日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(325)漢文にも述語論理にも、「括弧」は有ります!!

2019-08-18 16:30:49 | 漢文・述語論理

(01)
(ⅰ)
1 (1)~∀x(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) A
1 (2)∃x~(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) 1量化子の関係
 3(3)  ~(Fa→ ∃y(Gya&~Hay)) A
 3(4) ~(~Fa∨ ∃y(Gya&~Hay)) 3含意の定義
 3(5)    Fa&~∃y(Gya&~Hay)) 4ド・モルガンの法則
 3(6)    Fa                5&E
 3(7)       ~∃y(Gya&~Hay)  5&E
 3(8)       ∀y~(Gya&~Hay)  7量化子の関係
 3(9)         ~(Gba&~Hab)  8UE
 3(ア)          ~Gba∨ Hab   9ド・モルガンの法則
 3(イ)           Gba→ Hab   ア含意の定義
 3(ウ)        ∀y(Gya→ Hay)  イUI
 3(エ)    Fa& ∀y(Gya→ Hay)  6ウ&I
 3(オ) ∃x(Fx& ∀y(Gya→ Hxy)) エEI
1 (カ) ∃x(Fx& ∀y(Gyx→ Hxy)) 13オEE
(ⅱ)
1  (1) ∃x(Fx& ∀y(Gyx→ Hxy)) A
 2 (2)    Fa& ∀y(Gya→ Hay)  A
 2 (3)    Fa                2&E
 2 (4)        ∀y(Gya→ Hay)  2&E
 2 (5)           Gba→ Hab   4UE
  6(6)           Gba&~Hab   A
  6(7)           Gba        6&E
 26(8)                Hab   57MPP
  6(9)               ~Hab   6&E
 26(ア)           Hab&~Hab   89&I
 2 (イ)         ~(Gba&~Hab)  6アRAA
 2 (ウ)       ∀y~(Gba&~Hay)  イUI
 2 (エ)       ~∃y(Gba&~Hay)  ウ量化子の関係
 2 (オ)    Fa&~∃y(Gba&~Hay)  3エ&I
 2 (カ) ~(~Fa∨ ∃y(Gba&~Hay)  オ、ド・モルガンの法則
 2 (キ)∃x~(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) カ含意の定義
1  (ク)∃x~(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) 12キEE
1  (ケ)~∀x(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) ク量化子の関係
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x(Fx→∃y(Gyx&~Hxy))
②   ∃x(Fx&∀y(Gyx→ Hxy))
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
そこで述語論理学では「人間」と「動物」のような関係をあらわすのに、
 動物(人間)
と表示する。そしてこれを記号化して、
 F(a) または( )を省略して Fa
というように書く。
(沢田 允茂、現代論理学入門、1962年、116頁改)
(04)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう;しかし「括弧」はその内部が連言でないかぎり削除しよう。
(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)
(05)
むやみに括弧多くなること我慢ができないのである(human being cannot stand too much proliferation of bracket)。― 中略 ―、結合記号に一定の順序でランクをつけることにしよう。~は&または∨よりも「より強く結合」する。&と∨は→よりも「より強く結合する」。(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、59頁)
従って、
(02)~(05)により、
(06)
①  ~∀x(Fx→∃y(Gyx&~Hxy))
②    ∃x(Fx&∀y(Gyx→ Hxy))
といふ「論理式」は、「むやみに括弧が多くなること」を我慢して、「括弧」を「省略」しないのであれば、
① ~(∀x(F(x)→∃y(G(yx)&~(H(xy)))))
②     ∃x(F(x)&∀y(G(yx)→  H(xy)))
といふ風に、書くのが、「正しい」。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1)~∀x(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) A
1 (2)∃x~(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) 1量化子の関係
 3(3)  ~(弟子a→ ∃y(師ya&~如ay)) A
 3(4) ~(~弟子a∨ ∃y(師ya&~如ay)) 3含意の定義
 3(5)    弟子a&~∃y(師ya&~如ay)) 4ド・モルガンの法則
 3(6)    弟子a                 5&E
 3(7)        ~∃y(師ya&~如ay)  5&E
 3(8)        ∀y~(師ya&~如ay)  7量化子の関係
 3(9)          ~(師ba&~如ab)  8UE
 3(ア)           ~師ba∨ 如ab   9ド・モルガンの法則
 3(イ)            師ba→ 如ab   ア含意の定義
