「のだめカンタービレ最終楽章後編」
2006年10月にフジテレビの月9ドラマとして始まった名物シリーズがついに大団円だ。昨年12月に公開された「~最終楽章前編」は330万人を動員し興収40億円突破と大ヒットした。
この記録を上回ることが期待されている後編では、恋愛関係にあるピアノの天才、のだめこと野田恵(上野樹里)と指揮者の千秋先輩(玉木宏)の葛藤と苦悩が、シリアスな大人のラブストーリーの中で丹念に描かれてゆく。
欧州に音楽留学したふたり。「いつかふたりでコンチェルトを!」というのだめと千秋の夢が途中で立ち消え不協和音が漂ったり、のだめの決死のプロポーズも届かず悲しみに沈むシーンなどは、のだめの自分探しの旅として見ると物語に深みが出る。天才肌なのに自分の限界に気付いて逃避しようとするのだめ。そんな彼女を理解しようともがく千秋。女心の動きに応じて微妙かつ豊かに表情を変えてみせる上野の演技は必見だ。
パリとプラハを舞台に壮大なクラシック音楽で酔わせる一方、おなじみのアニメや動物たちも登場しおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかさが楽しい。まさに「カンタービレ」(歌うようにという意味のイタリア語)と呼ぶにふさわしい甘~いフィナーレはのだめファンなら誰もが納得だ。かなり照れるけど。
2. 上海万博テーマソング、盗作疑惑
開幕まで2週間に迫った上海万博のテーマソングが、日本のシンガー・ソングライター、岡本真夜さん(36)が1997年にリリースしたヒット曲「そのままの君でいて」の盗作ではないかとの疑惑が中国で取りざたされている。
問題の曲は、3月末の万博プレイベントに合わせて香港の俳優、ジャッキー・チェンさん(56)ら多くの有名人が歌うビデオとして公開された。盗作疑惑は中国のネット上で浮上した。万博ソングのイメージビデオと「そのままの-」を歌う岡本さんの映像を並べたサイトも登場。掲示板には「99%同じで、間違いなく盗作だ。恥ずかしい」「これではメンツが台無しだ」といった非難が書き込まれている。
万博ソングの作曲家、繆森氏は4月初旬、中国メディアの取材に「部屋を歩き回り、足でリズムを取りながらインスピレーションを得た」と作曲の経緯を語っている。
岡本さん側は公式HPで「ただいま事実確認中ですので、正式発表があるまでしばらくお待ちください」としている。
3. 出演ドラマ300本余、今月だけでも4本の新作 山村紅葉 演じることが母への恩返し
「ミステリーの女王」と呼ばれた作家の故山村美紗さんの長女で女優の山村紅葉。これまで出演したドラマは三百本以上。今月だけでもフジテレビ、TBS、テレビ朝日で四本の新しい出演作がオンエアされる。その一方、今年で没十五年目となる美紗さんの生涯を公私両面から紹介する展覧会「山村美紗の世界」(京都市)を初プロデュースした。母への思いと、その母への恩返しとして打ち込む女優業への思いを聞いた。
二日にフジテレビ「赤い霊柩車(れいきゅうしゃ)」、五日にTBSの「探偵・左文字進」、十日にテレビ朝日で「鉄道捜査官」が放送された。
そして二十四日には同「山村美紗サスペンス 京都・美人女優連続殺人事件」が控えている。狩矢警部の娘で記者の和美(藤谷美紀)が所属する編集プロダクションの社長・山野美野里が彼女の役どころ。いつも殺人事件に遭遇する和美の尻をたたくパワフルな美野里は「思いっきりはじけられて喜劇人としては一番面白い」という。
多くのシリーズを持つ上で心掛けているのは「しっかりとキャラクターを演じ分けること」。「京言葉といっても、芸妓(げいこ)なのか素人なのか、お店やっている人なのか、西陣の人なのか室町なのかで全然違うんです。再放送も含めて一カ月に何本も放送されるので、いつも同じ芝居だとうっとうしくなってしまう。“薄利多売女優”としては、言葉も性格もしっかり変えて、出てきただけで何のシリーズかわかるようにと思っています」
デビューは早稲田大学在学中。美紗さん原作「燃えた花嫁」の燃やされる花嫁役だった。学生時代の思い出のつもりだったという。国税専門官の試験に合格し、卒業後は国税局で働くも、結婚退職を機に女優に復帰した。
一番多い時で年間三十一本に出演。「その年は舞台も三本やっていたんです。高松で九時まで舞台やって、夜行列車に飛び乗り、翌朝東京で撮影、その足で長野、という時もあって、西村(京太郎)さんに鉄道トリックを教えてあげようかと思うくらい時刻表を持ち歩いてました」と笑う。
