=規制緩和と安全=陸運業界④
◆ 安全対策は産別運動の原動力
規制緩和による安全対策軽視、災害多発は自明の理であるが、事態をさらに深刻にさせているのは労働組合の力量低下である。
企業の利益優先、安全無視の業務を監視・点検し、安全作業体制を確保するのは労働組合の役割である。衰退している労働運動や、労働組合力不足が今日の災害多発の労働環境を作り出す要因となっている。
港湾荷役作業は危険な作業だ。全港湾は、従来から安全衛生対策を「労災職業病闘争」として取り組んできた。高度成長の中で、大企業はこぞって安全衛生対策を労使共通課題として労務対策に利用してきた。
しかし、労働者、労働組合のたたかいによってこそ、労働災害は防止され、職業病のない労働環境がつくられるものだから、全港湾は労使共通課題の「安全衛生対策」という表現と区別してきた。
全港湾の「労災職業病闘争」は、
①交代制など長時間・過重労働対策のための作業体制の確立、
②労働災害上積み補償の統一協定、
③労災認定闘争など、企業の枠を越えた港湾産業における全国統一闘争
として取り組んできた。
労災企業上積み補償は、労働災害にあった場合、労災保険に加えて企業が補償する金額を協定しているもので、現在、死亡、1級~3級4千万円、以下、災害等級に応じて14級まで金額を決めている。
労災企業上積み補償は、被災者やその遺族への補償の確保と同時に、災害発生時の企業負担を増大させることにより「安全対策のほうが安上がり」ということで、安全対策を促進させる役割を果たしている。
労災認定闘争は、労災の後遺症や作業に起因する疾病を業務上として認定させるたたかいである。後遺症の放置や、個人の病気とされているケースは多く、業務上認定で多数を救済した。
企業は職業病認定に対し一切の異議申し立ての権利がない。全港湾の労災認定闘争により、企業は職場環境対策を進めるようになり、快適な職場、休憩所の実現につながった。
いずれも、安全対策は企業コストに反映する。
企業内の取り組みでは必ず競争の論理が働き、安全対策が不十分になる。
港湾産業の全国闘争としてたたかうことで、港湾共通のルールとしての実効性を確保することができた。
安全確保の取り組みは、否応なしに組合運動を企業内運動から産別に転換させた。
労働者が「安全で快適な職場」で働くには、一企業内、一港湾内では解決できないため、産業全体でたたかう、産別闘争促進の原動力になったのである。
全港湾は安全確保の取り組みで、労働者の目線でたたかう労働運動を意識してきた。
安全確保の取り組み=「労災職業病闘争」はきわめて階級的な課題である。
今、労働運動が後退しているなかで災害が多発している。たたかう労働運動の発展こそが、安全な労働環境の確保のカギであるとともに、安全確保の取り組みは労働運動再生の取り組みでもある。
あらためて、「いのちとくらしをまもる」運動の原点に!
『労働情報』(845・6号 2012/8/15&9/1)
◆ 安全対策は産別運動の原動力
松本耕三(全日本港湾労働組合書記長)
規制緩和による安全対策軽視、災害多発は自明の理であるが、事態をさらに深刻にさせているのは労働組合の力量低下である。
企業の利益優先、安全無視の業務を監視・点検し、安全作業体制を確保するのは労働組合の役割である。衰退している労働運動や、労働組合力不足が今日の災害多発の労働環境を作り出す要因となっている。
港湾荷役作業は危険な作業だ。全港湾は、従来から安全衛生対策を「労災職業病闘争」として取り組んできた。高度成長の中で、大企業はこぞって安全衛生対策を労使共通課題として労務対策に利用してきた。
しかし、労働者、労働組合のたたかいによってこそ、労働災害は防止され、職業病のない労働環境がつくられるものだから、全港湾は労使共通課題の「安全衛生対策」という表現と区別してきた。
全港湾の「労災職業病闘争」は、
①交代制など長時間・過重労働対策のための作業体制の確立、
②労働災害上積み補償の統一協定、
③労災認定闘争など、企業の枠を越えた港湾産業における全国統一闘争
として取り組んできた。
労災企業上積み補償は、労働災害にあった場合、労災保険に加えて企業が補償する金額を協定しているもので、現在、死亡、1級~3級4千万円、以下、災害等級に応じて14級まで金額を決めている。
労災企業上積み補償は、被災者やその遺族への補償の確保と同時に、災害発生時の企業負担を増大させることにより「安全対策のほうが安上がり」ということで、安全対策を促進させる役割を果たしている。
労災認定闘争は、労災の後遺症や作業に起因する疾病を業務上として認定させるたたかいである。後遺症の放置や、個人の病気とされているケースは多く、業務上認定で多数を救済した。
企業は職業病認定に対し一切の異議申し立ての権利がない。全港湾の労災認定闘争により、企業は職場環境対策を進めるようになり、快適な職場、休憩所の実現につながった。
いずれも、安全対策は企業コストに反映する。
企業内の取り組みでは必ず競争の論理が働き、安全対策が不十分になる。
港湾産業の全国闘争としてたたかうことで、港湾共通のルールとしての実効性を確保することができた。
安全確保の取り組みは、否応なしに組合運動を企業内運動から産別に転換させた。
労働者が「安全で快適な職場」で働くには、一企業内、一港湾内では解決できないため、産業全体でたたかう、産別闘争促進の原動力になったのである。
全港湾は安全確保の取り組みで、労働者の目線でたたかう労働運動を意識してきた。
安全確保の取り組み=「労災職業病闘争」はきわめて階級的な課題である。
今、労働運動が後退しているなかで災害が多発している。たたかう労働運動の発展こそが、安全な労働環境の確保のカギであるとともに、安全確保の取り組みは労働運動再生の取り組みでもある。
あらためて、「いのちとくらしをまもる」運動の原点に!
『労働情報』(845・6号 2012/8/15&9/1)
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