劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

演劇、ダンスなどパフォーミングアーツを中心にフリーランスでライター、編集者をしている高橋彩子の備忘録的ブログです。

『石川五右衛門』@新橋演舞場/またもや、にんにく!

2009-08-28 00:07:53 | 観劇
市川海老蔵主演『石川五右衛門』@新橋演舞場。


新作ということでどうなるのかとドキドキしていたが、
人形振りあり、舞踊あり、大立ち回りあり、つづら抜けからの宙乗りあり・・・
結論から言うと、冒険活劇として面白く観た。
今の海老蔵はめっぽう体がきくし、心情を吐露するようなセリフを言うよりも、
体を思いっきり使った演技のほうが、違和感も少なく舞台映えする。

物語としても(公演も千秋楽を迎えたのでネタばらしします)、
五右衛門が伊賀の忍者に弟子入りするエピソードや、
父の團十郎扮する秀吉から茶々(七之助)を寝取って鼻をあかしたつもりが、
実は五右衛門自身が秀吉の子であり、とどのつまりは子種のない秀吉に
血のつながった跡継ぎを授けたことになるという衝撃の事実!など、
いかにも歌舞伎らしい飛躍で、すこぶる楽しい。

ただ、いささか尻切れトンボめいているのが惜しまれる。
冗長でないのはいいのだけれど、義賊とも呼ばれた五右衛門の真意が見えづらいし、
五右衛門を見守っているはずの忍者たちの姿は影も形もないし、
茶々との恋もあっさり終わり、息子であるのちの秀頼への思いなども描かれない。
(これらは必ずしも心情を吐露するセリフでなくとも表現できるものだ)。

漫画原作者・樹林伸による原作のユニークさに加え、
エンターテインメントとして演出面でも技術面でも工夫が凝らされており、
ここまでもってくるのに大変な労力がかかったことは容易に推察できる。
ぜひさらに練り上げて、五右衛門の悲哀や義憤、あるいは当時の世相など、
さまざまなものが浮かび上がるような作品にしてほしい。

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にんにく料理のお店へひさびさに足を運ぶ。
料理がイケてるのはわかっていたけれど、初トライのデザートが絶品だった!

モモのシャーベット ヨーグルトソース添え、にんにくのアイスクリーム、
レモンのチーズケーキの盛り合わせ。


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ぼーっとしたり髪を切ったり

2009-08-25 00:51:35 | 観劇
修羅場の疲れがここ数日、じわじわと身にこたえている。
何もする元気がない・・・というわけでひたすら、
劇場に行くだけの日々(え、いつもと変わらない?)。

ミュージカル『フロッグとトード』にじんわりし、
小林紀子バレエシアター『レ・ランデヴー/The Invitation/エリート・シンコペーションズ』に
イギリス作品上演の貴重さと難しさの両方を痛感し、
鴻上尚史作・演出 虚構の劇団『ハッシャ・バイ』に80年代と今について思い、
きたまり/ヨーロッパ企画/KENTARO!!の「対ダン!!」で含み笑ったり吹き出したり、
野田秀樹作・演出『DIVER』に描かれた男女観などを見つめたり、
謝珠栄演出・振付『天翔ける風に』から思想と罪について考えを巡らしなどする。

そんな中、蒙古火鍋しゃぶしゃぶで精をつけたりも。
60種類以上の薬草が入っているとか(ちょっとドキドキ)。


特大サイズのにんにくも☆


あと、髪を切った。1年と2ヶ月ぶり(半端だなあ)。
4年前ほどではないがなかなか短くてすっきり。しかもお値段1000円台也。ふふふ。

 新宿駅では電話ボックスだけが暇そうだ。

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突然の謝肉祭

2009-08-22 01:10:23 | その他
急に思い立って焼肉店へ。
「遅い昼飯食べたばかりでおなか空かないんだけど」とか言いながら、
1時間半後にはうきうきと、決して近くないお店(のある駅)へ
集結している女子3名ってどうなんでしょ!?(笑)

いや~~~~~~しかし、まさに至福であった。
↓この特上カルビの輝きを、


↓特上ロースの艶めきを、見よ!


