ふしぎな時間

庭仕事をおえて、ぼんやりと庭を見ていたら、柿の木にずずめが集まっている。
よく見えないが、きっと柿の葉についた虫をついばんでいるのだろう。

ふと、だいぶ前のランチを思い出した。




昼休み、用事を済ませた後、天気が良かったので、公園のベンチでお弁当をいただくことに。
（ほんと、お弁当はいい。ロケーションフリーだ）



手作りのお弁当を食べていると、そこへ一羽の鳩が近づいて来る。
よく見ると、よちよち歩き。

?と思って、目を凝らすと両足の親指(三本指の内側)がない。

いつもなら、環境のバランスが崩れるので、絶対えさはやらない。

だが、どんなことをしてでも生き抜こうとしている鳩を見て、考えが変わった。



一緒に弁当を食べることにした。

少しずつ箸でご飯をつまんで、上げた。

ぱくぱく食べる。

私も一緒に食べるが、鳩はよほど空腹だったらしく、つぎからつぎに平らげていく。

チーズはまさか食べないだろうと思って上げると、これもつぎからつぎへと食べる。



最後はデザート。
いただいたアップルパイ。
これも一緒にいただいた。



食べ終わって、飛び去るかと思っていたら、じっとまあるい目でじっと私を見ている。

満足して落ち着いた様子で。

つかぬまのだったが、鳩と一体になった何だかふしぎな時間だった。

元気になった鳩を見て、私まで元気をもらったよう気がした。



「またね」と言って振り返ると、まだベンチを離れないでいた。