ちょっとピンぼけ/倉敷界隈

日々の記録。見たり、聞いたり、買ったり、食べたり。

車窓より

2006年11月21日 20時22分42秒 | 写真

車窓から昔乗っていたディーゼル車が見えた。これに乗って高校三年間を通った。もう廃線になって乗ることはできない。奇特な人たちが整備・保存してイベントの時に100mほど動かしてくれている。それはとてもありがたいことなんだけど、もう死んだ線、命のない電車を無理に動かしているだけで少しの切なさを感じる。もう昔とは違うのだと思い知らされるようでつらい。

客車が解放されていてそこに乗った。暖房が効いてて暖かい。連結部の車窓から電車が見えた。ドアを開ければ枠なしで撮れるのだが近づきたくなかった。窓越しに、壁越しに写真を撮った。ここに昔の恋人がいた。恋人とはおかしいかも知れない。彼女は私が好きだった。私も同じだった。でもお互いに何も言わなかった。わかっていたからか、それでも言い出せなかったからなのか。何も言わず、ただいつものたわいのない話がお互いにうれしかった。ここでもう一度彼女に会った。彼女は喜んでくれた。私もうれしかった。同窓会に行けなかった。今度は行くから必ず会おうと彼女は言った。約束だからとあの頃のように言った。50cm離れたところに顔があった。何かしようかと思った。彼女は嫌がるだろうか。嫌がらない気がした。

その刹那に聞いた。今は幸せなのかと。彼女はほほえんで、とっても幸せと言った。よかったなと思った。来年また会おうと言って列車を降りた。少しだけ満ち足りた気分だった。来年どうしようか、行かないかも知れない。今はそう思っている。


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