このほか、特上ランプ、特上タン、石焼きビビンパなど。
そうそう、↓レバ刺しはもはやお約束ね。


おなかいっぱい食べたあとは、別腹にデザート♪
チョコのジェラート&マンダリンオレンジチーズクリームケーキ
&アナナスバナーヌのココナッツクリームショートケーキの盛り合わせ。
ホットフルーツティーとともに☆


ひさびさのご馳走に、胃腸もさぞかし大満足なことでしょう。
むろん、ワタクシも異論はございません。

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『音楽の友』9月号

2009-08-19 02:26:49 | 執筆
修羅場続きで寝不足だったが、そろそろ一段落。ふう。
どうしてこう、重なる時って重なるのだろう。暇な時は暇なのに(涙)。

下記執筆しています。

『音楽の友』9月号(音楽之友社)


ダンス紹介連載 ~英国ロイヤル・オペラ・ハウス版『兵士の物語』、
東京バレエ団『バヤデール』、勅使川原三郎『鏡と音楽』、「dance today 2009」~

それぞれの概要と見どころを書いています。

『兵士の物語』はアダム・クーパーほかが出演!
『バヤデール』はバレエ団初演のプロダクション。『鏡と音楽』は新作。
「dance today 2009」は金森穣&井関佐和子、廣田あつ子&中村恩恵、
大植真太郎&柳本雅寛&平原慎太郎が登場。

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「オマージュ・ア・ベジャール』

2009-08-17 21:43:54 | 観劇
あるはずのものがなく、いるはずの人がいない時、
人間はその事実に愕然とする。

モーリス・ベジャールが亡くなってもう2年が経とうとしている。
でも、世界バレエフェスティバルの一環として行われたガラ公演
「オマージュ・ア・ベジャール」で改めて、その現実をつきつけられた。
主役はもちろんベジャール。だが当然のことながら、彼はいないのだ。
ガラの冒頭、ベジャールの姿がスクリーンに映った時、涙が出た。

(彼の逝去後ほどなく。日本の劇場にて)

私にとってベジャールは、会ったことのない偉大な師であり、あるいは
ダンテにとってのウェルギリウスのような影響力ある導き手だった。

子供のころ私は、大人になったら彼の稽古場に押しかけ、雑巾がけでもしようと
妄想していて、まあそんな愚行は実際にはしなかったけれども、
今のような仕事に就く愚行くらいはしてしまった。
彼がいなかったら、私はまったく違う人生を歩んでいたかもしれない。
その作品の幾つかには退屈させられたこともあったが、それでも彼は特別だ。

ガラ前半はジル・ロマンのナレーションの下、東京バレエ団員の『ルーミー』、
後藤晴雄の『ザ・カブキ』ソロ、エリザベット・ロスの『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』、
高岸直樹の『鳥』、ジルの『アダージェット』が、一連なりの絵のように続いた。
後半は、吉岡美佳と木村和夫『バクチⅢ』に始まり、
イレールとルグリの『さまよう若者の歌』、上野水香『ボレロ』が上演された。

そして全員による何度かのカーテンコールの後で幕が上がると、
ダンサーたちが空っぽの、通常は『ボレロ』の主役が立つはずの赤い円台を囲み、
上方へと手をさしのべていた。ゆっくりと降りてきたのは、
カーテンコールを受けて微笑むべジャールの動画映像を映したパネル。
幕の前で拍手を受けながらうなずく彼のその姿を、私は何度見ただろう。
最前列で真っ先にスタンディングし、笑顔を向けられたことすらある。
だから映像を前にして、あふれる涙を止めることは不可能だった。
ろくに寝ぬまま行った公演だったが、あまりにも感慨深い一夜だった。
(そして今夜もたぶん、ろくに寝ない。とほほ。)

・・・もっともそんなことは、ちょうど私の前にいた幼い子供のように
過去の記憶がない人にはまったく無意味なものだ。

未知の何かに触れて、理由もわからず涙することもあれば、
追憶の中で繰り返し流す涙もある。
これからの人生ではどんどん後者が増えていくとしても、
前者の涙も忘れたくない、とも思う。

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「地震!」って言わないで!? 八月納涼大歌舞伎&愛想の良いねこ

2009-08-09 22:00:22 | 観劇
数時間前、地震があった。震度4だそうな。
その時、歌舞伎座で八月納涼歌舞伎(二部&三部)を観ていた。


地震時の演目は三遊亭円朝口演に基づく『怪談乳房榎』。
勘三郎演じる正助が、橋之助演じる浪江に酒を飲まされる場面だ。

当然、二人のプロフェッショナルは平然と芝居を続行していく。
それは予想通りだったが、勘三郎のアドリブがないのをちょっと意外に感じる。
割りと長いこと揺れていたので、老朽化した歌舞伎座という空間に
不安をおぼえたものの、やがて揺れは収束。芝居への集中力も戻って来た。

舞台上では相変わらず、酒を酌み交わしての応酬が続いている。
と、勘三郎が言った、「ひさしぶりに酒くらったから、なんだかゆーらゆーら……」。
客席が「地震!」「地震!」と騒いでいる間、
演技の乱れも見せずに、彼はこの台詞を考えたのだろう。

