『BLUE/ORANGE』@八幡山ワーサルシアター
演出・千葉哲也、企画:中嶋しゅう、出演:中嶋しゅう、チョウソンハ、千葉哲也。
個人的に好きな顔ぶれということもあり、初めて八幡山ワーサルシアターに足を運んだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/79/3b86b1c6c4f5084011d15b2302c36edf.jpg)
果たして、期待はおおむね裏切られず(ただし、新しい劇場という点にも興味があったのだが、
身体をちょっと動かすたびに客席の椅子がきしむのは残念だった)。
■三者三様に「癖アリ」な人間模様
ロンドンにある精神病院のカウンセリング・ルーム。
退院を明日にひかえた少年、彼の病状を案じて「退院すべきではない」と主張する研修医、
病院経営と出世のために問題なく退院させたいと考えるベテラン医師の三名の、
24時間の人間模様を描く。
自身の病状を自覚しない少年患者を巡り、正義感あふれる若き研修医と、
老獪で政治的な野心にあふれたベテラン医師が繰り広げるバトル。と書けば、
ある意味、ありきたりなトライアングルの出来上がりだろう。
しかし、ジョー・ペンホールの脚本は一筋縄ではいかない。
途中で善悪が逆転して終わり、といった単純な構造でもない。
三人は「患者」「研修医」「ベテラン医師」といった肩書きを時に忘れさせるほど“人間的に”、
言い換えれば、各々の立場を遂行するには“欠陥だらけに”描かれる。
三者三様に癖があり、奇妙で、ウィットに富み、ある時は明晰である時は狂っているように見えるのだ。
互いの言葉尻をとらえ合う彼らの会話は不確かさに満ち、常に要点をずらしながら進む。
そしてその果てには、苦々しい結末が待っていた――。
■贅沢な劇空間を楽しむ
エキセントリックさと純粋さを併せもつ患者役のソンハ。
表情一つ、言葉一つにも味わいのにじみ出るベテラン医師役の中嶋。
誠実に見えながら、興奮すると冷静さを欠き、エゴを剥き出しにさえする研修医役の千葉。
彼らの大熱演を、目と鼻の先で観る贅沢はまさに小空間ならではだ。
千葉の演出は、いつもながら繊細で抒情的。
ケレンではなく細やかな感受性で、工夫を凝らして見せるところに好感が持てる。
ベンホールの脚本は前記の如く面白いが、精神病に人種問題に…と詰め込み過ぎのきらいがあり、
かつドラマとして、傑作と呼ぶにはもう一つ、何かが足りない印象。
実際に読んだことがないのではっきりとは言えないが、今日観る限りでは
「それはもっと前に分かったのでは?」「今更そう来るか?」と内心つっ込んでしまった部分も。
とはいえ、全体的には濃密にして上質な劇空間となっており、
上演時間約2時間40分という長さもほとんど感じさせない観劇となった。
ちなみに・・・。
劇中、コップの水を使った、とあるアクションがあるのだが、
帰りの電車で同行者に、実際にやったことがあるという話をすると、
「それ、一生のうちにやってみたいこと10つのうちの1つですよ」とウケていた。。。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/38/ce59029c820b766467a7bc332c4ef86a.jpg)
いつの間にか藤の季節(逆光だけど)。
しかし藤って、風にたなびくと「らしく」見えないのだな。
演出・千葉哲也、企画:中嶋しゅう、出演:中嶋しゅう、チョウソンハ、千葉哲也。
個人的に好きな顔ぶれということもあり、初めて八幡山ワーサルシアターに足を運んだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/79/3b86b1c6c4f5084011d15b2302c36edf.jpg)
果たして、期待はおおむね裏切られず(ただし、新しい劇場という点にも興味があったのだが、
身体をちょっと動かすたびに客席の椅子がきしむのは残念だった)。
■三者三様に「癖アリ」な人間模様
ロンドンにある精神病院のカウンセリング・ルーム。
退院を明日にひかえた少年、彼の病状を案じて「退院すべきではない」と主張する研修医、
病院経営と出世のために問題なく退院させたいと考えるベテラン医師の三名の、
24時間の人間模様を描く。
自身の病状を自覚しない少年患者を巡り、正義感あふれる若き研修医と、
老獪で政治的な野心にあふれたベテラン医師が繰り広げるバトル。と書けば、
ある意味、ありきたりなトライアングルの出来上がりだろう。
しかし、ジョー・ペンホールの脚本は一筋縄ではいかない。
途中で善悪が逆転して終わり、といった単純な構造でもない。
三人は「患者」「研修医」「ベテラン医師」といった肩書きを時に忘れさせるほど“人間的に”、
言い換えれば、各々の立場を遂行するには“欠陥だらけに”描かれる。
三者三様に癖があり、奇妙で、ウィットに富み、ある時は明晰である時は狂っているように見えるのだ。
互いの言葉尻をとらえ合う彼らの会話は不確かさに満ち、常に要点をずらしながら進む。
そしてその果てには、苦々しい結末が待っていた――。
■贅沢な劇空間を楽しむ
エキセントリックさと純粋さを併せもつ患者役のソンハ。
表情一つ、言葉一つにも味わいのにじみ出るベテラン医師役の中嶋。
誠実に見えながら、興奮すると冷静さを欠き、エゴを剥き出しにさえする研修医役の千葉。
彼らの大熱演を、目と鼻の先で観る贅沢はまさに小空間ならではだ。
千葉の演出は、いつもながら繊細で抒情的。
ケレンではなく細やかな感受性で、工夫を凝らして見せるところに好感が持てる。
ベンホールの脚本は前記の如く面白いが、精神病に人種問題に…と詰め込み過ぎのきらいがあり、
かつドラマとして、傑作と呼ぶにはもう一つ、何かが足りない印象。
実際に読んだことがないのではっきりとは言えないが、今日観る限りでは
「それはもっと前に分かったのでは?」「今更そう来るか?」と内心つっ込んでしまった部分も。
とはいえ、全体的には濃密にして上質な劇空間となっており、
上演時間約2時間40分という長さもほとんど感じさせない観劇となった。
ちなみに・・・。
劇中、コップの水を使った、とあるアクションがあるのだが、
帰りの電車で同行者に、実際にやったことがあるという話をすると、
「それ、一生のうちにやってみたいこと10つのうちの1つですよ」とウケていた。。。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/38/ce59029c820b766467a7bc332c4ef86a.jpg)
いつの間にか藤の季節(逆光だけど)。
しかし藤って、風にたなびくと「らしく」見えないのだな。