「お嬢さんだから」で始まった女優の道。「親のドラマに出ているから偉そう」と思われたくない、と今も意識する。「でも自分の役柄を一生懸命演じることだけを考えるのが一番いいと思えるようになってきた」
「笑わせることができたら、泣かせることもできる。犯人役も、普通のいい人もできる」と大村崑に勧められて喜劇に目覚めたことも大きい。「お嬢さん」路線から、徐々に三枚目に。今は日本喜劇人協会の理事も務めている。
真に女優に目覚めたのは、一九九六年の美紗さんの死後という。美紗さんが生前、「原作がなくなったら紅葉がドラマに出られない」と必死で小説を書いていたことを知った。
「生きてる時はスネをかじることとコネを使うことしか考えてなかったから、母に頼らなくても舞台やテレビに出ている姿を見てくれれば安心してくれるだろう、恩返しになるだろうと、これまでやってきたんです」
そして次に何ができるか考えたのが、今回初プロデュースする企画展。ドレスに着物、最後まで握っていたペン、来客にカクテルを振る舞ったバーカウンターや家具をそのまま出展する。
「亡くなったこと自体信じたくなくて、そのままにしていたんですが、等身大の母を知っていただくことで、もっと作品を長く愛していただけるかな、と思って。それに母はにぎやかなことが大好きだったから喜んでくれるはず」
小説の評判を気にしたり、少女のように無邪気だったり、「親子というより、話が合う姉妹みたいな関係でした」と振り返る。企画展の準備では、原稿に「遅くなってごめんなさい」など気遣いが走り書きされているのに気付き、「女王様の別の顔がいろいろ見えましたね」とニッコリ。
企画展の初日は「山村美紗サスペンス」の放送日と同じ二十四日。「強引な人でしたから、きっと母が合わせさせたのかも」
◇「ミステリーの女王 山村美紗の世界」 JR京都駅、美術館「えき」KYOTOで、五月十六日まで。一般六百円ほか。
やまむら・もみじ 1960年10月27日、京都市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。「赤い霊柩車」「名探偵キャサリン」「京都祇園芸妓」「狩矢警部」などのシリーズに出演、バラエティーや舞台にも活動の幅を広げている。今年10月、南座で美紗さんの小説の舞台化「京都花灯路恋の耀き」に出演予定。
2006年10月にフジテレビの月9ドラマとして始まった名物シリーズがついに大団円だ。昨年12月に公開された「~最終楽章前編」は330万人を動員し興収40億円突破と大ヒットした。
この記録を上回ることが期待されている後編では、恋愛関係にあるピアノの天才、のだめこと野田恵(上野樹里)と指揮者の千秋先輩(玉木宏)の葛藤と苦悩が、シリアスな大人のラブストーリーの中で丹念に描かれてゆく。
欧州に音楽留学したふたり。「いつかふたりでコンチェルトを!」というのだめと千秋の夢が途中で立ち消え不協和音が漂ったり、のだめの決死のプロポーズも届かず悲しみに沈むシーンなどは、のだめの自分探しの旅として見ると物語に深みが出る。天才肌なのに自分の限界に気付いて逃避しようとするのだめ。そんな彼女を理解しようともがく千秋。女心の動きに応じて微妙かつ豊かに表情を変えてみせる上野の演技は必見だ。
パリとプラハを舞台に壮大なクラシック音楽で酔わせる一方、おなじみのアニメや動物たちも登場しおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかさが楽しい。まさに「カンタービレ」(歌うようにという意味のイタリア語)と呼ぶにふさわしい甘~いフィナーレはのだめファンなら誰もが納得だ。かなり照れるけど。
2. 上海万博テーマソング、盗作疑惑
開幕まで2週間に迫った上海万博のテーマソングが、日本のシンガー・ソングライター、岡本真夜さん(36)が1997年にリリースしたヒット曲「そのままの君でいて」の盗作ではないかとの疑惑が中国で取りざたされている。
問題の曲は、3月末の万博プレイベントに合わせて香港の俳優、ジャッキー・チェンさん(56)ら多くの有名人が歌うビデオとして公開された。盗作疑惑は中国のネット上で浮上した。万博ソングのイメージビデオと「そのままの-」を歌う岡本さんの映像を並べたサイトも登場。掲示板には「99%同じで、間違いなく盗作だ。恥ずかしい」「これではメンツが台無しだ」といった非難が書き込まれている。
万博ソングの作曲家、繆森氏は4月初旬、中国メディアの取材に「部屋を歩き回り、足でリズムを取りながらインスピレーションを得た」と作曲の経緯を語っている。
岡本さん側は公式HPで「ただいま事実確認中ですので、正式発表があるまでしばらくお待ちください」としている。
