平凡であることの幸せ

人生は光に導かれる旅

☆Life is a journey towards the guiding light

啓蟄と朧月夜と赤い月。

2007-03-12 | 日記
先週は遠い親戚に不幸があったりしてすっかりCafeをお休みしておりました。

母と娘たちは 週初めに8日間のイタリア旅行から帰ってきたのですが
長女はその数日後 お友達と5日間のベトナムに旅行に行き、
今日帰ってくるので また賑やかになりそうです。
イタリアはミラノ、フィレンツェ、ローマとバチカンにも行けて
ローマ法王の棺も見られたそう。
ドゥオモや教会、美術館などの建築物や街並みも素晴らしく
食べ物もとっても美味しかったそうです。
今夜のベトナムのお土産話もまた楽しみ♪

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3月6日から春分の日までは啓蟄。
冬眠をしていた虫たちが土の穴から出てくる頃というけれど 
今年は本当に暖かく、熊さんたちも冬眠するのを忘れてしまったそう。
虫たちもとっくの昔に活動中というかんじ。でも 庭の柳は、若芽を芽吹き、ふきのとうは花をちょこんと咲かせていました。

昨日、一昨日は雨が降り寒い日でしたが
先週の日曜日の4日は3月の初めとは思えないほど暖かで満月でもありました。
春の宵は おぼろ月夜というけれど・・・
夕日が落ちる頃、東の空を見ると 低いところにぼ~~~~っとまあるくあらわれた満月は、
お月様の亡霊のような赤い月でした。
はっきりしない輪郭と、こんな赤い色をした満月を見るのは珍しいなあ・・・
これも異常気象のせいなのかしら・・・
それとも地球のドコカで月蝕があるのかな・・・
なんて思いながら歩く春の夕暮れの道。
先日テレビで観た 直木賞作家であり、作詞家のなかにし礼さんの 
戦時中、満州からの引揚げ体験と、お母様をモデルにした自伝的小説の映画、「赤い月」も思い出しました。

静かな風が吹くと、沈丁花の香りがいっそう強く香る中で 
白い梅の花びらがひらひらと舞い落ちる。 
ふと立ち止まると、次の日の5日は亡き父の誕生日であることを思い出し、 
思わず指をおって歳を数えてみました。
ああ・・パパが生きていたらもうこんな歳になるんだな、と思いながら。
そして、父の笑顔に 沈丁花の香りが好きだった祖母の笑顔がかさなり、
赤いお月様に名前を呼ばれたような気がしてもう一度空を見上げました。

その時ふと思ったのです。
祖母が沈丁花の香りを愛したのは・・・
遠い遠い昔、関東大震災で壊れた家の下敷きになった時、
おなかにいた父が無事に産まれた翌年の早春、
産まれたばかりの父を抱きながら 
縁側で、あるいは庭先に佇んでいたとき 
沈丁花の香りがあたり一面にただよっていたからだろうと。 
女として母として もっとも幸せだった時の祖母にとっての<至福の記憶の香り>だったのかもしれない。。。

そして もし震災で祖母が流産でもしていたら
私という人間も存在しなかったということを
改めて認識するのでした。

「生きているということは ご先祖様があって 今、あなたが生かされているのですから ご先祖様を大切にしましょう」と
先日の葬儀でご住職様がおっしゃっていたことも
あたりまえのことでありながらも 
本当にご先祖さまに感謝しなければいけないと思うのでした。



  *(音符)*菜の花畠に 入り日薄れ
  見渡す山の端 霞み深し~
  春風そよ吹く 空を見れば
  夕月かかりて 匂い淡し~*(音符)*