメラ「コニカC35EF」を発売して注目を集めた。


コニカC35EF
 

コニカが1968年に発売したコンパクト35mmカメラ「コニカC35」は、カメラ携行性問題解決と簡単撮影を実現した自動露出機能により「手軽に撮影できるカメラ」として女性需要層を核とした新規需要創生に成功し販売台数62万台のヒット製品になっている。
「コニカC35」ヒットの背景には、当時の国鉄が企画した旅行キャンペーン「ディスカバージャパン」効果による女性旅行ブームに伴う小型カメラの需要増が有り、更に当時の流行語にもなった人気のグループサウンズボーカリスト:井上順さんによるTV・CM「ジャ~ニ~ コニカ」効果、そして小型コンパクトカメラとして十分な基本性能を有していた事が挙げられている。

コニカは、「コニカC35」に続いて室内撮影需要に応えるべく小型ストロボを搭載した「コニカC35EF」を製品化、「コニカC35」同様に井上順さんによる「ピッカリ・コニカ」「ストロボ屋さんゴメンナさい」のCMをベースとした販促展開を実施、「コニカC35」を超える販売台数100万台超の大ヒットに至っている。

「コニカC35EF」は、高圧電流を使用するストロボ搭載による感電対策も兼ねてプラスチックボディを採用、ストロボ用の乾電池も含めてボディ重量340gと従来の金属ボディコンパクトカメラと比べて半分レベル迄の軽量化も実現している。
「コニカC35EF」の成功により競合カメラ他社も次々と同一仕様のカメラを製品化して追随を図り、短期間に「ストロボ搭載」「プラスチックボディ」が小型カメラの業界標準仕様となった経緯がある。


フラッシュからストロボへ


室内写真撮影用の補助光源としては、閃光電球・フラッシュバルブを使用する発行装置・フラッシュガンが1960年代まで広く使用されていた。


フラッシュガンを装着したミノルタV2  


閃光電球・フラッシュバルブには、レンズシャッター用のM級とフォーカルプレーンシャッター用の発光時間が長いFP級が有り、其々にモノクロ用のクリァーバルブとカラーフィルム用のブルーバルブが製品化されていた。
国内閃光電球メーカーは、東京芝浦電気(現・東芝)と松下電器産業(現・パナソニック)があり、当時の製品価格例としてはM-3(M級小型)5球入り・210円であった。


標準型と口金無AG型のフラッシュランプ 



閃光電球の展開は、電球の口金を省略した小型閃光電球(AG型)が開発・製品化され閃光電球・フラッシュバルブの携行性が大幅に向上、カメラ各社も自社カメラとの適合性を重視した小型フラッシュガンを製品化して当該需要に応えている。
AG型閃光電球の当時価格は、レンズシャッター用AG-1(クリア・10球入り)240円、AG-1B(ブルー・10球入り)260円で、口金型閃光電球同様にフォーカルプレーン用・AG-6,AG-6Jもラインナップされていた。



専用AG型ペンフラッシュを装着したオリンパスペン  

AG型・小型閃光電球に続く閃光電球・フラッシュバルブ展開としては、1970年に米国シルバニア社が開発した小型AG球4個を直方体の4面に埋め込んだ発光器・フラッシュガン不要の「フラッシュ・キューブ」がある。「フラッシュ・キューブ」はカメラボディに設置されたソケットに差し込むだけで4回のフラッシュ撮影が出来る簡易システムとしてカメラ各社の注目を集めた。
カメラ各社は、「フラッシュ・キューブ」を当時の初心者向けカメラとして注目を集めていたコダック126インスタマチックフィルムカメラ及びアグファ・ラピッドシステムカメラ等に採用、当該フィルムを使用するカメラの大部分に「フラッシュ・キューブ」ソケットが搭載される展開を示した。


フラッシュ・キャーブ付 コダックインスタマチックカメラ 


しかしながら、上級者向けカメラ及び一眼レフカメラへの普及は無く、グリップオン型小型ストロボ及びストロボ内蔵カメラの台頭により過渡的な存在化を余儀なくされている。



ストロボメーカーの苦戦

カコストロボ(東京・品川)サンパックコーポレーション(東京・大田)に代表される国内写真光源各社は、1963年より小型ストロボを製品化して積極的なビジネス展開を開始している。
特にカメラ上部・軍艦部のアクセサリーシューに取り付けるアマチュア向けの小型ストロボ市場が拡大、「カコストロボ」は小型ストロボの代名詞的存在となる程の展開を示した。
しかしながら、「コニカC35EF」(ピッカリコニカ)を契機とするコンパクトカメラへのストロボ搭載の標準化により一般アマチュア向け市場が一気に終息する厳しい状況を迎える事態に陥っている。


カコストロボを装着したヤシカハーフ17 



カコストロボ㈱は1970年代末に経営破綻を来たし、ストロボの主要パーツであるコンデンサを供給していた日立コンデンサ㈱(現・日立NIC)が事業継続を図ったものの1977年にはプロペット㈱に事業譲渡を行い当該市場よりの撤退を余儀なくされている。
井上順さんの「ストロボ屋さんコメンナさい」のCMフレーズが文字通りに具現化する展開に至っている。

