気がつけばもうお彼岸は過ぎてしまった。
そして自分はまた帰れなかった。
田舎は彼岸花が咲いているだろう。
あの赤い花はいつも怖かった。
女の子は触れてはいけない。子どもが出来なくなる。
それよりもあの赤い色と形が死を連想させ
近づくと死人の臭いがするようだった。
自分はまだ連れていかないで
そんな気持ちでいつも見ていた。
最近はよくこの白い彼岸花を見る。
こうやって育てている人を見ると驚いてしまう。
ほんの数日しか咲かない花。
自分の感覚では一日で枯れてしまうように感じている。
その短い時間のために一年を育てる親に感心。
この色なら死人を思い出さないか。
イヤ私にはやはり死以外のものではなかった。
