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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ マイナ保険証がなくても、現行保険証で薬局で薬を処方してもらえる

2024年06月13日 | 人権

 ☆ マイナ保険証にイヤイヤ登録させ…「誤解与えた」大手薬局が謝罪文
   「現行保険証を突き返された」抗議を受けて (東京新聞)

 マイナ保険証の利用促進に駆り立てられている薬局や病院。窓口で患者にマイナ保険証の利用を迫るあまり、大手薬局では謝罪文を出す事態に発展した。
 この大手薬局は昨年末から、薬の処方に当たって保険資格の確認に現行の健康保険証を使うことを取りやめていた。今年12月の廃止前から現行の保険証が使えないと受け取れるような対応に、問題はないのだろうか。(戎野文菜)

 【関連記事】薬もらうときマイナ保険証が必要?薬局で「マイナを」の声かけ増えた理由【解説】

 ◆ Xに投稿された謝罪文には

 6月3日、X(旧Twitter)に、マイナ保険証を巡る薬局の対応について、次のような謝罪文が投稿された。

「マイナ保険証がなくても受付が可能でございます」
「誤解を招く説明があり、私の指導不足を痛感しております」
「スタッフには厳しく指導いたしました」

 謝罪文に記されていた業界大手の薬局チェーンに取材すると、同社の薬局を利用した患者に送ったものだと認めた。

 ◆ 「マイナ保険証のみ」と受け止めた

 謝罪文を投稿した東京都の40代男性に経緯を聞くことができた。
 男性は5月30日、薬をもらおうと都内の薬局を訪れた。初めての薬局だったので、処方箋と一緒に現行の保険証を差し出した。
 薬局職員から「マイナ保険証のみの受け付けになります。マイナンバーカードはお持ちですか?」と告げられ、現行の保険証は突き返されたという。
 窓口の対応に、男性は「マイナ保険証がないと薬をもらえないんだ」と受け止めた

 男性はマイナンバーカードを持っていたが、情報漏えいへの不安から保険証の登録はしていなかった。
 持病を抱え、すぐに薬がほしかったため、仕方なく窓口にあったカード読み取り機にマイナンバーカードをかざして、マイナ保険証の利用登録をした。

 

 ◆ 納得できず「こんなのありですか」

 納得できなかった男性は、Xで疑問をぶつけた。

「薬もらうときマイナ保険証じゃないと無理ですと言われて、嫌嫌マイナ保険証に登録したんだけど、こんなのありなんですか?

 男性は後日、他の人からの指摘でマイナ保険証を作る必要がなかったと知り、「薬局の誘導に怒りを覚えた」。

 

 ◆ 薬局「現行保険証での資格確認やめた」

 男性から抗議を受けた大手薬局は「『マイナ保険証しか受け付けない』とは言ってないが、そう受け取られてしまった」と説明する。
 なぜ、男性は「マイナ保険証がないと薬をもらえない」と受け取ってしまったのか。
 薬局では、薬を処方する際、まず窓口で健康保険に加入しているかどうかを確かめる「保険資格の確認」を行う。取材で浮かんできたのは、この大手薬局独自の資格確認の方法だった。

 大手薬局は昨年12月から、全国に約900ある全系列店で薬を処方する際、現行の保険証での資格確認を取りやめていた
 広報担当者は「いずれ現行の保険証はなくなるし、国もマイナ保険証の活用を進めていこうとしていたから」と説明する。
 病院や薬局では昨年4月から、マイナ保険証をカード読み取り機にかざして健康保険の利用資格があるか調べる「オンライン資格確認」の導入が義務化された。それでもマイナ保険証の利用は低迷しており、政府は今年1月から、利用者が増えた病院や薬局に支援金を出すなどして普及にてこ入れを図っている。

 大手薬局は支援金の制度を利用しているかどうかを明らかにしないが、資格確認に現行の保険証を用いないことについて「マイナ保険証を推奨している国の方針に沿った対応だ」と主張する。
 大手薬局では、マイナ保険証を持っていない人には処方箋で資格確認し、薬を出しているという。
 広報担当者は「患者としては『マイナンバーカードはありませんか?』と言われ、現行の保険証を突き返されると『使えない』と思ってしまうかもしれない」と、男性の気持ちを推し量った。

 

 ◆ 厚労省「法令には違反しない」 その根拠は

 厚生労働省の規則では、薬局が薬を処方する場合、

①処方箋
②マイナ保険証
③現行の健康保険証

 のいずれかで資格確認することになっている。
 大手薬局の運用は、3つある選択肢の1つを奪うことになるが、法令上の問題はないのだろうか。
 厚労省医療介護連携政策課の竹内尚也課長は「3つの方法のうち、どれかで確認していれば問題はない」とする。

 

 ◆ 「マイナ保険証が義務と誤解生む」

 そもそも処方箋さえあれば薬はもらえる。
 全国保険医団体連合会(保団連)の本並(もとなみ)省吾事務局次長は、「あえて現行の保険証を受け取らず、マイナ保険証の利用を促す大手薬局のような対応は、マイナ保険証の使用が義務かのような誤った印象を与える」と問題視する。
 本並氏は「マイナ保険証を普及させたいから、現行の保険証をお払い箱にするのはとんでもないやり方。国の利用促進キャンペーンが過熱し、トラブルを起こしている」と指摘する。

 不本意ながらマイナ保険証を作った冒頭の男性も、支援金で病院や薬局を駆り立てる政府の手法に「カネ欲しさに利用者をだます病院などが出てくるのでは。やり方に誠意を感じない」と疑問を投げかける。

 

 ◆ 東京都薬剤師会「勧めていない」

 現行の保険証を資格確認に用いない大手薬局の対応について、東京都薬剤師会の担当者は「東京都薬剤師会としては、そのようなやり方は勧めていない」と話す。
 他の大手薬局6社に確認すると、「もちろん、現行の保険証でも資格確認しています」「実際に使っているお客様がまだたくさんいらっしゃいますので」などと答えが返ってきた。
 現行の保険証を資格確認に用いないとしている社はなかった。

 男性に謝罪文を出した大手薬局の広報担当者は「資格確認の運用を見直すつもりはないが、マイナ保険証が必須ではないと分かりやすく伝わるように声かけしていく」としている。

 マイナ保険証に関するご意見や情報をお寄せください。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。

『東京新聞』(2024年6月9日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/332207

 


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