東京物語
与勇輝さんの人形展のなかで小津安二郎監督の東京物語の登場人物をみて 3年ほど前に小津監督生誕100周年を記念して作られた東京物語(TV版)を現代風にアレンジした二時間ドラマを見たことを思い出しました。笠智衆さん、東山千栄子さんが演じた老夫婦を宇津井健さん、八千草薫さんが、そして原節子さんが演じた義理の娘を松たか子さんが演じました。映画とはかなり違う感じもしましたがとてもよいドラマでした。
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尾道から上京した老夫婦が、成人した子供達の家を訪ねるのですが、所帯を持った子供達は忙しく日々の生活に追われるあまり、実の親を煩わく思ってしまうのです・・。老夫婦はそんな子供達の前では愚痴もこぼさず、遠慮するのですが、一番親身に世話をやいてくれたのは亡くなった息子の未亡人だけでした・・。老夫婦は尾道に戻るのですが、妻は急死してしまいます・・。あたりまえに存在する親の「死」をもって知らされたありがたさ・・ぬくもり、存在の偉大さ・・・。私たちが失いかけているものを再認識させられるお話でした。 紀子(松たかこさん)の「わたし ずるいんです」という言葉と涙がいつまでも心に残っています・・・。だって・・・
* ずるいんです わたしも・・・*
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名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実ひとつ・・
ドラマの中で歌われ、いつまでも心に響く歌「椰子の実」は、恋愛に悩む若き日の柳田国男氏が訪れた、愛知県伊良湖岬の恋路ケ浜に打ち上げられた椰子の実の話に 友人の島崎藤村がインスピレーションを感じて作詞したものだそうです。作曲は山田耕筰の門下生である 大中寅二ですが、私はこの歌が昔からとても好きなのです。
20世紀の愛唱歌 Vol.11-こころの歌100曲集4 早春賦