道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

効率

2009-08-03 23:55:47 | 精神文化
一週間、羽田空港国際線ターミナルでバイトをした。
雇用元は日本政府観光局で、
「中国人っぽい人がいたら話しかけて、
 日本でどこに行ったかその他について調査せよ」
というミッション。
年3回、各回4日間実施される。

想像の通り、搭乗手続き待ちの人々に話しかける我々の姿は、
かなり胡散臭い。
そして、私は、
パンダが太極拳してるTシャツやら、
フィリピン大学のTシャツやら、
「米麦豆愛」とだけ書かれたTシャツやら、
更に胡散臭さをアップさせる服装。

この調査の成果は、多分こういうものに反映されるのだろうが、
元々が火曜日~金曜日の昼間の便のみに対象を限定している上に、
調査員の胡散臭さによって、かなりのバイアスがかかってしまっている気がする。

つまり、私は、調査結果に余計なバイアスをかけていたのだろう。

実際、よく断られたし、協力してくれた人にも「何に使うの?」としばしば訊かれた。



ところで、調査を行う場所は搭乗待合室、つまり出国ゲートの向こう側。
我々は従業員専用口から入るのだけれど、
旅客同様、当然安全チェックが入る。

ある日、
胡散臭い格好をした私は何事もなく通過したのだが、
同行した観光局の職員の荷物がX線検査に引っかかった。

「ちょっと鞄の中身を見せて頂いてよろしいでしょうか」
「どうぞどうぞ。空けてよく見て下さい」

空港の検査員、鞄の中のものと、X線の映像を見比べて、
どれが原因で引っかかったのかを調べている。
しかし、鞄の中を隅々まで見ても、何が悪かったのかよくわからない。
それでも、何人かで相談しながら調べ続ける。
「これかなー。しかし、ちょっと違うなー。これかなー。これも違うなー」
「ホッチキスの針は入っていないしなー」
「携帯のストラップも問題ない形だしなー」

・・・というか、人間が隅々まで調べて、危険物が何も見つからなければ、良いんじゃないかなぁ。
機械なんて、あくまでも効率のためのものなんだから。
人間がしっかりチェックして問題なければ、機械がぶーぶー言っててもいいじゃん、
と思う。

そりゃあ、
ゴルゴみたいに、鞄が二重底で、そこに凶器を隠している、
みたいな可能性もあるから、機械が必要なのかもしれないけれど、
それだったら、中身を全部出して、鞄だけX線にかけてみればいい。


少なくとも、中国の空港だったら、
人間がチェックして大丈夫と判断したら、通してしまう。
機械のために効率が落ちたら、本末転倒。
これぞ、いーかげん人治国家の真髄。
マニュアルを無視することには、弊害も多いけれど。


日本は、生真面目なんだなぁ、と思う。