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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

大阪市での教科書採択方針決定前に「あぶない教科書大阪の会」が質問書

2020年05月21日 | こども危機
 大阪市教育委員会
 山本晋次教育長 様
◎ 公正性と透明性の高い中学校教科書採択制度を求める質問書(2)
2020年5月18日
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会

 2020年1月6日、私たちは昨年度の小学校採択経過の分析を通じて明らかとなった課題について要望・質問書と提出しました。2月20日、貴教育委員会から「教科書採択についての要望について(回答)」(以下、「2.20市教委回答」)が届きましたが、具体的な内容の乏しいものでした
 その後、2月25日(火)、3月30日(火)の教育委員会議で、教科書採択の課題について「非公開」で協議されています。そして、5月下旬の教育委員会議で、今年度の教科書採択方針が決定されようとしています。
 しかし、これまでの審議全てが「非公開」で行われており、昨年の小学校採択過程のどこに課題があったのか、そもそも何を検討してきたのか、全く明らかになっていません。
 私たちが要望した内容を踏まえて教育委員会議で活発な議論が行われるか、大変危惧しています
 私たちは、5月下旬の教育委員会議に向けて、再度質問書を提出します。
 採択方針を決定する教育委員会議では、私たちの質問に答えることも含めて、十分時間を取って審議して頂きますようお願いします。
 あわせて、コロナ禍で大変な時期ではありますが、採択の透明性と公正性を確保するために6月8日(月)までに文書回答と協議の場の設定を求めます。
◎ 質問事項

 1.地区調査会代表の選出方法について

 (1) 「2.20市教委回答」では、地区調査会代表は、「区担当教育次長の中から、採択地区ごとに1名ずつ教育長が指名」するとありました。
 地区調査会代表は、教育次長であると同時に区長でもあります。区長の選任は、市長が公募で選ぶだけで議会承認は必要ありません。従って、区長は市長の政治的な影響を強く受ける役職となっています。
 教育長はどのような基準で地区調査会代表を指名するのか、教育委員会議での承認は受けるのか、明確にしてください。
 (2) 地区調査会の代表が区長である以上、区長が教科書採択へ政治介入していないかどうか、厳しくチェックされなければなりません。地区調査会の代表を選ぶときには、教科書会社、特定の教科書を推奨する団体の関係者、教育再生首長会議との関係性についても調査する予定でしょうか。
 (3) 区長が地区調査会代表として、教科書採択で政治介入を行う疑念を払拭するためにも、地区調査会代表は、決まり次第、公表すべきと考えますが、見解を聞かせてください。
 (4) 具体的には、昨年度の小学校採択について第3地区の地区調査会代表となった吉田康人大正区長は、自身のブログ「やすとログ」(2011年1月16日)の中で、育鵬社教科書を育鵬社と協同して作成・宣伝・採択活動を行っている日本教育再生機構大阪北地域支部長会議に参加し、「今後も、日本教育再生機構でがんばっていきます」とコメントしています。
 今年度の中学校採択において、吉田区長を第3地区調査会代表に指名するのであれば、上記の関係がどうなっているか確認し、公表すべきと考えますが、見解を聞かせてください。
 2.地区調査会の役割について

 (1) 「2.20市教委回答」では、「地区調査会は会議体ではなく、各採択地区内の専門調査会と学校調査会における調査研究を執りまとめ、教科用図書選定委員会に報告することが主たる役割となります。」とありました。
 しかし、昨年度の小学校採択では、2019年7月4日の教科用図書選定委員会(以下、「選定委員会」)において、地区調査会代表が、「優位性」のある教科書を数社、報告しています。事実上、地区調査会について数社への絞り込みが行われました。
 しかし、地区調査会は「会議体」ではありません。調査会報告書も各社の差異がほとんどなく、「優位性」のある教科書を読み取ることは難しくなっています。
 地区調査会がどのようにして「優位性」のある数社を選んだのか、明らかではありません。
 私たちは、地区調査会は、恣意的な絞り込みの疑念が生じないように、学校調査や専門調査結果を数値化等して、誰の目にも「優位性」が明らかになるものにすべきと考えますが、見解を聞かせてください。また、地区調査会の会議禄を公開してください。
 (2) 2019年度の第15回教育委員会議(7月30日)で、事務局は「2社の中でもさらに優位性があるものについては、選定委員会での議論を踏まえた上で、各地区調査会における議論の中で優位性が認められたもの、または地区調査会代表と地区担当指導主事による再度の協議により優位性が認められたもの」と説明しています。
 1社への絞り込みが、「地区調査会代表と地区担当指導主事による再度の協議」によって行われていることを表明したものです。
 これは、「2.20市教委回答」で明らかにされた地区調査会の「役割」を超えるだけでなく、地区調査会代表に絶大な権限を与えるものとなっています。「地区調査会代表と地区担当指導主事による再度の協議」は、恣意的絞り込みの余地を排除しておらず、採択の透明性・公正性の観点から重大な問題です。
 私たちは、「地区調査会代表と地区担当指導主事による再度の協議」を廃止し、地区調査会で学校調査、専門調査に基づいた絞り込みを行うべきと考えますが、見解を聞かせてください。
 3.学校意見の集約方法と活用について

