◎ 2016年12.10集会アピール
私たちは、国連からの人権勧告を日本で早急に実現してほしいという思いから、「国際立憲主義の実現を」というテーマでこの集会を行った。
2013年以降、国連の人権委員会から120以上の勧告が出ているが、政府は「従う義務なし」「法的拘束力はない」と閣議決定をして、勧告を無視している。
2017年1月には国連の人種差別撤廃委員会から具体的な施策を提出するように指示されているが、進展していない。
翁長沖縄県知事は国連人権理事会第30回定期会合に出席し、「私は、沖縄の自己決定権がないがしろにされている辺野古の現状を、世界の方々にお伝えするために参りました」と述べ、辺野古新基地建設を進める日本政府を厳しく非難した。
しかし、安倍政権はこの訴えを完全に無視し、東村・高江で住民らの反対を警察権力の暴力で抑えつけ、オスプレイ用ヘリパッド建設をも強行している。
しかも、大阪府警機動隊員は反対住民を「土人」「シナ人」などと差別用語でののしったにもかかわらず、大阪府知事、沖縄北方担当相はその発言を擁護するなど、二重に沖縄の人びとの尊厳を侵した。
安倍政権は昨年12月末、日本軍「慰安婦」問題に関して、韓国との間で「合意」をかわした。
日韓両政府が被害当事者の頭ごしの「合意」に対し、彼女らは「受け入れられない」と抗議の声をあげている。
両政府はこれを「最終的かつ不可逆的な解決」と言っている。
今年3月、国連女性差別撤廃委員会はこの「合意」を、「被害者を中心に据えたアプローチを採用していない」と批判し、金銭賠償や公式謝罪を含む「完全かつ効果的な賠償」を行うよう求めた。
しかし、安倍政権はこの勧告に全く耳を貸そうとしていない。
2016年7月、神奈川県相模原市の障がい者施設で、元施設職員が入所者19名を殺害するという事件が発生した。
元施設職員は、衆議院議長宛の手紙で「障害者は不幸を作ることしかできません」と決めつけていた。
日本は、2014年に、障がい者権利条約を批准し、今年4月に障がい者差別解消法を施行しているが、根底に優生思想、障がい者差別が潜んでいることを思い知らされた。
障がい者には「あらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」と「固有の尊厳の尊重」が保障されている。これらは国連憲章の諸原則、世界人権宣言及び人権に関する国際規約等にのっとり、国連が加盟国に対して遵守・履行を命じているものである。
沖縄・琉球の人びと、「慰安婦」被害者、障がい者やその周縁の人びと、マイノリティの人、在日外国人の人たちが、この国の権力によって人権を踏みにじられ、困難を強いられていることを私たちは許さない。
今年5月、在日コリアン、市民らの粘り強い取り組みによって「ヘイトスピーチ対策法」が成立した。「不当な差別的言動は許されないことを宣言」し、その解消に向け国・地域社会が具体的措置を講じていくことを謳っている。
この法律施行後の6月、川崎ではヘイト・デモを中止に追い込むなど、ヘイトスピーチ根絶に向けた一歩が踏み出している。
トランプのアメリカ大統領就任、欧州各国における移民受入れ反対勢力の台頭など、日本だけでなく国際的にも差別排外、移民排除、マイノリティへの人権蹂躙の動きが強まっている。
しかし、おかしいことはおかしいと強く主張し、人権拡充の世界的流れを作っていこう。
この社会にはびこる人権侵害、差別をなくし、人びとがともに自由、平等に生きていくことのできる社会をつくっていくために私たちは力を尽くす。
日本政府に人権規約、国連諸機関の勧告・意見書の履行を求めて引き続き運動を進めていこう。
2016年12月10日
12.10国連・人権勧告の実現を!集会
12.10国連・人権勧告の実現を!集会
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