小さな別れがあった。
自分のお小遣いで買ったという小さな花束を貰った。嬉しかった。もう二度と会うことはないだろう。近くにいるのだけれども住む世界が変わったら人は一生出会うことはないものだ。永久の別れのつもりで受け取った。そして口には出さなかったけれども、あの子に幸あらんことを祈った。
ひょっとしたら、今年は黒服を着て会わないといけないかとも思っていた。いつもの笑顔が泣き顔に変わっているのを恐れていた。でも最後まで笑顔のままだった。よかったと思った。天の助けがあったと感謝した。一言だけ言った。
「おかあさんが喜んでくれただろ・・」
彼女はほほえんだ。それでよかった。これでお別れ、さようなら。いつか夢の中で会おう。その時はきっと笑顔だろう。それを遠くから見たらそれで私は幸せだ。お花をありがとう。天よ、この子にそのご加護を。