 3(ウ)         ∀y(師ya→ 如ay)  イUI
 3(エ)    弟子a& ∀y(師ya→ 如ay)  6ウ&I
 3(オ) ∃x(弟子x& ∀y(師ya→ 如xy)) エEI
1 (カ) ∃x(弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)) 13オEE
1 (〃)あるxは弟子であって、すべてのxについて、yがxが師ならば、xはyに及んでゐる。
(ⅱ)
1  (1) ∃x(弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)) A
 2 (2)    弟子a& ∀y(師ya→ 如ay)  A
 2 (3)    弟子a                 2&E
 2 (4)         ∀y(師ya→ 如ay)  2&E
 2 (5)            師ba→ 如ab   4UE
  6(6)            師ba&~如ab   A
  6(7)            師ba        6&E
 26(8)                  如ab   57MPP
  6(9)                 ~如ab   6&E
 26(ア)             如ab&~如ab   89&I
 2 (イ)          ~(師ba&~如ab)  6アRAA
 2 (ウ)        ∀y~(師ba&~如ay)  イUI
 2 (エ)        ~∃y(師ba&~如ay)  ウ量化子の関係
 2 (オ)    弟子a&~∃y(師ba&~如ay)  3エ&I
 2 (カ) ~(~弟子a∨ ∃y(師ba&~如ay)  オ、ド・モルガンの法則
 2 (キ)∃x~(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) カ含意の定義
1  (ク)∃x~(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) 12キEE
1  (ケ)~∀x(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) ク量化子の関係
1  (〃)すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師であって、xはyに及ばない。といふわけではない。
従って、
(06)(07)により、
(08)
①   ~∀x(弟子x→∃y(師yx&~如xy))
②     ∃x(弟子x&∀y(師yx→ 如xy))
といふ「論理式」は、「むやみに括弧が多くなること」を我慢して、「括弧」を「省略」しないのであれば、
① ~(∀x(弟子(x)→∃y(師(yx)&~(如(xy)))))
②     ∃x(弟子(x)&∀y(師(yx)→  如(xy)))
といふ風に、「書いて」、
① すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師であるが、xはyに及ばない。といふわけではない。
② あるxは弟子であって、すべてのxについて、yがxが師ならば、xはyに及んでゐる。
といふ風に、「読む」のが、「正しい」。
従って、
(09)
①   ~∀x(弟子x→∃y(師yx&~如xy))
②     ∃x(弟子x&∀y(師yx→ 如xy))
のやうに、「括弧が書かれてゐる論理式」であっても、実際には、「すべての括弧が、書かれてゐる」といふ、わけではない
然るに、
(10)
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
に於いて、
① 不[ ]⇒[ ]不
① 不〔 〕⇒〔 〕不
① 如( )⇒( )如
といふ「移動」を行ふと、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は必ずしも師匠に及ばないというわけではない(韓愈、師説)。
cf.
〔通釈〕弟子は必ずしも師に及ばないというわけではなく、(弟子の方がすぐれている場合もある)。
(三省堂、明解古典学習シリーズ20、1973年、56頁改)
然るに、
(11)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず。
に於ける、
①[ 〔 ( ) 〕 ]
①[ 〔 ( ) 〕 ]
といふ「括弧」は、
① 弟子不必不如師。
① 弟子は必ずしも師に如かずんばあらず。
といふ、
①「漢文補足構造」に加へて、
①「国語補足構造」を、表してゐる。
従って、
(12)により、
(13)
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず。
に於ける、「括弧」は、
①「漢文補足構造」と、
①「訓読語順」を、示してゐる。
従って、
(08)(10)~(13)により、
(14)
①  ~∀x(弟子x→∃y(師yx&~如xy))
といふ「論理式」に、
① ~(∀x(弟子(x)→∃y(師(yx)&~(如(xy)))))
といふ「補足構造」が有るやうに、
① 弟子不必不如師。
といふ「漢文」には、初めから、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ「補足構造」が有って、その上で、「たまたま、偶然に補足構造に於ける語順が、漢文国語とでは、全く反対であった」が故に、「結果」として、
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は必ずしも師匠に及ばないというわけではない(韓愈、師説)。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(14)により、
(15)
① 弟子不必不如師。
といふ「漢文」は、
① Dìzǐbùbìbùrúshī。
といふ風に、読もうと、
① 弟子は必ずしも師に如かずんばあらず。
といふ風に、読むまいと、それ自体として、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ「括弧(補足構造)」を、持ってゐる。


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