日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(319)「象は鼻は(が・も)長い」の「述語論理」。

2019-08-12 15:48:59 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(01)により、
(02)
① 私理事長です。
理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
② 理事長は私です。      ⇔ 私以外は理事長ではない
② 理事長ならば私である。⇔ 私でなければ理事長ではない
は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(03)により、
(04)
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
① タゴール記念会は、私理事長です。
② タゴール記念会は、理事長は私です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
① 象は、鼻長い。
② 象は、長いのは鼻である。
③ 象は、鼻以外は長くない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(08)
③ 象は、鼻以外は長くない。⇔
③ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 象は鼻長い。⇔
① 象は、鼻以外は長くない。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1  (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)} A
1  (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)  1UE
1  (3)   象a→∃y(鼻ya&長y)                2&E
1  (4)                  ∀z(~鼻za→~長z)  2&E
1  (5)                     ~鼻ca→~長c   4UE
 6 (6)                     ~鼻ca& 長c   A
 6 (7)                     ~鼻ca       6&E
16 (8)                          ~長c   57MPP
 6 (9)                           長c   6&E
16 (ア)                       ~長c&長c   89&I
1  (イ)                   ~(~鼻ca& 長c)  6アRAA
1  (ウ)                 ∀z~(~鼻za& 長z)  イUI
1  (エ)                 ~∃z(~鼻za& 長z)  ウ量化子の関係
1  (オ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za& 長z)  3エ&I
1  (カ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)} オUI
(ⅱ)
1  (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)} A
1  (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za& 長z)  1UE
1  (3)   象a→∃y(鼻ya&長y)                2&E
1  (4)                 ~∃z(~鼻za& 長z)  2&E
1  (5)                 ∀z~(~鼻za& 長z)  4量化子の関係
1  (6)                   ~(~鼻ca& 長c)  5UE
 7 (7)                     ~鼻ca       A
  8(8)                           長c   A 
 78(9)                     ~鼻ca& 長c   78&I
178(ア)                   ~(~鼻ca& 長c)&
                          (~鼻ca& 長c)  89&I
17 (イ)                          ~長c   8アRAA
1  (ウ)                     ~鼻ca→~長c   7イCP
1  (エ)                  ∀z(~鼻ca→~長c)  ウUI
1  (オ)   象a→∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻ca→~長c)  3エ&I
1  (カ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)} オUI
従って、
(10)により、
(11)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(12)
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ~∀z(~鼻zx→~長z)}
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(13)
二重否定」により、
~~∃z(~鼻zx& 長z) は、
④   ∃z(~鼻zx& 長z) に、「等しい」。
従って、
(12)(13)により、
(14)
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
③=④ である。
従って、
(11)(14)により、
(15)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(16)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に於いて、
①と③ は、「矛盾」する。
従って、
(15)(16)により、
(17)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①と④ は、「矛盾」する。
従って、
(09)(17)により、
(18)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない
④ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、あるzはxの鼻ではないが、zは長い
に於いて、
①と④ は、「矛盾」する。
然るに、
(19)
④ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、あるzはxの鼻ではないが、zは長い
といふことは、
④ 象は鼻は長く、鼻以外も長い。
といふ、ことである。
然るに、
(20)
④ 象は鼻は長く、鼻以外も長い。
といふことは、
④ 象は鼻長い。
といふ、ことである。
従って、
(09)(18)(20)により、
(21)
① 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、
①と④ は、「矛盾」する。
従って、
(22)
「番号」を付け直すと、
① 象は鼻_長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、
②と③ は、「矛盾」する。
然るに、
(23)
(ⅱ)
1(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1(2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
1(3)   象a→∃y(鼻ya&長y)               2&E
1(4)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)}              3UI
(ⅲ)
1(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)} A
1(2)   象a→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)  1UE
1(3)   象a→∃y(鼻yx&長y)               2&E
1(4)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)}              3UI
従って、
(23)により、
(24)
① 象は鼻_長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、
② ならば、① であって、
③ ならば、① である。
従って、
(24)により、
(25)
① 象は鼻_長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、
①と② は、「矛盾」せず、
①と③ も、「矛盾」しない。
然るに、
(26)
① 鼻は長い。
といふのであれば、
② 鼻以外については、「何も、言ってゐない。」
従って、
(27)
① 象は鼻は長い。
といふのであれば、
③ 象の鼻以外については、「何も、言ってゐない。」
従って、
(26)(27)により、
(28)
① 象は鼻長い。
② 象は鼻が長い。
③ 象は鼻も長い。
に於いて、
①と② は、「矛盾」せず、
①と③ も、「矛盾」しない。
従って、
(25)(28)により、
(29)
① 象は鼻長い。
② 象は鼻長い。
③ 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}
といふ「述語論理式」に、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長い。
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、あるzはxの鼻ではないが、zは長い。
といふ「意味」である所の、「述語論理式」に、相当する。
従って、
(29)により、
(30)
「普通の日本語」で言へば、
① 象は鼻は長い=象は鼻は長い。
② 象は鼻長い=象は鼻は長く、鼻以外は長くない
③ 象は鼻長い=象は鼻は長く、鼻以外も長い。
といふ、ことになる。