今週は毎日欠かさず観劇である。月曜日から観たものを挙げてみると、
・コクーン歌舞伎現代劇『桜姫』@シアターコクーン
・日経能楽鑑賞会 狂言『萩大名』/能『邯鄲』@国立能楽堂
・流山児★事務所 ミュージカル『ユーリンタウン』@座・高円寺
・Kバレエカンパニー『シンフォニー・イン・C』『ベートーヴェン 第九』@オーチャードホール
でもって今週、これから日曜日までに観るのが、
・新国立劇場 オペラ『チェネレントラ』@新国立劇場オペラパレス
・ミュージカル『グローリーデイズ』@新宿FACE
・東野祥子ソロ公演『---MESs---メス---』@リトルモア
・『女信長』@青山劇場
我ながら統一感のないラインアップだが、蓋、じゃなかった、幕が、
開いて観てみないとわからないのが舞台の面白さ、ってことで。
日経能楽鑑賞会の能『邯鄲』が圧巻。そりゃ、シテが友枝昭世ですから!
(『萩大名』の野村萬も庭の描写などひときわ見事だった)。
『邯鄲』は中国の故事に由来する有名な物語だが、簡単に説明してみると・・・
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人生に迷っている青年・蘆生が、邯鄲という里に宿泊し、
宿の女主人から“悟りを開くことができる”枕を借りてうたたねをしていると、
突如迎えの者が現れ、蘆生は帝となって50年間の長きにわたって栄華を極め、
ついには千年の寿命を約束する酒を得る。
人々の、そして蘆生の歓喜は最高潮となり、祝宴は果てしなく続き――。
と、宿の女主人が起こしに来た。すべては粟を炊くまでの夢と悟り、蘆生は帰っていく。
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というもの。
なんと言っても、栄華を極めた蘆生が舞う「楽」が素晴らしかった。
かなり長時間、狭い一畳台(文字通り一畳ほどのスペース)の上だけで舞うのだが、
友枝の体の制御ぶりには驚嘆すべきものがあり、
その躍動感といい艶やかさといい、鳥肌が立つできばえだ。
華々しい音色で「帝の栄華」を表す囃子・地謡もいい。
歓喜の頂点で蘆生は、枕に勢いよく「飛び込み」をする。
その激しさゆえにのちの静寂が際立ち、舞台は女主人のいる“現実”に引き戻される。
友枝の『邯鄲』は過去にも観ているが、今回は「傘之出」という小書での上演。
シテは傘をさして現れ、最後もさして帰っていく。
女主人は「また重ねて御参り候へや」と声をかけるが、
蘆生は立ち止まるものの、何も答えずにそのまま去る。
世の無常を一瞬のうちに身をもって知った彼が、邯鄲の里を再訪することはないだろう。
その虚ろな後ろ姿には、本当に村雨がしとしとと降りかかっているようであった。
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さて、話は変わるが、ある劇場で隣りになった人が、
拍手を2回ずつしかしないのがとても違和感アリだった。
「パンパンッ!」と強く打って止め、少し後にまた「パンパンッ!」とやる。
柏手か? 鯉呼びか? エネルギー温存か?