一般用小型ストロボからプロフェッショナル・業務用ストロボへのシフトを先行したサンパックコーポレーション㈱は現在も当該市場で事業継続を図り、東京・目黒区上目黒に本社・工場を有した㈱ミニカムは、現在も当該地で㈱ミニテクノとして業務用ストロボ製品の製造販売ビジネスを展開、旧社名のミニカムはビル名及びマンション名として継続されている。1970年代には、同社の通りを挟んだ反対側には、印刷会社・㈱文星閣(東京・大田区)の本社・工場があり、㈱ミニカム社屋前を通って㈱文星閣を技術サポート訪問した経験がある。
ミニカムは大型フラッシュガンの市場で高いシェアを有し、筆者も学生当時に「ストロボは光量不足」としてミニカム製のフラッシュガンを使用しており、目黒の㈱ミニテクノ社、ミニカムビルは懐かしの存在である。


ミニカム社製 大型フラッシュガン




初のストロボ搭載一眼レフは、フジカST-F


一眼レフへのストロボ搭載は「コニカC35EF」の2年後、1976年に富士フィルムの小型一眼レフ「フジカST-F」によって実現されている。


フジカ ST-F 


世界初のストロボ搭載一眼レフ「フジカST-F」は、レンズ固定、ミラーシャッター方式を採用したコンパクト一眼レフで前述「コニカC35EF」と大差の無いボディサイズであった。
「フジカST-F」は29.800円の低価格にも関わらずフジノン40mm f2.8(3群4枚)の準広角レンズは描写力も高く、「コニカC35EF」に迫る360gの軽量性等々、価格を卓越したコストパフォーマンスを有していた。
「フジカST-F」は現在でも楽しめるコンパクト一眼レフであるがペンタプリズムが溶解した保護クッション剤によって腐食され、ファインダー視野にダメージが発生している確率が高い事が残念な現象である。
レンズ交換式一眼レフへのストロボ搭載は、1986年発売の「オリンパスOM707」がカメラグリップ部にポップアップ式の縦型ストロボ搭載を行っているが、現在のデジタル一眼レフが数多く採用しているペンタプリズムカバー部へのストロボ搭載は旭光学(現・リコーイメージング)が1987年に発売した「ペンタックスSFX」によって製品化が図られている。


ペンタックスSFX 



「ペンタックスSFX」はペンタプリズムのボディ埋没化によって生じた空間にストロボを設置する手法でストロボ内蔵を実現している。
「ペンタックスSFX」以降、普及型及びファミリーユースの一眼レフはペンタプリズムカバー部へのストロボ搭載が標準仕様となり、今日のデジタル一眼レフでも当該仕様は受け継がれている。



フラッグシップ一眼レフはストロボ非搭載が基本ルール?


「ペンタックスSFX」以降、各社はペンタプリズムカバー部にストロボを搭載した一眼レフの製品化展開を実施しているが、旗艦一眼レフ「フラッグシップモデル」と称されるプロフェッショナル向けの製品にはストロボを搭載しない暗黙のルール?が存在している。
日本光学(現・ニコン)のフィルム一眼レフ・フラッグシップモデルである「ニコンF4」(1988年発売) 「ニコンF5」(1996年発売)そして現行製品「ニコンF6」(2004年発売)は何れもストロボ非搭載である。
同様にキャノン製品も「EOS-1N」(1994年発売)現行製品の「EOS-1V」(2000年発売)共にストロボは非搭載で両社の方針はデジタル一眼レフにも共通しておりニコンのデジタル一眼レフのフラッグシップモデル「ニコンD3」,キャノン「EOS-1」シリーズ共にペンタプリズム部へのストロボ搭載は無い。
一眼レフ・フラッグシップモデルへのストロボ搭載例としてはミノルタカメラ(現 コニカミノルタ)が1998年に発売した「ミノルタα9」が唯一の例である。


ミノルタ α9




ニコンF6と専用ストロボ



「ミノルタα9」はミノルタカメラが万全を期して発売したプロユースのフィルム一眼レフでペンタプリズムにガイドナンバーG12のストロボを搭載した。この展開に対して写真業界で賛否両論の騒動が起こり、カメラ雑誌「アサヒカメラ」では「ワイヤレスストロボを使用した多灯撮影時の信号用ストロボとして有効」とのフラッグシップモデルへのストロボ搭載を支持したものの、「ストロボ撮影は本格ストロボで」とするプロ写真家の多くは否定的発言に固執した。
確かに、ストロボの高さが制限される内臓ストロボでは、ズームレンズのフードで発光が「ケラれる」問題もあり本格使用では制限を多々受けるが「有れば便利」な機能には変わりなく一部写真家の固定概念が問われる問題に至った経緯がある。


     
 
 
 




 

 
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