日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(316)「象は鼻が長い」の「述語論理」の「否定命題」。

2019-08-06 11:42:20 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
従って、
(01)により、
(02)
② 象は鼻長い。といふわけではない。⇔
② ~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。といふわけではない。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1   (1)~∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)} A
1   (2)∃x~{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)} 1量化子の関係
 3  (3)  ~{ 象a→ ∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)} A
 3  (4)  ~{~象a∨ ∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)} 3含意の定義
 3  (5)     象a&~∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)  4ド・モルガンの法則
 3  (6)     象a                            5&E
 3  (7)        ~∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)  5&E
 3  (8)        ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)  7ド・モルガンの法則
 3  (9)         ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)  8含意の定義
  ア (ア)         ∃y(鼻ya&長y)                A
 3ア (イ)                    ~∀z(~鼻za→~長z)  9アMPP
 3ア (ウ)                    ∃z~(~鼻za→~長z)  イ量化子の関係
   エ(エ)                      ~(~鼻ca→~長c)  A
   エ(オ)                      ~( 鼻ca∨~長c)  エ含意の定義
   エ(カ)                       (~鼻ca& 長c)  オ、ド・モルガンの法則
   エ(キ)                     ∃z(~鼻za& 長z)  カEI 
 3ア (ク)                     ∃z(~鼻za& 長z)  ウエキEE 
 3  (ケ)         ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)  アクCP 
 3  (コ)     象a& ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)  6ケ&I
 3  (サ)  ∃x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} コEI
1   (シ)  ∃x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} 23サEE
(ⅱ)
1   (1)~∃x{象x&  ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} A
1   (2)∀x~{象x&  ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} 1量化子の関係
1   (3)  ~{象a&  ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)} 2UE
1   (4)   ~象a∨~{∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)} 3ド・モルガンの法則
1   (5)    象a→~{∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)} 4含意の定義
 6  (7)    象a                             A
16  (8)      ~{ ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)} 57MPP
16  (9)      ~{~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)} 8含意の定義
16  (ア)         ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za& 長z)  9ド・モルガンの法則
16  (イ)         ∃y(鼻ya&長y)                ア&E
16  (ウ)                    ~∃z(~鼻za& 長z)  ア&E
16  (エ)                    ∀z~(~鼻za& 長z)  ウ含意の定義
16  (オ)                      ~(~鼻ca& 長c)  エUE
16  (カ)                       ~~鼻ca∨~長c   オ、ド・モルガンの法則
16  (キ)                        ~鼻ca→~長c   カ、含意の定義
16  (ク)                     ∀z(~鼻za→~長z)  キUI
16  (ケ)         ∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)  イク&I
1   (コ)      象a→∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)  6ケCP
1   (サ)   ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)} コUI
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に於いて、
① を「否定」すると、
② になり、
② を「否定」すると、「二重否定」により、
① になる(戻る)。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
の「否定」は、
② ある象は、鼻が長いならならば、鼻以外も長い。⇔
② ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}⇔   
② あるxは象であり、あるyがxの鼻であって長いならば、あるzはxの鼻ではないが、長い。
である。
従って、
(05)により、
(06)
① すべての象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ある象は鼻以外も長い=∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、
① の「否定」は、② であり、
② の「否定」は、① である。
然るに、
(07)
ある象は鼻以外も長い = ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}。
③ 鼻以外も長い象はゐない=~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}。
に於いて、
② の「否定」は、③ であり、
③ の「否定」は、② である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① すべての象は鼻が長い = ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ 鼻以外も長い象はゐない=~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(09)
③ 鼻以外も長い象はゐない
といふのであれば、そのときに限って、
③ すべての象は、鼻以外は長くない。 
従って、
(08)(09)により、
(10)
① すべての象は鼻長い。
③ すべての象は鼻以外は長くない
に於いて、
①=③ である。
従って、
(10)により、
(11)
① 鼻長い。
③ 鼻以外は長くない
に於いて、
①=③ である。
従って、
(11)により、
(12)
① 私理事長です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いても、
①=③ である。
然るに、
(13)
③ 私以外は理事長ではない
の「対偶(Contraposition)」は、
理事長は私です。
である。
従って、
(12)(13))により、
(14)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(15)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
① タゴール記念会は私理事長です。
② タゴール記念会は理事長は私です。
③ タゴール記念会は私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(16)により、
(17)
① 象は鼻長い。
② 象は長いのは鼻である。
③ 象は鼻以外は長くない
に於いても、
①=②=③ である。
従って、
(17)により、
(18)
① 象は鼻長い。
② 象は鼻以外は長くない
に於いても、
①=② である。
然るに、
(19)
「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。また、「鼻が」は主格補語にすぎなく、数ある補語と同じ格であるとする。基本文は述語である「長い」だけだ(三上文法! : wrong, rogue and log)。
然るに、
(20)
② 鼻が長い。
に於いて、
②「鼻が」が、「長い」の「主格の補語」であるならば、
② 象は鼻が長い。
に於いて、
②「象は」も、「鼻が長い」の「主格の補語」であるに、違ひない。
従って、
(21)
「象」は、「主」であり、
「鼻」は、「主」である。
といふ「説明」が、私には、良く分からない。