 (1) 学校意見について「2.20市教委回答」は、「『本校にとって特に優れている点』『本校にとって特に工夫・配慮を要する点』について1校につき1つまで選択できるようにしました」としています。
 上記の地区調査会で客観的な資料に基づく絞り込みを行うためには、「1校につき1つまで」の条件を取り払い、学校調査において複数選択できるようにすべきと考えますが、見解を聞かせてください。
 4.「定量的調査資料」について

 (1) 2019年度第2回選定委員会(7月4日)に「定量的調査資料」が提出されています。「定量的調査資料」にある「調査項目」の設定によって、教科書の特徴、評価は大きく変わります。従って恣意的な「調査項目」の設定は許されません。
 「定量的調査資料」について「2.20市教委回答」は、「客観的な資料として質疑が想定される項目」について、「専門調査会が作成」したとしました。また、大阪府教委の「選定資料」も「参考」にしたとしましたが、大阪市独自の項目も多数認められました。しかし、「定量的調査資料」の「調査項目」の決め方が、全く公開されていません。
 私たちは、「質疑が想定される項目」をどのようにして設定したのか、決定に至る過程を公開すべきと考えますが、見解を聞かせてください。
 5.新型コロナウイルス感染対策と教科書採択の透明性について

 (1) 5月12日、文科省は「新型コロナウイルス感染症対策に伴う令和3年度使用教科書の採択事務処理の運用等について」を出しています。採択に関わる教育委員会議は、新型コロナ対策をした上で最大限の傍聴を保障することが必要です。
 どのような対策と配慮を取ろうと考えていますか。

 (2) 教員が安全に調査研究できる体制を保障することも必要です。
 例年以上に学校調査の時間を確保するなど、感染対策をした上での十分な学校調査を行うための配慮について、どのように考えていますか。
 (3) 教科書展示会も、感染症対策を十分した上で、「広く地域住民の方々が展示会に参加できるように工夫すること」(上記、文科省通知)がもとめられます。
 どのような「工夫」をしようと考えていますか。

 6.教科書採択の透明性を高める取り組みについて

 (1) 2015年中学校採択、教科書アンケート不正疑惑に対して、大阪市外部監察チームは、非公開の教育委員協議会で実質審議を行い「事実上内定」し、さらにその結論のみを市民に公開するため教育委員会議の細かいシナリオまで作っていたことを明らかにしました。
 「報告書」は、「結語」で「今後は、特に教科書採択に関する手続きについては、より一層丁寧かつ詳細な情報提供を行うことが望まれる。そして、そのような情報提供としては、単に法令上要求される範囲や、適法性を左右する情報だけに限ることなく、「第6」(高尾委員の疑惑)に検討したような関連事情も含めて、より幅広い事項について行うことが適切である」と指摘しました。
 その後、非公開の教委育委員協議会は廃止され、教育長も教育委員会議の場での「オープンな議論」を何度も表明していました。
 しかし、教科書採択に関する議論は、教育委員会議での「協議題」と位置づけられ、非公開となったままです。事実上、教育委員協議会が教育委員会議の中に吸収されただけで、非公開審議は変わっていません。今年も、2月25日(火)、3月30日(火)に行われた教育委員会議での「教科用図書の採択について」の審議が非公開です。これでは、大阪市外部監察チームの指摘をないがしろにしていると言わざるを得ません。
 貴教委は、大阪市外部監察チーム「報告書(結語)」で指摘された内容をどのように受け止めているのか、これまで「協議題」として非公開としていた教科書採択に関わる審議を公開の場でする予定はあるのか、明らかにしてください。
 (2) 2018年中学校道徳採択での選定委員会議事録は、発言した選定委員の名前が発言内容と共に公開されています(私たちが確認した範囲では、2015年採択以降2018年まで発言者は公開)。
 しかし、2019年小学校採択においては、選定委員会議事録から全ての発言者名が削除されています。これは採択の透明性の観点から極めて重大な後退です。なぜ、2019年度議事録から発言者を削除したのか具体的に明らかにしてください。
以上


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