母と編み物

母と父が生活していた「離れ」のかたずけを始めた。

父が亡くなった２５年前から僕が帰省して来たので母は母屋の方に生活の場が

移りそれ以来離れは物置の場所になったのだ。

最初は足の踏み場もないくらい布団や洋服、衣装ケースの山積みであった。

古い布団や昔の洋服はほどんど処分したが１０個以上もある衣装ケースは中に

家族全員のためにお袋が編んだ毛糸の編み物が詰まっていてどうしても

捨てられないのだ。

最初は手編みだったがある時期から機械編みの学校に通い出しずいぶん熱心に

やっていた記憶がある。

整理していて父のイニシャルを編み込んだセーターを見つけた。

そう云えば親父がよく着ていたのを覚えている。


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