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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

沖縄・八重山育鵬社公民教科書不採択

2011年09月29日 | こども危機
 ◆ 沖縄・八重山育鵬社公民教科書不採択
    文科省・自民部会「無効」
    県教委・県民世論「有効」


 沖縄県八重山地区の中学公民教科書採択問題で中山正春文科相は9月13日、地区一本化へ8日に開かれた地区教育委員協会の決定は「無効」として3教育委員会(石垣市、与那国町、竹富町)の合意を求めた。
 だが、8日の会合にオブザーバーとして出席し助言した県教育庁の大城浩教育長は、あらためて「有効」とし、一本化へ引き続き助言を続けることを表明した。
 問題がこじれたのは八重山採択地区協議会(会長・玉津克博石垣市教育長)が、過去の歴史記述を自虐史観と批判し、歴史を修正し、戦争賛美・愛国心涵養を目指す「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版公民教科書を賛成多数で選定・答申したことに始まる。
 この答申を受けて、石垣市教委は3対2、与那国町教委は2対1で採択したが、竹富町教委は0対5で不採択とし、地区採択は分裂状態になった。
 先の戦争で国内唯一の激戦地となった沖縄。その県民世論は育鵬社版採択に「反対」が多数。県教委は一本化に向けて助言・指導を行い、地区全教育委員による協議東京書籍版の採択を決めた
 この決定に全国の「つくる会」系政治勢力が一斉に反発。自民党文部科学部会とつくる会系教科書の採択を目指す「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・古屋圭司衆院議員)の合同会議が13日に開かれ、文科省と県教委、議員の会の義家弘介参院議員と誼を通じている玉津石垣教育長から報告を求めた。
 部会は採択地区協の決定を「無効」とし、文科省と県教委が正常な指導をすることを決議した。つくる会系勢力は「違法の主体は県教委」と決めつけて県教委攻撃に的を絞る。
 だが、八重山地区協議会は教科書の内容の議論に触れないで採択した。
 育鵬社版は時代ごとの絵巻物や漫画、イラストで生徒の興味を引き付ける体裁。崎原用能与那国教育長は「内容に懸念があれば検定の段階で落とされる。教科書は見やすい、開きやすいという直感が一番だ」(沖縄タイムス)と語っている。
 内容より見栄え、何より国家への手放しの信頼が問題だ。ここに教育への政治介入を招く素地があった。
 育鵬社版教科書を検定合格させたのは結局文科省だ。つくる会系の歴史・公民教科書は01年の刊行以来シェアを拡大し、05年の106校が11年は400校超。公民は0・2%が3・8%に、歴史は0・4%が3・6%に拡大すると予測される。
 なかでも横浜市は中田宏前市長が任命した教育委員のもと、18あった採択地区が全市一括となり、育鵬社版歴史・公民が149校8万人の中学生に強制される。なお、中田前市長は右翼新党・日本創生新党の創設メンバーだ。
 文科省は先に紹介した自民党部会で「憲法上、何が協議に当たるか明確な規定がない」と述べ、8日の地区全教育委員による協議を違法とは言っていない
 教科書採択権は地方教育行政法に基づき各教育委員会に帰属し、本来最も望ましいのは学校ごとの採択だ。
 だが、教員の意向の反映を嫌う文科省と自民党文教族は教科書無償措置法を制定し、同一地区同一教科書採択方式を採り入れた。
 その法的矛盾が今回も噴き出し、文科省はその不備は認めた。だが、国家の統制色を強める「新たな法解釈」は許してはならない。

『週刊新社会』(2011/9/27)

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