観劇中、それなりの大きさの地震に遭遇したことは何度かあるが、
舞台上の演者が動揺したのを見たことはない。
これに対して観客の緊張感のなさはどうだろう。
演じ手が動じずに演じているのだから、もう少し舞台に配慮できないものか。
知人と顔を見合わせるくらいするだろう。その場から出たいなら出ればいい。
でも「地震!」「地震!」と口々に声に出すのはできればひかえましょうよ。

なお、この演目の最後には円朝に扮した勘三郎が口上を行うのだが、
いわく「歌舞伎座もそろそろ……(老朽化)でありますから、
みなさまとも一蓮托生の思いです」。震度4であることもその場で教えてくれた。
つくづく、魅力あふれる俳優だ。

この作品での勘三郎の早替わり大奮闘や『船弁慶』熱演、
『真景累ヶ淵』などに見た勘太郎の充実ぶり、
谷崎潤一郎作『お国と五平』の面白さやそこでの三津五郎の好演など、
いろいろあるのだが、今日は余裕がないので、またの機会に。

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↓昨日は知人が預かっている猫、その名も「にゃあ」ちゃんに会う。


呼ぶと必ず返事をする、とても愛嬌のある子。
人見知りすることもなく大いに甘えてこちらを喜ばせた挙げ句、
途中で耐えきれなくなって何度もトイレに逃げ込むという、
ほんとはデリケートな気遣い屋さんでした。

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KENTARO!!『SADAME no MIKATA wa』

2009-08-07 21:11:33 | 観劇
KENTARO!!ソロ公演『SADAME no MIKATA wa』@あうるすぽっと


いやあ、これは............
多くを語るよりも、とにかく観てほしいという気持ち。

これでもかと踊りまくるKENTARO!!
こけつまろびつするKENTARO!!
捨て身でふざけるKENTARO!!
なんか演じちゃってるKENTARO!!
おとぼけ風味なKENTARO!!
今しか観られないKENTARO!!

ふんだんな動きのヴォキャブラリーに感心し、妙なギャグに吹き出しつつ、
最後はめいっぱい力いっぱいな熱いダンスに、
またしてもグッときてしまった。公演は日曜日まで。

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桃禁断症状の顛末/『フィガロ・ジャポン』8/20号

2009-08-05 18:19:40 | 執筆
この2日間で5本の取材、というか、正確にはその数のせいではなく、
それぞれの取材時間が朝から夜までにばらけていたためだが、
安価なほうのスーパーが閉まっている時刻に帰宅。
気づけば、冷蔵庫の桃がなくなっている。ど、ど、どうしよう。

禁断症状が出た私は別の、遅くまで開いているスーパーへ。
・・・値段が妙に高い。
が、背に腹はかえられないので一つだけ購入して早速冷やし、皮を剥こうとしたらゴリッ。

外見は赤かったのに未熟だった(涙)。しょんぼり。
でも桃を買う以外にも、いまできることはあるはず!↓
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『フィガロ・ジャポン』8/20号(阪急コミュニケーションズ)


「actualite/いま、興味人間」欄にて、演出家ジョン・ケアード氏インタビュー。
9月の『ジェーン・エア』公演を前に、作品についてさまざまに教えていただきました。


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真夏は突然やって来る!?/『シアターガイド』9月号

2009-08-01 00:00:34 | 執筆
正直言って、あれあれもう8月なんですっけ!?とプチ浦島太郎気分なのだけれども、
海外の劇団やダンスカンパニーにメールし、自動返信で休暇中を告げられて現実を知る。

ほぼ毎夏、ヨーロッパの長いヴァカンスという壁にぶち当たり、何かが果たせずに終わる。
予測できることなのだから、早めに連絡しておけば良いわけだが、
いつだってこういう事態に陥って気がつく。学習できないようだ・・・とほほ。

だけどもしかして、梅雨明け宣言も原因の一つなのではないかしら!?
私にとって夏は梅雨が明けてから始まる。そうするとあっという間に8月なのだ。
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シアターガイド』9月号(モーニングデスク)


下記執筆しています。

●ダンサー・振付家 KENTARO!!インタビュー

8月、ソロ公演にカンパニー公演にと大車輪の活躍を見せるKENTARO!!さん。
編集部にぜひ!とご提案して、ご紹介させていただきました。今、注目の舞踊家です。

●NHK「スーパーバレエレッスン」第二弾 収録レポート

8月28日にスタートする、吉田都さんが講師のNHK「スーパーバレエレッスン」第二弾。
その収録のもようをお伝えしています。吉田さんのミニインタビューつきです。

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