ちょっとピンぼけ/倉敷界隈

日々の記録。見たり、聞いたり、買ったり、食べたり。

今日の見もの(ハウルの動く城)

2011年06月10日 21時59分53秒 | 見もの

ハウルの動く城 Howl's Moving Castle
2004年 119分 日本

どうにか気分を変えたかった。こんなことしている場合じゃないとわかってはいるが、それでも見てしまった。現実逃避なのかも知れない(笑)。

いつの時代か、どこの話かはわからない。その世界では科学と同時に魔法が日常になっていた。父の店を継いで小さな帽子屋で働いているソフィーは自信のない内気な少女であった。妹は美人で派手な社交家。姉に「本当に帽子屋でいいの?」と尋ねる。もっと自分の心に素直になれと。

ある日、妹の店に行く途中に変な妖怪(のようなもの)に出くわす。それを救ってくれたのは若くハンサムな男。彼女は彼が誰か知らなかったが、それはハウルで、町外れに彼の動く城がやってきていた。ハウルが彼女を救ったことに腹を立てた荒地の魔女はソフィーに呪いをかける。彼女は90才の老婆に変えられてしまう。このまま家にはいられないと思った彼女は荒地の方に単身向かう。途中、杖と思って引っ張った棒は実は案山子で、それに気に入られて一緒に旅をするようになる。彼に「今日泊まる家を持って来て」と頼むと、ハウルの動く城を連れてきた。その中に入って寒さをしのいだ彼女は、中の余りの汚さに押しかけ掃除婦として入り込む。そこには魔法使いの小さな子ども、悪魔の火がいた。少しずつ心のつながりが出来てきてところへハウルが帰ってきた。彼はとても力のある魔法使いだった。彼は未来を見通していた。これから戦争が始まる。王宮からお呼びがかかったのもそのせいだろう。彼はソフィーに、「自分の母親として王宮に行き、『あの子は役に立たないダメな奴です』と言って協力を断ってきて」と頼まれる。ソフィーが王宮に近づくと同じように呼ばれた荒地の魔女も来ていた。二人で乗り込んだ王宮で起こったのは・・。

『現実とは異なる世界を舞台に、魔法の力を与えられながら宿命の鎖に縛られた少年と、彼の優しさに気づいたことで大切な人を守るために困難を乗り越えようとする少女の姿を描く』(ウィキペディアより)と書いてある。秀作だ。

どう表現していいかわからない作品だった。わかるような、わからないような、不思議な作品。一見強そうに見えるハウルは、実は弱虫でいつも逃げている青年。ソフィーは(映画でははっきり描かれてないが)、不思議な力を持っている少女に見える。動かなかった案山子に命を吹き込み、人の心を解きほぐし、優しさを受けいれさせる人。考えればこれも魔法の一種なのかも知れない。彼女にかけられた呪いは強力と言いながら、時々消えかけて彼女が元に戻ってきたりする。顔は老婆でも身体はスマートに戻ることもある。そもそも自分が老婆になったことを割とあっさりと受け入れる。普通ならもっと悩むだろうにと不思議で仕方ない。起こる事も展開も、まるで夢の中のようで、奇想天外かつ曖昧ではっきりとしない。評価はと言えば、はっきりと理解できないので何とも言えない。見終わっての充実感もそれなりにあるし、『物語前半は比較的原作に準じているが、後半は原作には無かった戦争が付け加えられるなど全く違った展開になっている。原作者のジョーンズはこれを了承し、かつ本作を絶賛した。(同ウィキより)』らしいから、いい映画なんだろうと思う。そもそもこれって宮崎さんのオリジナルストーリーじゃなかったんだね。改変しているからオリジナルみたいなものかも知れないが。

第61回ヴェネツィア国際映画祭 オゼッラ賞
ニューヨーク映画批評家協会 最優秀アニメーション賞
第33回アニー賞 長編映画部門作品賞

世界中で公開されそれなりの興行収入を得るが、アメリカでの興行はいまひとつ(興行収入2億7000万円)だった。概ね高評価であったが、雑誌『タイム』は「ストーリーを進める意志が感じられない」と酷評した。

2008年 英エンパイア誌で史上最高の映画500本の中に選出された。(以上ウィキより)

なんて記述を見ると、私同様にどう言っていいかわからない人も多いのだろうし、よく理解して「名作だ」と思っている人も多いのだろう。

ソフィーの声が倍賞千恵子でハウルが木村拓哉、荒地の魔女が美輪明宏と豪華だが、若いソフィーがなんで倍賞千恵子かと多くの書き込みがある。違和感があるとかあり得ない声優だとか酷評している人がいるが、私はそうは思わなかった。若いが地味で、自信が無く落ち着いた雰囲気のおばさんのような若い子にはむしろぴったりで違和感なんて無かった。ただ最後の声優の名前を見て驚いただけだった。書き込みをした人、みんな、声ではなく名前から違和感を持っただけじゃないかと勘ぐる。私は悪いとは思わなかった。

だけど、確かに人の書き込みを読むのは面白い。あぁこんなふうに思っているのかと理解できたり、こんな解釈なのかと感心したりする。以下はアマゾンのDVDレビューだが、実に面白かった。皆さんも読んでみたらいいと思う。

まず、これまでマトモに生きてきたと自負している人には理解不能です。
マトモに生きれない不器用な人の心理をうまく表現していると思いました。

自信がなくて、年寄りみたいな生活を送るソフィーがおばあちゃんにされるとか、心を失ったハウルは心臓がないとか、現実世界で病んでいる人達が頭で感じている『今の自分ってこんな状態なんだ!』っていうイメージがこの映画では実際に起こっています。

極度に見た目を気にしてしまうハウル、自分を美しくする魔法、これは美容整形や過剰なダイエットを繰り返す心情に似ています。ソフィーのお風呂掃除によって、髪が黒くなってしまう。これによって彼はヒステリーに陥ります。闇の精霊を呼び出し、身体が溶けだしてしまう。このヒステリーの描き方が凄いと感じました。ヒステリーに陥っている人は意識的にか無意識的にかこれに似た感覚を持っていると思います。その割に正義感が強い。正義感というよりは心が敏感になり、世の中の負の部分が見えすぎるために怒りをもっているのです。世の中は戦争の時代。殺しあう人々がイヤでイヤでしかたがないのです。これはニートと言われる人々の一部が資本主義社会を嫌う感情にも似ています。彼はそれに怪物になって戦います。彼は自分の負の部分を武器に戦っている闇のヒーローなのです。(後略)

ランク:よくわからない。ゲド戦記のような駄作じゃない。
    ナウシカや千と千尋のような傑作かどうかは各自の判断で。

日記@BlogRanking