3. 出演ドラマ300本余、今月だけでも4本の新作 山村紅葉 演じることが母への恩返し
「ミステリーの女王」と呼ばれた作家の故山村美紗さんの長女で女優の山村紅葉。これまで出演したドラマは三百本以上。今月だけでもフジテレビ、TBS、テレビ朝日で四本の新しい出演作がオンエアされる。その一方、今年で没十五年目となる美紗さんの生涯を公私両面から紹介する展覧会「山村美紗の世界」(京都市)を初プロデュースした。母への思いと、その母への恩返しとして打ち込む女優業への思いを聞いた。
二日にフジテレビ「赤い霊柩車(れいきゅうしゃ)」、五日にTBSの「探偵・左文字進」、十日にテレビ朝日で「鉄道捜査官」が放送された。
そして二十四日には同「山村美紗サスペンス 京都・美人女優連続殺人事件」が控えている。狩矢警部の娘で記者の和美(藤谷美紀)が所属する編集プロダクションの社長・山野美野里が彼女の役どころ。いつも殺人事件に遭遇する和美の尻をたたくパワフルな美野里は「思いっきりはじけられて喜劇人としては一番面白い」という。
多くのシリーズを持つ上で心掛けているのは「しっかりとキャラクターを演じ分けること」。「京言葉といっても、芸妓(げいこ)なのか素人なのか、お店やっている人なのか、西陣の人なのか室町なのかで全然違うんです。再放送も含めて一カ月に何本も放送されるので、いつも同じ芝居だとうっとうしくなってしまう。“薄利多売女優”としては、言葉も性格もしっかり変えて、出てきただけで何のシリーズかわかるようにと思っています」
デビューは早稲田大学在学中。美紗さん原作「燃えた花嫁」の燃やされる花嫁役だった。学生時代の思い出のつもりだったという。国税専門官の試験に合格し、卒業後は国税局で働くも、結婚退職を機に女優に復帰した。
一番多い時で年間三十一本に出演。「その年は舞台も三本やっていたんです。高松で九時まで舞台やって、夜行列車に飛び乗り、翌朝東京で撮影、その足で長野、という時もあって、西村(京太郎)さんに鉄道トリックを教えてあげようかと思うくらい時刻表を持ち歩いてました」と笑う。
「お嬢さんだから」で始まった女優の道。「親のドラマに出ているから偉そう」と思われたくない、と今も意識する。「でも自分の役柄を一生懸命演じることだけを考えるのが一番いいと思えるようになってきた」
「笑わせることができたら、泣かせることもできる。犯人役も、普通のいい人もできる」と大村崑に勧められて喜劇に目覚めたことも大きい。「お嬢さん」路線から、徐々に三枚目に。今は日本喜劇人協会の理事も務めている。
真に女優に目覚めたのは、一九九六年の美紗さんの死後という。美紗さんが生前、「原作がなくなったら紅葉がドラマに出られない」と必死で小説を書いていたことを知った。
「生きてる時はスネをかじることとコネを使うことしか考えてなかったから、母に頼らなくても舞台やテレビに出ている姿を見てくれれば安心してくれるだろう、恩返しになるだろうと、これまでやってきたんです」
そして次に何ができるか考えたのが、今回初プロデュースする企画展。ドレスに着物、最後まで握っていたペン、来客にカクテルを振る舞ったバーカウンターや家具をそのまま出展する。
「亡くなったこと自体信じたくなくて、そのままにしていたんですが、等身大の母を知っていただくことで、もっと作品を長く愛していただけるかな、と思って。それに母はにぎやかなことが大好きだったから喜んでくれるはず」
小説の評判を気にしたり、少女のように無邪気だったり、「親子というより、話が合う姉妹みたいな関係でした」と振り返る。企画展の準備では、原稿に「遅くなってごめんなさい」など気遣いが走り書きされているのに気付き、「女王様の別の顔がいろいろ見えましたね」とニッコリ。
企画展の初日は「山村美紗サスペンス」の放送日と同じ二十四日。「強引な人でしたから、きっと母が合わせさせたのかも」
◇「ミステリーの女王 山村美紗の世界」 JR京都駅、美術館「えき」KYOTOで、五月十六日まで。一般六百円ほか。
やまむら・もみじ 1960年10月27日、京都市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。「赤い霊柩車」「名探偵キャサリン」「京都祇園芸妓」「狩矢警部」などのシリーズに出演、バラエティーや舞台にも活動の幅を広げている。今年10月、南座で美紗さんの小説の舞台化「京都花灯路恋の耀き」に出演予定。
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