劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

演劇、ダンスなどパフォーミングアーツを中心にフリーランスでライター、編集者をしている高橋彩子の備忘録的ブログです。

ELLE japon(エル・ジャポン) 』5月号

2013-03-28 10:48:30 | 執筆
『ELLE japon(エル・ジャポン) 』5月号(ハースト婦人画報社)



◆ELLE Stage欄

インタビュー枠で、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』出演の小栗旬さんに、
作品の見どころと抱負を語っていただきました。
山田風太郎の小説「魔群の通過」を、作・演出の長塚圭史さんが独自の視点で展開する新作です。


ほかに、新国立劇場の「With─つながる演劇」シリーズのウェールズ編である、
アラン・ハリス作、ジョン・E・マグラー
演出『効率学のススメ』 をご紹介しています。





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劇場と人の歳月に想う

2013-03-20 01:29:37 | その他
ル テアトル銀座へ、 三月花形歌舞伎を観に行って来た。

口上で海老蔵は、勘三郎と團十郎の思い出を、
時に口調も再現しながら、たっぷりと語ってくれた。

勘三郎については、今回、『オセロー』に代わる演目を決める折、
逝去したばかりの勘三郎への追悼として、教わった演目を選んだこと。
さらに、歌舞伎座での『高坏』共演時の遊興三昧(!?)や、
勘三郎の別荘があるアリゾナへ、役を習いに行った際に経験したゴルフ&晩酌三昧。
酒の席で『鏡獅子』を教えると言われ、日を改めて楽屋に行ったらきょとんとされたこと…。

團十郎については、NYの両替所で1000ドルを「千ダラー」と言ったという有名な逸話や、
オーストラリア公演の際、夕陽を見せたいと言って俳優達を連れて船に乗り、
動物園に着いてしまったという逸話、
『暫』の稽古で「しばらく~」ではなく何故か「待てー」と言ったという話、
鍋に好物があるとつい覗き込んでは目前の電球に頭をぶつけていたこと、
手帳にも歯ブラシにも「夏雄」とラベルを貼っていたこと、などなど。

楽しい話ばかりなのに、涙なしでは聞けなかった。

1987年に銀座セゾン劇場として開場し、
数々の名舞台を生んで来たル テアトル銀座は、2000年に現在の名称に変わり、
今年5月、ビルの売却に伴い、その歴史に終止符を打つ。
少なくとも定式幕つきで見るのはこれが最後となる。



昨年から今年にかけて、劇場の閉鎖と新しい劇場誕生のニュースが相次いだ。

まず、表参道の「こどもの城」青山劇場・青山円形劇場の閉館。
こちらは反対の署名活動が展開されており、
渋谷区および港区の区議会では、見直しを求める意見書が採択された。

名古屋の御園座は、マンションを併設した建物に建て替えられる。
さらに、中日劇場との統合も検討されているとか。

昨年にはミュージカル専用劇場シアターオーブが開場したが、
4月には新しい歌舞伎座も開場するし、アミューズのミュージカル専用劇場もオープンする。

歳月とともに、劇場も、そこにいる人も変わっていく。
抗するべきには抗いながら、一つ一つの舞台を愛し、その魅力を噛みしめたい。




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METライブビューイング オペラ『リゴレット』

2013-03-12 00:48:29 | その他
映画館で上映中のMETライブビューイング『リゴレット』を見た。
演出は、ブロードウェイで活躍し『春の目覚め』ではトニー賞も受賞したマイケル・メイヤー。

本来は16世紀のマントヴァが舞台のオペラだが、
ここでは、1960年代のラスベガスに置き換えられている。
マントヴァ公はフランク・シナトラ的な人物に設定され、
第1幕では、美女に囲まれ、マイク片手に歌を披露する。
リゴレットのモデルはドン・リックルズだそうで、
渋みのある、シニカルなコメディアンぶりを見せる。
他の登場人物もラット・パック(シナトラ一家)に見立てられており、
ピーター・ローフォード、ディーン・マーティン、サミー・デイシスJr.、
サム・ジアンカーナ…といった具合に、実在の人物を参考に役柄が造形されたらしい。



メイヤーは本作がオペラ初演出。
けっこう細かいところまで芝居をつけたり遊び心を見せたりしていて楽しめる。
なお、ネオンを多用した鮮やかな美術のクリスティーン・ジョーンズ、
雰囲気のある衣裳のスーザン・フィルファティ、照明のケヴィン・アダムスはいずれも、
『春の目覚め』と同じスタッフ。“メイヤー組”で勝負に出たわけだ。

歌手陣も充実。リゴレット役のジェリコ・ルチッチは陰影に富んでドラマティックだし、
マントヴァ公のピョートル・ベチャワは艶やかな美声を生き生きと響かせる。
二人とも、芝居心たっぷりで、視覚的にも聴覚的にも魅せてくれた。
ジルダ役のダムラウは表情豊かな歌声が実に素晴らしく、また、幕間のインタビューでは、
舞台の上とはうって変わって陽気な素顔を見せ、これまたチャーミングだった。
このほか、スパラフチーレ役のステファン・コチアンは登場シーンから実にカッコ良く、
マッダレーナ役のオクサナ・ヴォルコーワは助演と言っても通じそうな脚線美を見せつけた。

名曲てんこもりのヴェルディ・オペラを堪能するうち、
上映時間3時間強があっという間に過ぎること、うけあいだ。指揮はミケーレ・マリオッティ。

それにしても、METの観客はノリがいいというか何と言うか。
いつも、演奏が終わる前からわーっと拍手する。
3幕冒頭では、トップレスのポールダンサーが登場するや沸いていて、可笑しかった。


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